FX/為替「ドル/円、米中貿易協議の詳細見極めへ」 外為どっとコム トゥデイ 2025年5月12日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年5月12日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼9日(金)の為替相場
(1):日本 実質賃金3カ月連続でマイナス
(2):予想以上の中国貿易黒字
(3):FRB理事「金利を据え置くべき」
(4):米大統領「対中関税は80%が適切」
(5):FRB高官様子見姿勢を示す
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米中協議の詳細待ち/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
9日(金)の為替相場
期間:9日(金)午前6時10分~10日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本 実質賃金3カ月連続でマイナス
日本3月毎月勤労統計で現金給与総額は前年比+2.1%と市場予想(+2.5%)を下回る伸びとなった。また、前月分は+3.1%から+2.7%へ下方修正された。なお物価上昇を加味した実質賃金は前年比-2.1%と3カ月連続のマイナスとなった。
(2):予想以上の中国貿易黒字
中国4月貿易収支は961.8億ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(939.0億ドル)を上回った。米中貿易摩擦の影響から対米貿易は輸入、輸出ともに前年から大幅に減少したものの、東南アジアや欧州向けの輸出が伸びた。
(3):FRB理事「金利を据え置くべき」
クーグラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事は関税政策を巡る不確実性を指摘し、「今のところ金利を据え置くべきだ」との見解を示した。
(4):米大統領「対中関税は80%が適切」
トランプ米大統領は自身のソーシャルメディアで「中国への関税は80%が適切だろう」と発信。その後、ホワイトハウスのレビット報道官は、「対中関税を一方的に引き下げることはないとの立場を大統領は堅持している」とし、「中国側の譲歩も確認する必要がある」と伝えた。
(5):FRB高官様子見姿勢を示す
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は「不確実性が非常に高い局面では、インフレ期待をしっかりと安定させることが重要」と述べた。また、ボスティック・アトランタ連銀総裁は「不確実性の中で金利を調整するのは賢明ではない」と語った
9日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:米中協議の詳細待ち
9日のドル/円は終値ベースで約0.4%下落。週末に米中貿易協議を控え、緊張緩和への期待から買われていたドルに対するポジション調整の売りが中心となった。東京時間に4月10日以来となる146.18円前後まで上昇した後は、じりじりと上値を切り下げる展開となり一時144.83円前後まで下値を拡大する場面も見られた。
週末に行われた米中貿易協議では「著しい進展」があったと米中両国が発表したことで、週明けの本日は先週末よりも80銭ほど円安・ドル高で取引が開始されている。ただ、米中貿易摩擦解消に向けて具体的な策は発表されていないことから、リスク選好の動きには傾き切れていない。目先の上値目途としては、先週高値の146.18円前後が意識されそうだ。一方で、このところ米連邦準備制度理事会(FRB)の複数メンバーが早期の追加利下げに否定的な発言をしている。利下げに慎重なFRBと利上げに慎重な日銀の姿勢はドル/円の下値を支える一因だ。米中貿易協議の詳細が本日説明される予定のため、詳細が明らかになるまでは方向感を探る動きが続きそうだ。
注目の経済指標:米財政収支
注目のイベント:MPCメンバー発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。

中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
マネーを育てよう!をテーマに、外為どっとコム総合研究所に所属する研究員が執筆するオリジナルレポートのほか豪華講師陣の貴重なFXレポート、個人投資家や著名投資家のインタビュー記事など、バラエティ豊かな情報を配信しています。為替トレンドに合わせた特集記事やFX初心者でも安心の学習コンテンツを用意しており、個人投資家の取引技能の向上に寄与すべく活動しています。