OECD世界経済成長見通し引き下げ、リスク警戒の動き広がる ドル円一時142円台後半=ロンドン為替概況
OECD世界経済成長見通し引き下げ、リスク警戒の動き広がる ドル円一時142円台後半=ロンドン為替概況
ロンドン市場では、リスク警戒の動きが先行した。OECD世界経済成長見通しが発表され、25-26年の数字がいずれも引き下げられた。米関税が米国経済の成長を鈍化させることが、世界経済に波及するとの見方だった。これを受けて寄り付き時には買いが先行していた欧州株が下げに転じ、米株先物・時間外取引も下げ幅を拡大。為替市場では円高やドル高の反応が広がった。ドル円は143円付近から142円台後半へ、ユーロ円は163円台前半から一時162円台後半へ、ポンド円は193円台半ばから一時192円台後半まで下落する場面があった。その後発表された5月ユーロ圏消費者物価速報が前年比+1.9%とECB物価目標を下回る水準となり、ユーロ売り反応がみられる動きも加わった。一方で欧州株の下げ渋りとともに、リスク警戒の動きは一服している。ドル円は143円付近に下げ渋っている。ポンド円は193円台を回復、ユーロ円も163円台をかろうじて回復。
ドル円は143円付近での取引。東京午前に142.38近辺まで下押しされたあとは、買いが優勢になった。植田日銀総裁が利上げを急がない姿勢を示したことに反応。143.27近辺まで高値を伸ばした。しかし、ロンドン時間にかけては上値が抑えられている。ロンドン序盤には、OECD世界経済成長見通しが引き下げられるとリスク警戒の動きとともに 142.60付近まで軟化した。しかし、その後は欧州株の下げ渋りとともに143円付近まで買い戻しが入っている。
ユーロドルは1.14付近での取引。東京朝方に1.1455近辺まで買われたあとは、上値重く推移している。ロンドン朝方のOECD世界経済成長見通し引き下げや5月ユーロ圏消費者物価速報が前年比+1.9%に鈍化したことなどを受けて一時1.1397近辺まで安値を広げた。ユーロ円は東京午前に163.71近辺まで買われたが、その後は売りに転じている。ロンドン市場では安値を162.80近辺まで広げた。OECD世界経済成長見通し引き下げがリスク警戒圧力となったほか、5月ユーロ圏消費者物価速報が前年比+1.9%とECB物価目標を下回り今週のECB利下げ観測を後押ししたことがユーロ売りにつながった。対ポンドでもユーロは軟調に推移している。
ポンドドルは1.35台前半での取引。東京朝方の1.3559近辺を高値に上値重く推移している。ロンドン序盤には1.3505近辺まで下落した。ポンド円は振幅。東京午前の193.82近辺を高値に、ロンドン序盤には192.73近辺まで下落も、足元では193円台前半と前日NY終値付近に下げ渋っている。ユーロポンドは軟調。0.8450付近から0.8440割れへと小安く推移している。ベイリー英中銀総裁は議会証言で、6月の金利決定については予測せずとしながら、不確実性を強調。市場に金利据え置きの可能性を示唆した。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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