為替相場まとめ10月12日から10月16日の週

為替 

 12日からの週は、リスク回避ムードが広がった。欧州での新型コロナ感染拡大が深刻化しており、再び経済活動が抑制される措置が導入されている。今後の経済回復に不透明感が広がっている。EU首脳会議では英国との通商交渉を今後数週間継続すると結論付けたが、ジョンソン英首相は「EUが根本的なアプローチ変更をしなければ、合意なき離脱に向かうだろう」とEUを責め立てた。しかし、交渉中止は明言せず。来週の交渉に望みをつないだ。米国ではムニューシン米財務長官から大統領選前の民主党側との支援策合意について悲観的な発言がでた。米株、欧州株ともに売りに押される展開。ドル円は105円台前半を中心に上下動。ユーロドルは1.18台から1.17台割れまで、ポンドドルは英欧通商交渉の進展期待で週前半に1.30台乗せとなったが、その後は売りに押されて1.28台へと押し戻されている。ユーロ円は124円台から123円近辺へ、ポンド円は135円台から137円台で上に往って来い。リスク動向に敏感な豪ドルが軟調。豪中銀が追加緩和の可能性を示唆したことも加わり、対ドルでは0.72近辺から0.70台へ、対円では75円台から74円台へと下落した。


(12日)
 東京市場は、ドル円の上値が重い展開。先週末のドル全面安の動きを受けて、週明けにはやや調整が入る場面があったが、戻りは限定的。再びドル売り・円買いに押されて105.40台へと値を落とした。ユーロ円は124円台後半でじり安の動き。リスク動向はまちまち。日本株は売りが優勢でさえない動き。一方、上海株は堅調。米大統領選でバイデン候補が優勢であることを受けて、米中関係の改善期待が広がったことが背景。米株先物も時間外取引で底堅く推移した。ユーロドル1.1820台、ポンドドル1.3040台など先週末の高値水準に接近した。ただ、この後の米国市場がコロンブスデーで為替・債券市場が休場となることもあり、積極的な売買は手控えられた。

  ロンドン市場では、ややドル買いの動き。このあとのNY市場がコロンブスデーのため銀行休業、債券市場休場となる。カナダも感謝祭で各市場が休場に。株式市場は前週末のNY市場で買われた流れを受けて、欧州株や米株先物は底堅く推移している。為替市場では、先週末のドル安に対してやや調整のドル買いが入っているが、値幅は限定的にとどまっている。ドル円は105円台半ばを中心に上下10銭程度の振幅。一時105.60近辺まで買われた。ユーロドルは1.18台前半から一時1.18台割れへ、ポンドドルは1.30台半ばから1.30ちょうど付近へと値を下げている。株式動向は安定しているが、調整の動きに押されてクロス円も安く、ユーロ円は124円台半ばへ、ポンド円は137円台前半へと軟化している。

 NY市場は、落ち着いた値動き。ドル円は一時105.20台まで値を落とす場面が見られた。その後は値を戻し、欧州勢がいなくなるNY市場午後はもみ合いに終始した。ロンドン市場で値を落とし、ロンドン市場午後からNY朝にかけて1.18割れを付けたユーロドルは、1.18台を回復して揉み合いに。 米株式市場が4日続伸と堅調な動きを見せたことで、リスク選好のドル売りでユーロドルは安値から値を戻したが、ロンドン朝の水準にも戻しておらず、値幅は限定的。コロンブスデーで米国の銀行が休業となり、参加者が少ない中で調整の動きがやや優勢となった。

(13日)
 東京市場は、小動きの中で、ややドル買いが優勢。ドル円は105.20台へと下押しされたあと、105.45近辺へと買い戻された。105円台前半での取引にとどまっている。ユーロドルは前日NY時間に1.18台を回復したが、東京市場では再び1.18台割れから1.1791レベルまで下押しされた。その後は1.18台に戻した。豪ドルは軟調。対ドルでは0.72台を割り込んで、一時0.7160台まで下落した。豪ドル円は75.90近辺から75円台半ば割れまで一時下落。前日に中国が豪州産石炭の輸入を止めていると関係者筋情報として伝わり、豪ドルが売られやすい地合いに。

 ロンドン市場では、方向性が定まらず。米株先物が下げたことで欧州株も軟調に取引を開始。その一方で、ナスダック先物だけはプラスに転じて上げ幅を1%超に拡大。また、原油先物は40ドル台を回復するなど、まちまちの動き。為替市場ではドル円はじり高となり、一時105.51レベルまで上昇。クロス円は序盤にやや売られたが、次第に下げ渋っている。ただ、戻りの勢いは通貨ペアことで異なっている。ユーロ円は124円台前半で上値が重い。10月独ZEW景況感が7カ月ぶりに低下したことが上値を抑えている。ポンド円は137円台前半から後半へと上昇。しかし、バルニエEU首席交渉官が、最終的な詰めに入れるほど進展はなかった、と述べると、ポンドは序盤の上げを帳消しにした。この日発表された英ILO雇用統計は失業率が上昇、雇用者数が予想以上の減少と、新型コロナ感染拡大の影響がでていた。一方で、豪ドル、カナダドル、NZドルなど資源国通貨グループは堅調。カナダ円は80円台半ば、NZドル円は70円台乗せへと高値を更新。豪ドル円は東京市場での下げをほぼ解消している。

 NY市場では、リスク回避のドル買いが優勢。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)がワクチンの臨床試験の中断を発表したことで、ワクチンの早期開発への期待が後退している。また、米追加対策の協議に依然として出口が見えないことも市場のモメンタムを後退させているようだ。ドル円は緩やかな買い戻しの動きで、105円台半ばへと戻した。最近はドル円の米債利回りの正の相関は小さくなっており、混とんとした状況に。ユーロドルは戻り売りが強まり、一時1.1730近辺まで下落した。ポンドは軟調。ポンドドルは1.29台前半、ポンド円は136円台半ば割れへと下落している。英・EUの貿易交渉は依然として難航しており、ジョン英首相が独自に期限として設定している10月15日を今週の木曜日に控える中、合意なき離脱へのリスクも警戒しているようだ。
 
(14日)
 東京市場は、ドル円が小幅に振幅した。午前中に105円台半ばから105.30近辺まで下落したが、その後は買い戻され午後には105.45近辺に落ち着いた。昨日の海外市場で米ジョンソンエンドジョンソンが世界的に行っていた新型コロナウイルスのワクチン開発の最終段階の臨床試験を一時中止すると発表。リスク回避の中で、東京午前もその流れを受けて株安の動き。東京時間以外ではリスク回避のドル買いが優勢だったが、東京市場では円買いの動きがやや勝った。ユーロドルは1.17台前半と、前日からの安値圏で揉み合い。NZドルは堅調。NZ中銀のホークスビー総裁補がNZ経済は一部で驚きの回復と発言したことに反応した。

 ロンドン市場では、ポンド相場が神経質に上下動した。英国とEUとの通商交渉が大詰めを迎えており、関連報道に敏感に反応。ロンドン朝方は売りが先行。EU首脳会議の総括草案で、合意なき離脱に備えた準備の強化をメンバー国に要請する内容が報じられた。ポンドドルは1.29台割れから1.2863レベルまで下落。一方、一部報道で英国はEUとの通商交渉を直ちに打ち切ることはしないと示唆、と伝わると、一気にポンド買いが広がった。ポンドドルは1.2976レベルまで急伸。現時点では双方が合意に向けた努力を続けており、ポンド売りの動きは一服した。ユーロドルは1.17台前半から半ばでの振幅。上下幅を広げながらも、前日からの安値水準での推移にとどまっている。ドル円は105.30-50レベルでの揉み合いに終始している。

 NY市場では、ドル売りが優勢。ドル円は心理的節目の105円割れを試す動きがみられた。円相場自体には方向感はなく、ドル売りがドル円を圧迫したようだ。ムニューシン米財務長官が「包括的な景気対策取りまとめに依然努力はしているものの、大統領選前に何か成し遂げるのは難しい」との発言もあり、米株が下落するなど市場は早期合意への期待感を後退させていた。ユーロドルは1.1770近辺まで緩やかに買い戻された。ただ、きょうもイタリアが過去最大の感染者数を記録しており、感染第2波による景気への影響も警戒される。ポンドが対ユーロで上昇しており、それも重石となっているとの指摘も。ポンドは堅調。ポンドドルは節目の1.30台を回復、ポンド円も一時137円台に乗せた。英政府が、EU首脳が貿易交渉の合意成立に向け、最後の努力する用意があると示唆する限り、ジョンソン首相が期限として独自に設定した10月15日を過ぎても交渉を続ける見通しだと伝わっている。ジョンソン首相は15、16日のEU首脳会議を踏まえて交渉を打ち切る是非を決定する意向。

(15日)
 東京市場は、ドル円が下げ一服。前日NY市場で105.00レベルまで下落したあと、東京市場では下値が堅くなり、105.30前後まで反発した。ユーロドルは1.1750付近での推移で、EU首脳会議を前に上下ともに動きにくかった。ユーロ円は早朝に123.50割れまで下落したあとは、ドル円の戻りとともに123.70台までの反発。ポンドドルは上値重く推移。1.30台前半から午後には1.30台割れへと軟化している。前日の海外市場では、ジョンソン首相が今日までとしたデッドラインを超えても協議継続との関係者からの観測が流れポンド買いが広がったが、足元では上昇一服に。

 ロンドン市場では、リスク回避の円買い・ドル買いの動き。前日のNY市場では米支援策の大統領選前の合意に暗雲が漂い米株が下落した。きょうも時間外取引で米株先物が続落している。欧州株も大幅安となっている。フランス大都市での深夜外出禁止措置に加えて、ロンドンでも新型コロナで高度の制限を導入へ、人同士の接触抑制すると報じられた。ドイツなどでは一日当たりの新型コロナ感染者数が過去最多となった。ポンドにとっては、英欧通商交渉が難航するなかで、英国側はきょうにでも交渉継続か否かの判断を示すもようだ。様々な不透明感が重なっている。ユーロドルは1.17台前半へ、ポンドドルは1.29台前半へ、豪ドル/ドルは0.70台後半へと下落。ユーロ円は123円台前半、ポンド円は136円台前半、豪ドル円は74円台半ばへと下押しされている。ドル円は105円台前半で方向性に欠ける取引が続いている。

 NY市場では、ドル買いの動きが優勢。リスク回避のドル買いとなった。英国、フランス、ドイツといった欧州主要国で感染第2波が拡大しており、新感染者は過去最多に膨らんでいる。その状況下で、各国政府が再び活動制限の導入を発表しており、市場には再び不安感が広がっている模様。米与野党の追加対策協議も依然として出口が見えない中で、年内の合意成立への期待が後退。少なくとも大統領選までの合意への期待はほぼ無くなったとまで見られている。ユーロドルは戻り売りに押されて1.16台に下落する場面があった。ユーロ円は123円近辺へと軟化。ポンドドルも戻り売りが強まり。1.28台へと下落。きょうはEU首脳会議が行われており、EU首脳は対英関係の結論を採択し、英国との貿易交渉を今後数週間継続することを要求している。バルニエEU首席交渉官も「向こう数週間、集中協議を継続する」と述べ、協議継続を示唆した。一方、英政府は、EU首脳会議には驚きと失望したとし、明日対応を表明するとの報道が伝わっている。

(16日)
 東京市場は、ややリスク警戒の動き。ドル円は105円台前半で頭の重い展開で、一時105.20近辺まで水準を下げた。ユーロ円も123円台前半での弱保ち合いとなり、123.12レベルまでじり安となっている。ユーロドルは1.17台前半での揉み合いから、午後には1.17台割れへと小安い。ポンドは前日からの安値水準に張り付いており、反発力は鈍い。対ドル1.28台後半、対円135円台後半での推移。今日まで行われるEU首脳会議への注目、この後英政府が発表する英・EU通商協議に関する英国の対応を前に、様子見となっている。

  ロンドン市場では、ポンド相場が激しく振幅。ジョンソン英首相の発言に注目が集まった。序盤はポンド買いが先行。1.29割れ水準から1.2962レベルまで上昇。英首相のEUとの交渉についての発表を控えてのポジション調整および期待もあったようだ。しかし、ジョンソン英首相は、「EUは真剣な交渉を拒否した、オーストラリア型の合意の準備をすべき、EUが根本的なアプローチ変更をしなければ、合意なき離脱に向かうだろう」なとと厳しくEUを責め立てた。これを受けてポンドドルは1.2865レベルまで一時急落。ポンド円も135円台後半から136.40近辺まで買われたが、英首相発言で一時135.40付近まで急落。ただ、交渉を打ち切るとの明言はなく、ポンド売りは一服。その他主要通貨の値動きは限定的。ドル円は105.20-35レベルでの揉み合いに終始。ユーロ相場も小動きだが、英首相発言後は対ポンドでの買いにやや水準を上げている。ユーロドルは1.17台前半、ユーロ円は123円台前半での取引。欧州株は堅調に推移しており、株式市場にはリスク警戒感はみられず。

 NY市場でドル円はやや買いが優勢となり、105.40円近辺の21日線付近での推移。きょうの市場はワクチン開発への期待が復活しており、市場にはリスク選好の雰囲気も見られている。ファイザーのブーラCEOが、「独ビオンテックと共同開発中のワクチン候補は11月下旬までに、緊急使用許可を申請する用意ができる」と述べたことに期待感を高めているようだ。ただ、ドルと円の方向感が同じ中で、リスク選好のドル安と円安が相殺し合っており、ドル円は105円台で方向感のない状況に変化はない。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

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