【通貨別まとめと見通し】スイス円:日銀会合直後に192円大台を記録も米株安で急反落、190円台半ばで底堅さ発揮し191円台後半へ再浮上
【通貨別まとめと見通し】スイス円:日銀会合直後に192円大台を記録も米株安で急反落、190円台半ばで底堅さ発揮し191円台後半へ再浮上
先週から週明け(10月26日〜11月2日)のまとめ
10月26日からの週は、週前半の190円台前半を中心としたもみ合いから、週後半にかけて一時192円の大台に乗せる急伸を見せた後、日銀タカ派会見や米ハイテク株安による急反落を経て、再び下値を切り上げて買い戻される荒い値動きとなった。週初26〜27日は、米ハイテク株の買い戻しで前週のリスク回避的な円買いが一服した一方、フランスの財政不安に伴う欧州警戒感や全般のドル高が重石となり、190.07〜190.79円の狭いレンジ内で推移。28日ロンドン市場では中東情勢の緊迫化報道に伴うドル買いに押されて一時週間最安値となる189.87円まで下落し、190円を割り込む場面が見られた。しかし、同日のFOMCでウォーシュFRB議長が慎重姿勢を示したことでドル安が進むと、29日にはラガルドECB総裁の追加利上げ示唆やアルファベット決算後の米株安を契機に、安全通貨としてのスイスフラン買い(フラン高)が加速し、190.92円まで水準を切り上げた。30日東京市場では、日銀金融政策決定会合の現状維持決定前後に一時192.01円まで急伸し、10月20日以来となる「192円の大台」を回復。しかし、午後の植田総裁記者会見でのタカ派スタンス(追加利上げ示唆)を受けてドル円が急落したことや、アマゾン・インテル決算ショックに伴う世界的な株安による円買いが重なり、ロンドン・NY市場にかけて190.53円まで約1.5円幅の急反落を余儀なくされた。それでも安全資産同士の綱引きの中で190円台半ばが強固なサポートとして機能し、191.02円で越週。週明け11月2日の東京市場では、米株先物の落ち着きを受けて早朝安値190.69円から買いが優勢となり、午後には191.71円まで上値を伸ばした。足元も191.67円近辺で高止まりしており、192円台の節目再攻略をうかがう地合いを形成している。
詳細な値動きの振り返り
■ 欧州リスク警戒とドル高による189円台への下押し(10月26日〜10月28日)
26日(月)の東京市場早朝は190.07円まで売りが先行したものの、日経平均の反発やドル円の157円台回復を支えに9時30分には190.79円まで買われた。しかしロンドン・NY市場にかけては、主要イベント待ちの様相が強く190.30〜190.50円台での膠着に終始した(終値190.35円)。27日(火)は、フランスの政治・財政不安を背景としたユーロ売り・ドル買いが全般のドル高を促す中、ドル円が157.83円まで上昇した流れに連れてロンドン序盤(17時)に190.70円まで買われた。しかし、欧州株の軟調や対ドルでのフラン売りが重石となり、18時30分には190.17円まで押し戻され、方向感を欠く展開が続いた(終値190.42円)。28日(水)の東京市場では190.65円まで持ち直したものの、ロンドン市場に入ると中東情勢を巡る地政学報道から原油高・ドル高が進み、他通貨でのドル買いに押されて18時台に週間最安値となる189.87円まで急落。節目の190円を割り込んだ。しかし、189円台後半では実需の買いが厚く、NY市場でFOMC後にウォーシュ議長が次回利上げシグナルを見送ったことでドル安が進むと、190.52円まで急反発して引けた(終値190.52円)。
■ 安全通貨買いと日銀会合直後の192円大台トライ(10月29日〜10月30日午前)
29日(木)の東京市場は190.40〜190.60円台で推移。ロンドン市場ではECB理事会後にラガルド総裁が追加利上げの可能性を示唆したことで欧州通貨全般に買い戻しが入り、NY市場にかけてはアルファベット決算を契機としたAI関連株急落に伴うリスク回避から、安全通貨としてのスイスフラン買いが活発化。ドル円が157円台後半で底堅く推移する中、対ドルでのフラン高がスイス円を押し上げ、深夜には190.92円まで上値を切り上げた(終値190.92円)。30日(金)の東京市場に入ると、日銀金融政策決定会合の結果発表を控えて思惑的な買いが先行。現状維持決定の直後となる10時台には週間最高値となる192.01円まで急伸し、節目の192円台に乗せる場面が見られた。
■ 植田総裁会見・米株暴落ショックと週明け191円台後半への反発(10月30日午後〜11月2日)
192円タッチ後は達成感から戻り売りに押され、展望レポートでの物価見通し引き上げを受けて東京午後に191.40円台へ反落。15時30分からの植田日銀総裁記者会見で「物価見通しは上振れリスクが大きい」「毎会合で情勢を点検して判断」とタカ派スタンスが確認されると円買いが加速した。さらにロンドンからNY市場にかけて、前日のアマゾン・インテル決算ショックを受けた米ハイテク株の急落やナスダック先物安が直撃。世界的なリスク回避の円買いからドル円が156円台へ急落したことに連動し、スイス円もストップロスを巻き込んで23時台には190.53円まで一気に水準を切り下げた(高値から約1.5円幅の急落)。しかし、安全通貨同士の綱引きとなったことで下値追いは限定的となり、引けにかけて買い戻されて191.02円(31日早朝)で取引を終了。週明け11月2日(月)の東京市場では、米株急落の一服と日経平均の底堅さを背景に、早朝安値190.69円から買い戻しが優勢となった。仲値通過後もじり高歩調を辿り、13時30分には191.71円まで上値を伸ばして前週後半の下落分を大半解消。足元も191.67円近辺で高止まりしており、強気地合いを取り戻している。
ファンダメンタルズ分析
日本・米国・リスク環境側:日銀利上げ観測と米ハイテク株の波乱、円の安全通貨買い
日本側では、日銀が30日の会合で現状維持を決めたものの、展望レポートでの物価見通し上方修正や植田総裁のタカ派会見を受けて、12月会合での追加利上げ観測が根強く残っている。米国側では、FOMCでのウォーシュ議長会見により早期の利上げシグナルが見送られたものの、アルファベットやアマゾン、インテルの決算を機にAIインフラ投資への過剰懸念が広がり、株式市場のボラティリティが高止まりしている。株安局面では円とスイスフランの双方が安全資産として買われる傾向があるが、先週末は日銀会合直後だったこともあり円買い圧力が一時的に勝り、スイス円の急反落をもたらした。ただし、ドル円が157円前後で下値を固めているため、クロス円全般の底堅さは維持されている。
スイス・欧州側:安全資産としてのフラン需要と欧州政局不安、SNBの利下げ余地
スイス固有の材料としては、フランスの政治・財政不安(ムーディーズによる格付け据え置き後も燻る財政懸念)を背景に、対ユーロでスイスフランが選好されやすい構図が続いている。スイス国内のインフレ率は極めて落ち着いており、スイス国立銀行(SNB)による将来的な追加利下げ観測は残るものの、世界的な地政学リスク(中東情勢の緊張)やハイテク株の波乱局面では「究極の安全通貨」としてのフラン買い需要が極めて強固である。対ドルでのフラン高がスイス円の強力な下支えとなっており、円買い圧力を相殺する原動力となっている。
テクニカル分析
トレンド判断
日足・4時間足レベルで見ると、10月28日の週間最安値(189.87円)を谷底として、10月30日には192.01円まで急伸。その後、株安と日銀会合を受けて190.53円まで急反落したものの、直近の押し目安値(190.50円前後)を割り込むことなく、週明け11月2日には191.71円まで力強く切り返した。これにより、下値を「189.87円→190.53円→190.69円」と着実に切り上げる上昇トレンド(Higher Lows)を維持している。上値は10月20日高値(192.13円)および10月30日高値(192.01円)による「192.00〜192.15円のダブルトップ水準」が極めて強固なレジスタンスとして意識されているが、足元で191.50円を上回って推移していることから、再度192円の大台ブレイクを試す上昇トレンド回帰の局面に位置している。
【スイス円 主要なレジスタンス・サポートライン(見直し)】
(上値抵抗帯)
レジスタンス3: 192.60 - 192.80円 (192円ブレイク時の上値目標水準、年初来高値圏)
レジスタンス2: 192.00 - 192.15円 (10/20高値192.13円・10/30高値192.01円、心理的大台の極めて強固な壁)
レジスタンス1: 191.70 - 191.80円 (11/2高値191.71円・10/30ロンドン戻り高値水準、目先の関門)
(下値支持帯)
サポート1: 191.00 - 191.15円 (心理的節目191円、10/31引け値191.02円・11/2東京早朝の戻り安値圏)
サポート2: 190.50 - 190.70円 (10/30NY安値190.53円・11/2早朝安値190.69円、日銀会合後の防衛ライン)
サポート3: 189.80 - 190.00円 (10/28週間最安値189.87円水準、190円心理的大台の構造的支持帯)
今週のポイント・見通し
今週の焦点は、190円台半ばで固めた下値を足場に、前週跳ね返された「192.00〜192.15円の強固な二重天井」を上抜けて青天井の上昇トレンドへ持ち込めるかにある。
【メインシナリオ】下値切り上げ継続による191円台固めと「192円の壁」再挑戦
米株安パニックの一服とドル円の157円台での底堅さを背景に、安全通貨としてのスイスフラン固有の買いが下値を支える展開を想定する。日銀の追加利上げ観測による突発的な円買いが入っても、サポレジ転換点である191.00円近辺や190.50〜190.70円ゾーンでは押し目買いが先行しやすく、191円台後半から192.00円の節目を試す展開をメインシナリオとする。
想定レンジ: 190.70 - 192.30円
根拠: 190.50円近辺での明確な下値切り上げ、欧州政局不安に伴う対ユーロでのフラン選好、ドル円の157円台での安定、一方で192.00〜192.15円ゾーンに控えるダブルトップの戻り売り圧力。
【対抗シナリオ】米雇用統計・米株急落による190円割れ、または192円ブレイクによる踏み上げ急伸
米ハイテク株の急落が再燃し、週末の米雇用統計悪化などでリスクオフの円買いが加速した場合、ドル円の急落とともにサポート2(190.50円)を割り込み、189.80〜190.00円の節目まで押し戻されるリスクがある。逆に、米指標が無難に通過して株高・円売りが強まり、192.15円を明確に上抜けた場合は、蓄積されたショートのストップロスを巻き込んで192円台後半まで一気に上昇が加速するシナリオも想定される。
想定レンジ: 189.80 - 192.80円
根拠: 米雇用統計・ISM指標に伴うドル円の乱高下、米AI・半導体株の急変動、192円突破時のショートカバー巻き込み。
総評
10月第5週のスイス円は、日銀会合直後に192.01円まで急伸して年初来高値圏をうかがったものの、植田総裁のタカ派会見と米株暴落ショックが直撃し、一時190.53円まで急落する激しい乱高下を演じた。しかし、安全通貨としてのフランの底堅さが発揮され、190円台半ばを死守して週明けには191円台後半へ急速に切り返したことは、基調としての買い圧力の強さを如実に物語っている。
基本戦略としては、下値切り上げトレンドの継続を意識した「押し目買い(ロング)」を基本方針としたい。具体的には、短期サポートである「191.00〜191.20円ゾーン」への押し目を引き付けてエントリーし、まずは直近高値である191.70円の上抜け、そして192.00〜192.15円の強固な二重天井手前での着実な利益確定を狙うスタンスが有効と考える。ただし、日銀利上げ懸念や米株急落の再燃によりサポート2である190.50円を明確に割り込んだ場合は、調整深化と判断して速やかに撤退し、190円前後での値固めを待つ規律あるリスク管理を徹底したい。
今週の主な指標
スイス
11/3 16:30 スイス・消費者物価指数(CPI・10月)
11/5 15:45 スイス・失業率(10月)
11/6 17:00 スイス・外貨準備高(10月)
日本・米国
11/2 24:00 米・ISM製造業景況指数(10月)
11/3 終日 日本・文化の日(東京市場休場)
11/4 24:00 米・ISM非製造業景況指数(10月)
11/6 22:30 米・雇用統計(10月非農業部門雇用者数、失業率、平均時給)
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。





