【来週の注目材料】新型コロナウイルス警戒はいつまで、警戒感が円売りにつながる新しい流れに
ドル円は先週半ばからドル買い円売りが一気に強まりました。
今月に入って米ISM製造業景気指数、米雇用統計などの好結果が続くなど、米経済統計は全般に好調。新型コロナウイルスの感染拡大懸念や、中国経済の鈍化懸念に世界的に先行き不透明感が広がり、欧州、日本などの景況感悪化が懸念される中で、米国独り勝ちの状況に。こうした動きが今月に入ってのユーロドルの1.11手前から1.07台への下落(ユーロ安ドル高)を誘うなど、ドルはほぼ全面高となりました。
ドル円も108円30銭前後から110円台を付けるところまで上昇していたものの、その後新型コロナウイルス感染拡大懸念でのリスク警戒の動きに110円近辺で頭を抑えられる展開が続きました。しかし、横浜港に寄港しているクルーズ船での感染被害拡大や、日本での新型コロナウイルス感染による死亡者の発生などを受けて、海外市場では日本も当事国との一つという意識が強まったと見られ、19日の海外市場で円売りが一気に拡大。112円台への上昇につながる展開となりました。
今週もこの新型コロナウイルスにらみの展開が続きそう。リスク警戒での円買い、いわゆる「有事の円買い」がこれまでの一般的な流れでしたが、有事に買われることが多く「有事のドル買い」という動きが一般的だった時に、911同時多発テロやリーマンショックの際にはドル売りが強まったように、当事国となった場合はその限りではありません。一服しつつある中国の感染者数拡大が止まらなかった場合や、中国以外のアジアの国での感染被害拡大などが見られると、円売りの動きが加速する可能性もありますので要注意です。
一方で米指標の好結果や、先週もナスダックが史上最高値を更新するなど好調な株式市場動向を受けたドル買いの動きも継続。ドル円はドル買い円売り両面から上方向への動きが見込まれています。
急激なドル高円安に高値警戒感も見られますが、地合いは相当強そうです。
執筆者 : MINKABU PRESS
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