ドル円は一時105.50円を再び割り込む 上値期待高まるも信頼感ないとの声も=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円はNY時間に入って伸び悩む動きが見られ、一時105.50円を再び割り込んだ。きょうのドル円は一時105.75円付近まで上昇し、ここ数日、上値抵抗となっていた105.50円の水準を上抜いていた。テクニカル的には上値期待を高めそうな展開となったものの、一方で信頼感はないとの声も多く聞かれた。為替市場はドル売り基調が続く中で、ドル円の上値には限界があるとの指摘も少なくない。
市場は米追加経済対策の協議の行方に関心が集中しており、本日はペロシ米下院議長が協議の期限として設定した20日となっているが、ムニューシン米財務長官とペロシ議長との会談まちの雰囲気が強い。
もともと市場は、米大統領選前の合意は期待していなかった。双方が再び協議に戻ったことで、関心を集めており、合意できればポジティブ・サプライズになるであろうが、あまり期待はしていないものと思われる。ただ、米大統領選前に合意できなくても、その後にそれなりの対策規模で合意されるものと期待しており、今回は市場も過度に期待はしていないものと見られる。
ユーロドルは買いが強まり、1.18ドル台を回復。一時1.1840ドル近辺まで上昇し、21日線を上放れる展開を強めた。大きな心理的節目で、ECBも注目しているとされる1.20ドルを再び試しそうな気配も出ている。ただ、あくまでドル売りに伴う上げでユーロ自体の強さではなく、欧州で感染第2波が拡大する中、ユーロ圏は景気後退のリスクにさらされているとの指摘も聞かれる。
第4四半期はドイツはプラス成長が期待されるものの、スペインは恐らくマイナス成長との予測も聞かれる。政府は予想以上に財政支援を打ち出すものの、失業率の上昇を止めることはできず、消費を圧迫するとの見方も出ている。そのため、ユーロ圏では、目標を大幅に下回るインフレが続き、ECBによる緊急資産購入プログラムの拡大も予想されるという。
ポンドドルは1.29ドル台で上下動。英・EUの貿易交渉が不透明な中で、一時1.2915ドル付近まで下落していたが、ドル売りの流れの中で1.2980ドル台まで戻す場面もみられた。バルニエEU首席交渉官の発言が伝わり「英国との協議に対するわれわれの扉は開かれたままだ」と述べていた一方で、英政府は協議は建設的としているものの、スタンスに変化はないと述べていた。バルニエ交渉官とフロスト交渉官は連絡を取り合っているという。お互い強硬姿勢は崩していないが、交渉は続けているといった状況に変化はないようだ。
ポンドについは英経済の先行きに不透明感が増していることも気掛かりとなっている。きょうはブリハ英中銀委員の講演原稿が伝わり印象的だったが、英国での感染再拡大により、英中銀がいずれかの時点で景気刺激策を拡大する可能性が高いことを示唆していた。金融政策の見通しは、追加の景気刺激へと傾いているという。また、感染者数の増加で、景気見通しの下振れリスクが顕在化し始めていると指摘したうえで、市場での混乱や不確実性の高かった3月に比べると、いまは量的緩和はそれほど効果的ではないかもしれないとも述べていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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