米政府機関再開もドル安優勢 ドル円もロング勢が一旦退却=NY為替概況
米政府機関再開もドル安優勢 ドル円もロング勢が一旦退却=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル安が優勢となり、ドル円も一時154.15円付近まで下落した。前日同様に本日の東京時間にも何度か155円台を付ける場面が見られたものの上値を抑えられている。155円付近ではオプション勢などの防戦売りも大量に観測。ロング勢も一旦退却していたようだ。ただ、下押す動きまでは出ていない。
米政府機関の閉鎖は解除されたものの、本日の市場はリスク回避的な雰囲気が強まった。一方、FOMC委員は利下げへの慎重姿勢を繰り返しており、短期金融市場では12月のFRBの利下げ確率が50%を下回っている。
史上最長の米政府機関閉鎖は経済全体や家計への打撃も大きく、閉鎖が続いた1週間ごとに米経済の損失は100-150億ドルに上ったという試算も出ていた。エコノミストは今回の閉鎖による損失を全て回復するのは難しいと見ているようだ。
市場が気掛かりとしているのが、米経済指標の発表がどうなるのかだが、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が10月分の米雇用統計に関して、「雇用者数は公表されるが、失業率は公表されない」と述べていた。9月分については来週発表される可能性に言及。非農業部門雇用者数(NFP)は企業調査のため、企業にデータが残っている可能性が高いが、失業率は直ぐには家計調査のためデータを収集しにくい面があるのかもしれない。
なお、米労働統計局(BLS)はデータ公表の予定は分かり次第通知するとした上で、日程の最終決定には時間かかる可能性を示唆していた。
ユーロドルは一時1.16ドル台半ばまで上げ幅を拡大。本日の上げで21日線を上放れる展開が見られ、100日線が1.1665ドル付近に来ていたが、目先のポイントとして意識される。一方、ドル円は戻り売りに押されていたものの、ユーロ円は上値追いの展開を継続し、179円台後半の推移を継続。ユーロ発足以来の高値更新が続いている。
ユーロドルに強気な見方もアナリストから出ており、来年は重要な1.20ドル水準を上回る見通しだと述べている。財政刺激策の効果が発揮され、ユーロ圏は経済成長の大幅な回復が見込まれるという。原油安もユーロにとって追い風になる可能性があると指摘。ユーロドルの中期的な適正価値は、交易条件を通じてコモディティ価格に大きく左右されるとしている
ECBは利下げを終了した一方、FRBはここからさらに0.75%ポイントの利下げが実施される可能性があり、来年末までに1.22ドルまで上昇する可能性があるという。
ポンドドルは買い戻しが出ていたものの、ロンドン時間には一時1.31ドルちょうど付近まで下落するなど、上値の重い値動きは継続。一方、ドル円は利益確定売りに押されているにもかかわらず、ポンド円は一時204円台に上昇。10月に上値を拒まれた水準でもあり、回復できるか注目される。
ロンドン時間に第3四半期の英GDPが発表になっていたが、予想を下回る内容となった。9月の月次GDPに至っては、前月比0.1%のマイナス成長となっている。サービス部門が緩やかに成長したものの、製造業が大幅に落ち込んだ。
先日の英雇用統計に引き続き、12月の英中銀の利下げ期待を正当化する内容と受け止められている。現在、短期金融市場では85%の確率で利下げを織り込んでいる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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