為替相場まとめ3月16日から3月20日の週
16日からの週は、中東情勢の緊迫化と主要国中銀の政策イベントが重なる、二重のリスクに揺れた1週間となった。米軍によるカーグ島爆撃やイラン高官死亡、ガス田攻撃の応酬など地政学リスクが相次ぎ、原油は100ドル超から急落・急騰を繰り返した。為替市場も材料ごとに反応が変わり、ドル円は160円を目前に上値を試す場面と押し戻される場面が交錯した。有事のドル買いが優勢となる一方、ホルムズ海峡の安定期待が浮上すると原油が急落し、ドルの戻り売りが強まるなど、相場地合いは日々変化した。こうした地政学リスクに加え、米FOMCが週内最大の焦点となった。利下げに慎重な姿勢が示され、強い米PPIも重なってドル高が再浮上。パウエル議長がエネルギー価格によるインフレ上振れリスクに言及したことで、ドル円は再び160円をうかがう水準まで上昇した。一方、ユーロドルは1.14から1.16ドル、ポンドドルは1.32から1.34ドルのレンジにとどまり、対ドルでは上値が重かった。週後半は日銀会合が注目を集めた。政策据え置きは無風だったが、植田日銀総裁のタカ派姿勢を受けて円買いが優勢となり、ドル円は159円後半から一時157円台へ急落。欧州天然ガス価格の急騰や欧州株安によるリスク回避も円買いを後押しした。ECBと英中銀も金利を据え置いたが、中東情勢によるインフレリスクを強く警告し、市場では年内利上げ観測が意識され始めている。この週のドル円相場は、「中東情勢と原油 ・中銀イベント」が複雑に絡み、160円を前に不安定な相場が続いた。
(16日)
東京市場で、ドル円は159円台での推移となった。先週末の米軍によるイランのカーグ島爆撃を受けた有事のドル買いにより、海外市場で付けた2024年7月以来の高値159.75円に朝方並んだ。NY原油先物が100ドルを超える中でドル全面高の展開となったが、トランプ大統領のホルムズ海峡問題に関する発言でリスク警戒が一服し、原油の調整売りと共にドル円は159.26円へ下落した。その後、日経平均株価の大幅下落によるリスク回避のドル買いで一時159.60円台へ上昇する場面もあったが、午後には株価の買い戻しが目立ち、新規材料難からのポジション調整の動きも広がって、159.20円台へと押し戻された。ユーロやポンドも午後には対円や対ドルで値を下げる展開となった。
ロンドン市場では、ドル売りが優勢となった。イラン情勢に改善の兆しは見られないものの、明日以降の主要国の中銀金融政策発表を控えて調整の動きが入った。ドル円は東京朝方の159.75円付近から、ロンドン序盤には159.10円台まで下押しされた。160円の節目を前にした介入警戒感や片山財務相の円安牽制発言もポジション調整の売りを誘った。ユーロドルは東京早朝の安値から反発し、ロンドン勢の本格参加と共に1.14ドル台後半へと高値を伸ばした。ポンドドルも連れ高となり1.32ドル台後半へ上昇している。原油相場はNY原油先物が102ドル台から97ドル付近へと上昇が一服し、欧州株は下げ渋り、米株先物は反発するなど、株式市場は比較的落ち着いた値動きでの推移となった。
NY市場では先週のドル高が一服し、ドル円は一時158円台まで下落する場面があった。市場は中東情勢と原油価格の動向を注視しているが、トランプ大統領の各国への協力要請などを背景にホルムズ海峡の安全確保に向けた協議が続いているとの期待が高まり、WTI先物が一時92ドル台まで急落したことがドルの戻り売りに繋がった。一方でドル円は1月のレートチェック水準を一時上抜け、日本の為替介入への警戒感も高まりつつあるが、市場では介入のハードルは高いとの見方が多い。今週は各国中銀の政策委員会が予定されており、早期利下げに慎重なFOMCや、利上げの選択肢が浮上するECBおよび英中銀の動向に注目が集まる。ユーロやポンドは対ドル、対円ともに買い戻される展開となった。
(17日)
東京市場でドル円は、海外市場でのポジション調整によるドル売りから159.00円で始まると、午前中には159.40円台まで上昇しドル買いが優勢となった。トランプ大統領による艦船派遣依頼の報道で状況改善への期待が出たものの、明確な回答が得られず警戒感が継続した。朝方93ドル台だったNY原油が96ドル台へ上昇し、日経平均が下落したこともリスク警戒に繋がった。その後、原油が95ドル台前半へ下落し株価も揉み合う中で、ドル円は一時159.20円台まで売られた。しかし午後に入り、NY原油が一気に98ドル台へ急騰し、日経平均もマイナス圏へ沈むなどリスク警戒が再び広がると、ドル円は反発し午前の高値を超える159.49円を付けた。欧州通貨は午後に対ドルや対円で下落した。
ロンドン市場では、ドルが売り戻される展開となった。東京市場でのドル買いが一服した早朝、NY原油先物が98ドル台まで急伸したことで有事のドル買いが広がり、ドル円は159.49円付近、ユーロドルは1.14ドル台後半へと一時ドル高に振れた。しかし、原油高が続かず上昇が一服すると、ロンドン時間はドルの売り戻しが優勢となり、ドル円は一時158.97付近まで反落し、前日NY終値付近に落ち着いた。ユーロドルは1.15ドル台前半へ高値を伸ばし、東京市場からの値動きは「下に往って来い」の展開となっている。イラン高官死亡の報道には市場は特段の反応を示さず、欧州株は堅調に推移した。中東情勢の大きな変化や明日以降の主要国金融政策発表を控え、全体的に様子見ムードが広がる時間帯となった。
NY市場はドルの戻り売りが優勢となり、ドル円は一時158円台へ再び値を落とした。原油相場は一時98ドル台を回復したもののNY時間にかけて伸び悩み、これがドルの戻り売りに繋がった。ドル円は一時159円台半ばまで上昇したが、節目の160円には依然として慎重な姿勢が見られる。為替市場のポジションはまだ一方向に偏っておらず、明確な方向感を欠く中で159.75円の直近高値が意識されている。翌日に結果公表を控えるFOMCでは金利据え置きが確実視されており、ドットプロットやパウエル議長の会見に注目が集まっている。ユーロドルは1.15ドル台、ポンドドルは1.33ドル台半ばまで買い戻された。市場は中東紛争による原油高のインフレへの影響に注目し、各中銀の対応を見極めている。
(18日)
東京市場でドル円は、前日の海外市場でホルムズ海峡再開期待などから158.72円まで下落した後、159.00円前後で朝を迎えた。序盤は円高が優勢となり158.80円を付けたが、中東情勢への根強い警戒感から159.14円まで反発した。前日のイスラエルによる攻撃でイランの実質ナンバー2とされるラリジャニ氏の死亡が報じられ、一時的な混乱への警戒からドル円は底堅い動きを見せた。しかし、その後は原油安を伴うドル売りへと転じ、午後に入ってもドル売り円買いの流れが継続したことで、ドル円は158.50円台まで値を下げている。ユーロドルは1.15ドル台の狭いレンジでの揉み合いが続き、前日高値を僅かに更新した。ポンドドルも堅調地合いを維持しつつ値動きは抑えられる展開となった。
ロンドン市場は、米FOMCの結果発表を控えた様子見ムードが支配的となり、各通貨ペア共に方向感を欠く展開となった。中東情勢を背景とした有事のドル買いや原油高の動きがいったん落ち着きを見せる中、市場の関心はNY時間午後の金融政策発表とパウエルFRB議長の会見へと集中した。ドル円はロンドン朝方にかけて安値を158.57付近に更新した後、買戻しが広がり159円付近の揉み合いに落ち着いた。ユーロドルも安値から買戻されて1.15ドル台半ばへ高値を伸ばし、ユーロ円と共に「下に往って来い」の値動きとなった。ポンドドルやポンド円も下落後に買い戻されるなど、前日NY終値付近での推移が目立った。欧州株は続伸してリスク警戒が一服し、NY原油先物も92から96ドル水準に落ち着いている。
NY市場はドル高が優勢となり、ドル円は159円台後半まで上昇して再び160円を窺う展開となった。イスラエルがイランのガス田を空爆し、イラン側がサウジなどのエネルギー施設への報復攻撃を警告するなど、中東情勢の再緊迫化が背景にある。また、2月の米PPIが予想を上回ったこともドルを支援した。さらにFOMC後の会見でパウエル議長が、エネルギー価格によるインフレ押し上げの可能性に触れ、「インフレの進展が見られない限り利下げは行わない」と発言したこともドル高要因となった。一方、ユーロドルは戻り売りが強まり1.14ドル台へ下落し、ポンドドルも1.32ドル台まで下落した。翌日に政策発表を控える日銀、ECB、英中銀の会合に市場の関心が集まる中、インフレリスクへの警戒感が強まっている。
(19日)
東京市場は、ドル円が160円の節目を見据えつつ小動きの展開となった。日銀の金融政策決定会合の結果公表を控えて様子見姿勢が強まる中、対ドルで円がやや強含み、ドル円は159.55円付近までやや円高・ドル安推移となった。日銀は市場の予想通りに政策金利を0.75%に据え置くことを決定したが、この発表を受けたドル円相場への反応はほとんど見られず、市場の注目は直後に予定されている植田日銀総裁の記者会見へと移っている。クロス円は、時間外取引のNY原油相場が高値から調整したことで対ドルの欧州通貨などが上昇したのに伴い、ユーロ円が183.44円、ポンド円が212.36円付近まで水準を切り上げた。しかし原油相場の騰勢は依然として根強く、その後は高値水準から押し戻され上値の重い展開となっている。
ロンドン市場は円買いが優勢となった。植田日銀総裁の会見で、基調インフレに変化がなければ利上げを継続するタカ派的な姿勢が示され、市場で4月利上げ観測が高まったことが要因である。ドル円は会見前の159.80付近から序盤に159.04付近まで下落し、クロス円も揃って下落した。さらに中東でのガス田攻撃の応酬により欧州天然ガス相場が35%も高騰し、エネルギー価格上昇を嫌気して欧州株が全面安となったことで、リスク回避の円買いも加わった。一方、ドル相場は方向感なく売買が交錯し、ユーロドルは1.14ドル台後半、ポンドドルは1.32ドル台後半での推移となった。英雇用統計の失業率は前回と同水準だったが目立ったポンド買いは見られず、スイスやスウェーデンの中銀は予想通り政策金利を据え置いている。
NY市場ではドルの戻り売りが優勢となり、ドル円は157円台まで下げ幅を拡大した。中東情勢は依然として混沌としているが、ホルムズ海峡安定への期待から終盤に原油相場が下げに転じたことなどが材料視され、利益確定のドル売りが優勢となった。また、前日のFOMCに続き、本日は日銀、ECB、英中銀がそれぞれ会合でインフレへの警戒感や利上げの可能性を示唆したことで、FRBと各国中銀の金融政策スタンスの差が意識されドル高が一服した面もあった。ユーロドルは一時1.16ドル台、ポンドドルは1.34ドル台を回復している。ECBと英中銀は予想通り金利を据え置いたが、共に中東紛争によるインフレ上振れリスクに強く警告を発しており、短期金融市場では両中銀の年内の利上げ確率を高く織り込む動きを見せている。
(20日)
東京市場は、春分の日の祝日のため休場。
ロンドン市場はドル買いが優勢。東京市場が休日のなか、アジア時間は前日のドル安の反動からじり高で推移した。ロンドン序盤に「トランプ政権がイランのカーグ島占領または封鎖を検討」との一部報道が伝わると、市場は再び警戒モードへ突入。NY原油先物が97ドル付近へ急騰し、欧州債の下落・利回り上昇を招いた。これを受け、欧州株主要3指数や米株先物は下げ幅を拡大。有事のドル買いが広がり、ドル円は158.90付近へ高値を更新、ユーロドルは1.1535付近、ポンドドルは1.3364付近へ値を下げた。クロス円は総じて円安傾向だが、ポンドは英公共部門ネット負債の急増が嫌気され対ユーロで軟調。昨日の英中銀会合を受け利下げ観測が利上げに転じたことも、景気先行き不安としてポンドの上値を抑える要因となっている。
NY市場はドル高が優勢となり、ドル円は159円台に戻す展開。原油が買い戻されたことや、米国債利回りが急上昇し、ドル高に繋がっている。今週のFOMCを受けた直後では見られなかったが、本日はFRBの年内利上げ期待が台頭。短期金融市場では年内に50%の確率で1回の利上げを織り込む展開が見られていた。ただ、朝方にウォラーFRB理事のインタビューが伝わっていたが、「利上げの必要はないと考えている」と述べていた。5月に新FRB議長にウォーシュ氏が就任することを考えても、現時点で利上げまで織り込むのは時期尚早との指摘も出ていた。ホルムズ海峡の再開が見えず、イランが協議に消極姿勢との報道や、米国がイランへの地上部隊派遣の可能性に向け準備しているといったニュースも流れ、中東情勢は依然として混とんとしている。
執筆者 : MINKABU PRESS
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