【これからの見通し】トランプ関税のドル売りに、日米為替協議の円高が加わるのか
【これからの見通し】トランプ関税のドル売りに、日米為替協議の円高が加わるのか
今週のドル円相場は、注目度が一段と高まりそうだ。トランプ関税を受けて米景気動向への不透明感が広がっており、これにトランプ氏の不規則な発言も加わって、市場では米国売り的なドル売り圧力が強まっている。さらに、今週は17日に日米貿易協議が始まり、赤沢再生相とベッセント米財務長官が話し合いを始める。加藤財務相とベッセント氏の協議の可能性についても報じられている。市場では米国から円安是正の圧力が掛けられるのでは、との思惑が広がっている。
ここ1カ月の為替動向をみると、ドルが全面安となるなかで、安全通貨としてのスイスフラン買いが突出している。それに次いて円とユーロが買われている。一方で、豪ドルやNZドル、ポンドなどはそれほど強い動きを見せていない。
直近1週間程度では、スイスフランの強さは相変わらずだが、豪ドルとNZドルがフランを凌ぐ勢いで買われている。ユーロがそれに次いでおり、円はユーロの後塵を拝している。ポンドとカナダドルも対ドルで買われているが、やや上昇率は見劣りしている。かなり、クロス取引も活発になっている状況だ。
現時点ではスイスフラン高が安定的となっているようだ。ただ、上記の日米協議のなかで、為替に関する注目が付くようだと一気に円買いが強まる可能性もあり注意したい。逆に、市場の思惑に反して円安是正に対する圧力がそれほどみられなければ、一気に円安方向に短期ポジションが巻き戻されるリスクもはらんでいる。
ドル円の短期変動性を示す1週間オプション動向は、先週末に22%近くまで上昇する場面があった。現在は18.4%と依然として高水準にある。昨年8月初頭のボラティリティー水準は22.9%に達していた。そのときのようなパニック的な円高相場が再現される可能性も留意しておきたい。
この後の海外市場で発表される経済指標は、トルコ経常収支(2月)、カナダ卸売売上高(2月)、米NY連銀インフレ期待(3月)など比較的注目度の低い指標群にとどまっている。発言イベント関連では、ウォラーFRB理事、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁などの講演が予定されている。今週は木曜日にECB理事会を控えており、きょうはECB当局者の発言予定は組まれていない。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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