【これからの見通し】つなぎ予算後が焦点、市場センチメントを注視へ
【これからの見通し】つなぎ予算後が焦点、市場センチメントを注視へ
米下院は明日、つなぎ予算案を採決する予定だ。最初の投票は日本時間13日午前6時とみられている。下院では共和党が優位に立ち、トランプ大統領も署名に前向きな姿勢を示しており、米政府機関の一部閉鎖は解除される公算が大きい。
市場はこの展開をおおむね織り込んでいるようだ。前日のNY株式市場ではダウ平均が再び最高値を更新した。一方、ナスダック指数は軟調で、ソフトバンクによるエヌビディア株の売却報道がAI関連株への売り圧力につながったとの指摘がある。
今後は、政府機関の再開に伴い主要な米経済指標の公表も順次再開される見通しだ。投資家にとっては待望のファンダメンタルズ材料となる。ただし、発表再開の時期や対象期間の詳細、データの信頼性などに不透明感が残る。関連指標の間で強弱が対立すれば、市場が一時的に混乱する可能性もある。
また、市場ごとに反応が異なる点にも注意が必要だ。たとえば、米雇用統計が弱い内容となれば、FRBの12月利下げ観測が高まり、株式市場には追い風となるだろう。金相場にも資金が流入しそうだ。一方で、為替市場の動きは読みにくい。
ドル円相場の焦点は日米金利差の変化だ。仮にFRBが25bpの利下げを行っても、日銀による年内の追加利上げ観測は乏しい。片山財務相は形式的な円安けん制発言を繰り返しているが、実弾介入の気配は現時点でみられない。一方、高市首相は「デフレ脱却にはなお至っていない」と述べており、当面は成長戦略を重視する構えだ。市場では、日銀が来年1月の会合で春闘関連の賃上げ動向などを踏まえ、25bpの利上げを実施するとの見方が強まっている。ただし、連続利上げを見込む声は少ない。円キャリー取引に有利な環境はしばらく続くとみられる。
しかし、これらの見通しはあくまで机上の想定である。年末を控える時期でもあり、米株中心に調整圧力が強まる場面もあり得る。その場合、リスク回避の動きから円高やドル高に振れる展開も考えられる。さらに、テールリスクとして政府・日銀が実弾介入に踏み切れば、為替相場は円高方向に急変動するおそれがある。
当面は、明日のつなぎ予算の動向と米経済統計の発表再開を確認しておきたい。
この後の海外市場では、ドイツ消費者物価指数(確報、10月)、ドイツ卸売物価指数(10月)、ドイツ経常収支(9月)、米MBA住宅ローン申請指数(11月1から7日の週)、カナダ住宅建設許可(9月)などが公表予定。
発言イベントでは、シュナーベルECB理事、デギンドスECB副総裁、ピル英中銀チーフエコノミスト、ベッセント米財務長官、ウィリアムズNY連銀総裁、ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁、ウォラーFRB理事、ハセット国家経済会議(NEC)委員長、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ミランFRB理事、コリンズ・ボストン連銀総裁らの講演・イベント参加が予定されている。併せて、米10年債入札(420億ドル規模)も実施される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。





