【来週の注目材料】比較的無難な結果が予想される=米雇用統計
【来週の注目材料】比較的無難な結果が予想される=米雇用統計
11月6日に10月の米雇用統計が発表されます。前回9月の米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が+2.9万人と、市場予想の+8.9万人を大きく下回りました。8月分も+16.2万人から+13.3万人に下方修正されています。失業率は4.2%と8月の4.1%から悪化し、4.1%で横ばいを見込んでいた市場予想より弱い結果となりました。
この結果を受けて一時的にドル売りが出る場面も見られましたが、すぐに反発し、相場への影響は限定的に留まっています。NFPは3か月平均で+5.1万人と、ダラス連銀が発表しているブレークイーブン雇用者数(失業率を悪化させないために必要な雇用者数)の3万人前後を上回って推移しており、堅調さを維持しています。また、失業率の小幅な悪化も水準自体は悪くないことや、労働参加率が61.8%と8月の61.6%から0.2ポイント改善している影響があると見られます(※1)。さらに、広義の失業率であるU6失業率(※2)が7.6%と前月の7.7%から改善したことや、平均失業期間が24.8週(8月:26.3週)へ短縮したことも、雇用環境は崩れていないとの認識につながっています。
※1 雇用環境が改善すると、これまで就業をあきらめていた層が仕事を探し始めるため、労働参加率が上昇する一方で、すぐに職が見つかるわけではないため失業率が一時的に悪化することが多い。
※2 通常の失業率(U3)に加え、就労の意思はあるものの調査期間中に求職活動を行わなかった者や、フルタイムを希望しながらパートタイムにとどまる労働者等を含めた広義の失業率。
NFPの内訳を確認すると、AIデータセンターの建設ラッシュを背景に好調が続く建設業が+1.1万人と7か月連続のプラス、8月に落ち込んだ小売業も+0.6万人と小幅ながらプラスを回復するなど、底堅い業種も見られました。一方で、情報業、金融業、対事業所サービスなどはマイナス圏が継続。これまで全体を牽引してきた教育・医療サービスが8月の+3.8万人から+2.0万人へ、娯楽・接客業が+3.7万人から+1.0万人へと伸びを縮めており、全体としては幅広くやや軟調な印象を与える結果となりました。
先行指標を確認すると、調査対象期間(12日を含む週)と重なる新規失業保険申請件数は、9月が19.8万人、10月が19.5万人とほぼ横ばいで推移しています。
10月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は91.7と、市場予想(81.0)および前月(81.9から84.2へ上方修正)を大幅に上回りました。現況・期待指数ともに改善しましたが、景気後退の警戒ラインとされる80に対して期待指数は72.6にとどまりました。雇用動向では「職を見つけるのが困難」との回答が21.4%で横ばいの一方、「職が豊富」との回答が24.3%から26.7%へ改善し、両者の差(雇用ディファレンシャル)は前月の+2.9から+5.3へと拡大しました。
今後発表される関連指標の市場予想は以下の通りです。
2日:10月米ISM製造業景気指数(予想:54.7/前月:54.5と小幅改善見込み)
3日:9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:710万件/前月:707.9万件とほぼ横ばい見込み)
4日:10月ADP雇用者数(予想:+7万人/前月:+9万人から小幅鈍化見込み)
4日:10月ISM非製造業景気指数(予想:54.7/前月:54.9から小幅鈍化見込み)
予想前後での着地であれば目立った波乱はないとみられますが、乖離が生じた場合には注意が必要です。
これらを踏まえた次回10月雇用統計の市場予想は、NFPが+5.5万人増と小幅な伸びにとどまり、失業率は4.2%の横ばいが見込まれています。平均時給は前月比+0.3%(9月:+0.1%)へ改善する一方、前年比は+2.9%(9月:+3.0%)へ鈍化する見通しです。NFP予想は直近3か月平均(+5.1万人)に近い水準であり、予想前後の着地であれば「緩やかな減速を伴う巡航速度の推移」として市場に受け止められる公算が大きいといえます。ただ、予想からの乖離が大きい指標であり、サプライズな結果には要注意です。予想を大きく上回ると12月の追加利上げ期待を押し上げる一方、予想を大きく下回り、前回よりも伸びが鈍化するような状況が見られると、利上げ期待後退からのドル売りとなる可能性があります。
MINKABUPRESS 山岡
執筆者 : MINKABU PRESS
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