FX/為替「ドル/円、トランプ関税でドル買いと円買いが交錯」 外為どっとコム トゥデイ 2025年2月10日号
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年2月10日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼7日(金)の為替相場
(1):独鉱工業生産 予想を下回る
(2):米雇用統計で乱高下
(3):米期待インフレ率が急上昇
(4):米大統領「相互関税」導入計画を公表
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドル買いと円買いが交錯/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
7日(金)の為替相場
期間:7日(金)午前7時10分~8日(土)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):独鉱工業生産 予想を下回る
独12月鉱工業生産は前月比-2.4%と予想(-0.7%)を超える大幅な落ち込みとなった。一方、同時に発表された独12月貿易収支は207億ユーロの黒字となり、輸出の増加を背景に黒字額は市場予想(170億ユーロ)を上回った。
(2):米雇用統計で乱高下
米1月雇用統計は非農業部門雇用者数が14.3万人増と市場予想(17.5万人増)を下回った。しかし、前2カ月分が合計で10.0万人上方修正された。1月失業率は4.0%と前月(4.1%)から横ばいの市場予想を下回った。平均時給は前月比+0.5%、前年比+4.1%で、いずれも予想以上の伸びだった(予想前月比+0.3%、前年比+3.8%)。ドル/円は151円台前半に下落したのち152円台前半へ切り返すなど1円あまり乱高下した。
(3):米期待インフレ率が急上昇
米2月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値は67.8と市場予想(71.8)に反して前月(71.1)から低下した。インフレに関する調査では1年先の期待インフレ率が4.3%と前回(3.3%)から急上昇。5-10年先の期待インフレ率は3.3%だった(前回3.2%)。これを受けて米国株が下げに転じるとクロス円で円買いが強まり、次第にドル/円でもドル買いより円買いが優勢となった。
(4):米大統領「相互関税」導入計画を公表
米国のトランプ大統領は石破首相との会談の冒頭で、貿易相手国と同様の関税を課す「相互関税」の導入計画を来週公表する予定だと発言。「それが唯一の公平な方法だと思う。そうすれば誰も傷つかない。彼らはわれわれに課税し、 われわれも彼らに課す。同じことだ。私は一律の関税ではなく、そちらの方に傾いているようだ」と語った。米関税でインフレ再燃の思惑から米長期金利が高止まりする中、米国株は下げ幅を拡大。ドル/円やクロス円の反発は続かなかった。
7日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:ドル買いと円買いが交錯
7日のドル/円は、乱高下したもののほぼ横ばいで取り引きを終えた。米1月雇用統計で失業率が低下したことなどから米長期金利が上昇すると152.40円前後まで上伸。しかし、米2月ミシガン大消費者信頼感指数が下振れした一方で、消費者の期待インフレ率が上振れしたことを受けて米国株が下落すると一転して150.92円前後まで下落した。それでも、トランプ米大統領が翌週にも「相互関税」を発動する考えを示したことでドルは強さを維持。前日終値とほぼ同値の151.40円台でクローズした。なお、トランプ米大統領は先ほど、すべての国を対象に鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する25%の関税措置を本日発表すると述べた。また、本日10日は中国の米国に対する報復関税が発動される日でもある。こうした中、ドルは堅調を維持する公算が大きい一方、世界的な株価の軟調推移が予想されるため、円が強含みやすい地合いも続きそうだ。ドル/円はドル買いと円買いが交錯する中、150円台では底堅い反面、152円台では上値が重くなるだろう。
注目の経済指標:
特になし
注目のイベント:ECB総裁発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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