ドル円は107円台前半 イラン情勢への懸念も圧迫=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってドル円は下げ一服となっているものの107円台前半での推移が続いている。きょうのNY為替市場はドル売り・円買いが優勢となり、ドル円は売りが強まった。前日のFOMCを受けて市場は早期利下げ期待を加速させており、米10年債利回りが心理的節目の2%を下回る中、ドル売りが強まっている状況。
前日のFOMCを受けて一部からは7月利下げの声も強まっており、0.5%の大幅利下げとの声まで出て来ている。特にパウエルFRB議長の会見での「多くのFOMCメンバーが利下げの見方を適切と考えている」との発言は、利下げ期待を高めている市場にとっては耳障りの良い内容だったようだ。
そのほか、円高の動きもドル円を圧迫している。イラン情勢が緊迫化しており地政学リスクが意識されているようだ。イランの革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡上空で米国無人偵察機を撃墜したことで緊張が高まっている。トランプ大統領はツイッターで「イランは非常に大きな間違いを犯した」とツイートしていたが、軍事行動への警戒も出ており、緊張感が走っている模様。
ドル円はきょうの下落で、下にレベルシフトした兆候も見せ始めており、今後の動向が警戒される。
ユーロドルは1.13ドル台を一時回復。きょうの上げで21日線で反転した格好となっており、100日線も上回ってきている。前日のFOMCを受けて早期の米利下げ期待が高まっており、ユーロドルを押し上げている。
ただ、上値にも限界があるとの指摘も多い。きょうはタカ派のクノットECB理事の発言が伝わっていたが、成長が回復しなければECBは緊急の計画について積極的に検討すると語っていた。ECBも追加の緩和策に前向きになる中、ユーロの上値には慎重な面も見られる。200日線が1.13ドル台半ばに来ており、目先の上値メドとして意識されそうだ。
ポンドドルは1.27ドルちょうど付近での推移。きょうは英金融政策委員会(MPC)が開催され、予想通りに金利据え置きいた。ただ、声明では、従来の利上げが必要との見方は維持したものの、合意なき離脱リスクが高まったとの認識を示していた。世界経済の見通しが弱まったことも認めている。従来よりはハト派に転じたとの印象からポンドは売りの反応を見せていたが、ドル売りが強まる中、まもなく買戻されている。
NY時間に入って英保守党党首選の結果が発表され。ジョンソン前外相とハント外相が決選投票に駒を進めた。ジョンソン氏はEU離脱強硬派の急先鋒で、場合によっては、合意無き離脱も準備する必要に言及していた。一方、ハント氏は合意無き離脱は完全否定している。ポンド相場からすればハント氏がポジティブなのかもしれないが、今回の議員投票でジョンソン氏は大差で勝利している。
22日から全国16万人の保守党員に向け、1ヵ月間の選挙活動が開始される。その間に郵送による投票が実施され、結果は7月22日に判明する予定。
*英保守党党首選結果(20日)
ジョンソン氏:160票
ハント氏:77票
ゴーヴ氏:75票(落選)
minkabu PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。