【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:中銀イベントと米株安交錯で175円台の底堅さ確認、ロールリバーサル意識の176円台半ばを巡る攻防へ
【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:中銀イベントと米株安交錯で175円台の底堅さ確認、ロールリバーサル意識の176円台半ばを巡る攻防へ
先週から週明け(10月26日〜11月2日)のまとめ
10月26日からの週は、前週に世界的なハイテク株安を契機として強まったリスク回避の円買い圧力が一服し、日米欧の重要中銀イベント(FOMC、ECB、日銀)や英秋季予算案を控えるなか、175円台前半のサポートを確認しつつ水準を切り上げる展開となった。週初26日は格付け大手ムーディーズによるフランス格付け据え置きや独Ifo景況感指数の上振れを好感し、一時176.43円まで反発。しかし、かつての下値支持帯であった176円台半ばが上値抵抗線(レジスタンス)として意識されたことや、フランス財政不安を背景としたユーロ安・ドル高に押され、週半ばにかけては175円台半ばから後半で上値の重いもみ合いが続いた。29日のECB理事会では金利据え置きとなったものの、ラガルド総裁が追加利上げの選択肢を残したことで176円台前半へ買い戻された。30日には日銀の物価見通し上方修正を受けて朝方に176.59円まで上伸したが、植田総裁が会見でタカ派的な姿勢を示したことや、アマゾン・インテル決算を受けた米株急落が重石となり、夜間には一時175.07円まで急落。それでも175円の節目を死守すると、週明け11月2日の東京市場ではドル円の持ち直しに伴い買い戻しが優勢化し、一時176.55円まで上昇。前週にブレイクされた176円台半ばのレジスタンス帯を上抜けるかどうかの正念場を迎えている。
詳細な値動きの振り返り
■ 仏格付け据え置きによる反発と対ドル軟調による上値の重さ(10月26日〜10月27日)
26日(月)の東京市場では、早朝に175.38円まで下落したものの、仲値にかけてのドル買いや株価の下げ止まりから176.35円まで買い戻された。ロンドン市場では、ムーディーズによるフランス長期信用格付け据え置き(Aa3維持)の安心感や独10月Ifo景況感指数の市場予想上振れを受け、欧州株高・リスク選好の円売りからユーロ円は一時176.43円まで上値を伸ばした。しかし、旧サポート帯(176.40〜176.50円)のレジスタンス化が意識され、NY市場では全般のドル高に伴うユーロドル軟調に押されて176円付近へ押し戻された。
27日(火)の東京市場では176.00〜176.24円の狭いレンジで推移。ロンドン市場に入ると、フランスの格下げ警戒再燃や財政赤字削減への不透明感からユーロドルが1.1163ドルへ下落し、連動してユーロ円も175.60円まで軟化した。NY市場では米株式市場の落ち着きで円売りが入る場面もあったが、翌日のFOMCや日銀会合を控えて見極めムードが強く、175円台後半での膠着が続いた。
■ FOMC前の膠着とECB後のラガルド発言による一時反発(10月28日〜10月29日)
28日(水)の東京市場では、ドル高の継続や日経平均の戻りの鈍さから175.60〜175.96円で神経質なもみ合い。ロンドン市場ではフランス財政不安からユーロドルが年初来安値に並ぶ1.1113ドルまで下落したことに引きずられ、ユーロ円も175.41円まで水準を切り下げた。NY市場ではFOMCで政策金利が予想通り据え置きとなり、ウォーシュFRB議長会見で次回利上げの明確なシグナルが見送られたことでドル売りが優勢化。さらに英秋季予算案が無難な通過となった安心感からポンド急反発に連連動し、ユーロ円は176円台を回復して引けた。
29日(木)の東京市場では、未明の高値176.40円から戻り売りに押され、175.75〜176.00円へ軟化。ロンドン市場ではECB理事会を控えて様子見が強まった。NY市場ではECBが政策金利据え置きを決定後、ラガルド総裁が「インフレ上振れリスクを注視」「必要なら追加利上げを排除しない」とタカ派的な余地を残したことでユーロ買いが急拡大。米アルファベット決算後のハイテク株安や米金利低下でドル円が急落する局面では一時175.45円まで連れ安したものの、対ドルでのユーロ急伸に支えられて下値を堅持し、176円台前半へ持ち直した。
■ 日銀タカ派傾斜と米株急落による175円トライ、週明けの176円台半ば突破(10月30日〜11月2日)
30日(金)の東京市場では、日銀会合で現状維持が決定されたものの、同時に公表された展望レポートで物価見通しが上方修正されたことを受け、原油急騰によるドル買いも手伝って朝方に週間最高値となる176.59円まで急伸した。しかしロンドン時間に入ると、植田総裁が記者会見で「物価見通しは上振れリスクの方が大きい」「毎会合で情勢を点検して判断する」と12月利上げの地ならしとも取れるタカ派姿勢を示したことで円買いが急加速。ナスダック先物の急落も重なり、176.46円から175.70円台へ大幅に反落した。NY市場ではアマゾンやインテルの決算を受けた米株大幅安からリスク回避の円買いが一段と強まり、一時175.07円まで急落。しかし前週安値(175.10円)の手前で強力な買い支えが入り、10月末の実需買いも交錯して175.83円で週の取引を終えた。
週明け11月2日(月)の東京市場では、早朝に175.55円まで軟化後に買い戻しが先行。日経平均の堅調さやドル円の157円台後半への上昇に支えられ、午後には176.55円まで上伸。前週の戻り高値を上回り、176.50円水準の攻防へと持ち込んでいる。
ファンダメンタルズ分析
日本・米国側:日銀12月利上げ観測の台頭と米雇用統計・中間選挙を控えた警戒感
日銀の金融政策決定会合を経て、市場では12月会合での追加利上げ観測が急速に現実味を帯びている。展望レポートで物価の上振れリスクが明記され、植田総裁が「局面変化を念頭に毎会合で議論する」と前向きな姿勢を崩さなかったことは、中長期的な円高圧力としてクロス円の上値を重くする要因である。一方、米国側では先週のFOMCでウォーシュ議長が先行き方針について慎重姿勢を維持した。今週は米中間選挙(3日)と米10月雇用統計(6日)という二大政治・経済イベントが控えている。中間選挙で議会のねじれが意識される中、週末の雇用統計が堅調であれば12月米利上げ期待からドル高・円安が波及しやすい一方、米ハイテク株の決算を受けた株式市場の不安定化が再燃すれば、安全資産としての円買い圧力が再びユーロ円の頭を押さえる構図となる。
欧州側:ラガルド総裁の利上げ余地示唆と根強い景気・財政リスクのせめぎ合い
ECB理事会では予想通りの現状維持となったが、ラガルド総裁が今後の利上げ継続の選択肢を完全に排除しなかったことが、対ドル・対円でのユーロ急落を防ぐ防波堤となった。ムーディーズの仏格付け据え置きに続き、独Ifo景況感指数が市場予想を上回ったこともユーロのショートカバーを後押ししている。しかし、フランスのバルニエ政権が直面する巨額の財政赤字削減問題や政治基盤の脆さは依然として燻っており、抜本的な解決には至っていない。今週発表されるユーロ圏の主要景況感指数(製造業・サービス業PMI改定値)や失業率、卸売物価指数において域内景気の減速が改めて意識されれば、金利引き上げ期待は後退しやすい。ファンダメンタルズ面ではユーロ単独での力強い上昇トレンドは見込みにくく、ドル円の動向や世界的な株価・リスクセンチメントに左右される展開が続く見通しだ。
テクニカル分析
トレンド判断
10月23日につけた安値「175.10円」に続き、10月30日の米株急落局面でも「175.07円」で下げ止まり、日足ベースで強固な「ダブルボトム(二重底)」を形成した。これにより、前週懸念された175円大台割れから昨年安値(174円割れ)への一方的な下値模索リスクは大幅に後退している。
一方で上値は、前週ブレイクされてレジスタンスへと転換(ロールリバーサル)していた「176.40〜176.50円」の水準に週明け2日時点で再び突入し、一時176.55円まで上値を伸ばしている。ここを日足終値ベースで明確に上抜けて定着できれば、下落トレンドはいったん終息し、従前のボックス圏である「176.50〜177.50円」へステージを押し戻すことになる。抜けきれずに反落した場合は、再び「175.00〜176.50円」の持ち合いレンジが継続する公算が大きい。
【ユーロ円 主要なレジスタンス・サポートライン(見直し)】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 177.80 - 178.00円 (10月中旬の保ち合い高値水準、強力な中長期抵抗帯)
レジスタンス2: 177.10 - 177.30円 (10/22急落前の支持帯、177円の心理的節目)
レジスタンス1: 176.50 - 176.60円 (10/30高値176.59円および11/2戻り高値水準、ロールリバーサルの分岐点)
(下値支持帯)
サポート1: 175.80 - 176.00円 (10/30〜11/2の押し目水準、176円の心理的節目)
サポート2: 175.00 - 175.10円 (10/23安値175.10円・10/30安値175.07円で形成された強固なダブルボトム支持帯)
サポート3: 174.00 - 174.50円 (175円大台割れ時の構造的サポートゾーン、昨年11月安値圏)
今週のポイント・見通し
今週の焦点は、週明けに試している「176.50〜176.60円」のレジスタンスゾーンを完全に突破して177円台への復帰を果たせるか、それとも頭を押さえられて再び175円台へ押し戻されるかにある。米中間選挙(3日)や米雇用統計(6日)、英中銀(BOE)の金融政策発表など外部環境のイベントが目白押しであり、ドル円のボラティリティ波及に警戒が必要となる。
【メインシナリオ】176円台半ばの攻防と175円台後半〜177円手前でのレンジ推移
175.00円のダブルボトムが強固に機能していることや、ドル円が157円台後半で底堅く推移していることから、ユーロ円も下値不安が後退し底堅い地合いを保つと想定する。ただし、日銀の12月利上げ観測が円を支える一方、フランス財政不安がユーロの上値を抑えるため、176円台半ばを突破しても177円台前半では戻り売りに押されやすい。週間を通じて「175円台後半から177円手前」を中心とした水準訂正のレンジ相場をメインシナリオとする。
想定レンジ: 175.50 - 177.20円
根拠: 175.00円のダブルボトム支持帯の堅牢さ、ドル円の底堅さ、日銀12月利上げ観測に伴う上値の重さ、米中間選挙・米雇用統計を前にした積極的なリスクテイクの手控え。
【対抗シナリオ】米中間選挙・雇用統計ショックに伴う177円台後半への上放れ、または米株安再燃による175円割れ
米中間選挙が無難に通過し、米10月雇用統計の力強い結果を受けてドル円が158.50円の200日移動平均線を上放れた場合、ユーロ円も連動して176.60円を明確にブレイクし、177.50〜177.80円までショートカバーが加速する可能性がある。逆に、米雇用指標の大幅悪化や米株安再燃、中東地政学リスクの緊迫化が生じた場合は、安全逃避の円買いから175.00円を割り込み、174円台前半まで下値を広げるリスクシナリオも想定される。
想定レンジ: 174.50 - 177.80円
根拠: 米政治・雇用イベントを受けたドル円の急変動、米ハイテク株の乱高下に伴うリスクオフの円買い再燃。
総評
先週の攻防を通じて「175.00〜175.10円」が強固な岩盤サポートとして確認されたことは、ユーロ円にとって最大の好材料である。10月中旬からの下落トレンドは一旦ボトムを付け、週明けには旧サポート帯であった176.50円水準を回復する動きを見せている。
基本戦略としては、176円台半ばの攻防を見極めつつ、「レンジ下限を引き付けての押し目買い(ロング)」を基本としたい。具体的には、175.70〜176.00円近辺への押し目を丁寧に拾い、176.50〜177.00円近辺での利食いを目指す回転売買が有効とみる。ストップロスは強固なダブルボトムを下抜ける174.90円割れに設定する。
一方で、176.60円手前で上値の重さが確認される場面では短期的な逆張りショートも検討できるが、175円台の底堅さが意識されているため深追いは禁物である。今週は米中間選挙や雇用統計によるドル発の急変動が予想されるため、重要指標発表前後のポジションサイズ調整を徹底したい。
今週の主な指標
ユーロ圏・欧州
11/2 18:00 ユーロ圏・製造業PMI(改定値)(10月)
11/3 19:00 ユーロ圏・失業率(9月)
11/4 18:00 ユーロ圏・サービス業PMI(改定値)(10月)
11/5 19:00 ユーロ圏・卸売物価指数(PPI)(9月)
11/5 21:00 英・BOE政策金利発表、議事要旨公表、金融政策報告書(MPR)
11/5 21:30 ベイリーBOE総裁 記者会見
11/6 19:00 ユーロ圏・小売売上高(9月)
日本・米国
11/2 24:00 米・ISM製造業景況指数(10月) 予想 54.7 前回 54.5
11/3 終日 米・中間選挙投開票
11/3 24:00 米・雇用動態調査(JOLTS)求人件数(9月) 予想 710.0万件 前回 707.9万件
11/4 22:15 米・ADP雇用統計(10月) 予想 +7.0万人 前回 +9.0万人
11/4 24:00 米・ISM非製造業景況指数(10月) 予想 54.7 前回 54.9
11/6 22:30 米・雇用統計(10月) 非農業部門雇用者数 予想 +6.5万人(前回 +2.9万人)、失業率 予想 4.2%(前回 4.2%)
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。





