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為替相場まとめ11月25日から11月29日の週

為替 

 25日からの週は、円高とドル安の動きが進行した。月末週に加えて週後半には米感謝祭休日があることから、前週までのドル高や円安の流れに調整が入りやすい環境となった。トランプ関税が世界的な懸念材料となっているが、この週はトランプ氏とメキシコ大統領の会談が行われ、表面的ではあるものの敵対的な雰囲気は和らいだ。トランプ関税賦課の報道で急落していたメキシコペソやカナダドルの下げは一服した。米政府と中国との半導体企業をめぐる対立も想定ほどの悪い事態にはならないとの楽観論もでた。また、イスラエルとヒズボラとの停戦が形式的にせよ成立したことも市場に安ど感を広げた。トランプトレードに突き進む動きは一休みとなっている。そのなかでは、ドル円の下げが際立っている。週明けの154円台後半から週末には149円台まで下落した。米FOMC議事録ではFOMC委員は段階的な利下げを幅広く支持していたことが明らかとなった。一方で、日銀に関しては12月利上げ観測が高まっている。石破首相が来年の春闘でも大幅な賃上げを実現することを支持した。また、きょうは東京都区部CPIの上振れ結果が、150円台割れの材料となっていた。日米金利差が縮小していく見通しがひろがっている。


(25日)
 東京市場では、米次期財務長官関連の報道でドル円が上下動。午前から昼にかけては154円台半ばから153.55付近まで下落。トランプ米次期大統領が米次期財務長官に財政規律重視派とされるベッセント氏を指名したとの報道を受け、米インフレ再燃観測が後退し、ドルが売られた。しかし、午後に入って下げ渋ると、154.40台まで水準を戻している。ベッセント氏が米紙のインタビューで「次期政権での政策優先事項はトランプ減税の実現」「ドルの基軸通貨としての維持に焦点」などとコメントしたことを受けて、買い戻しが優勢となった。ユーロドルは朝方のドル安傾向を受けて一時1.0501付近まで上昇したあと、高止まりとなった。ユーロ円は朝方に一時161.93付近まで上昇したあと、いったん上げを帳消しにする場面があったが、午後は再び円安傾向となり162円台をつけた。

 ロンドン市場では、ドル買いが先行も続かず。ドル円は東京午後の買い戻しの流れを受けて取引を開始したが、154円台後半での一段の買いには慎重だった。今週は木曜日が米感謝祭。金曜日も連休をとる参加者が多い。感謝祭ウィークは取引参加者が少なくなり、様子見ムードが広がりやすい状況。ユーロドルはドル買いが先行し、1.0440台まで軟化したが、その後は1.0490付近まで買い戻された。ユーロ円はユーロドルの軟化とともに162円付近から161.30台まで下落。しかし、売りは続かず162.10台まで反発した。欧州株や米株先の上昇などリスク選好の動きがみられた。

 NY市場では、ドル売りが優勢。ドル円は153円台に下落した。週末にトランプ氏が、財務長官人事にヘッジファンド創業者のベッセント氏を指名すると発表。ベッセント氏の起用は米経済と金融市場により安定をもたらす慎重な選択と歓迎するムードも広がり、米国債が買われ利回りが低下する中、為替市場ではドル売りの反応が出ていたようだ。ベッセント氏はタカ派な財政政策を主張しており、トランプ次期政権は財政赤字を半減させようと試みる可能性がある。一方、円は上昇の有意なきっかけを見つけるのに苦労している。植田日銀総裁は12月会合での利上げの可能性を排除していないものの、そのシグナルは円の方向性を変えるには不十分とみられた。ユーロドルは買い戻され、一時1.05台を回復する場面が見られた。ポンドドルは1.26ドル台まで買い戻されたが、動きは続かず上値が重い印象だった。ロンバルデリ副総裁の講演が伝わっていたが、「賃金上昇率とインフレ率が期待ほど急速に低下しないとの懸念がある中、英中銀は慎重に利下げを進めるべきだ」との考えを示していた。

(26日)
 東京市場は、リスク警戒の動き。トランプ次期大統領は麻薬などの違法薬物の米国への流入を理由に中国からの輸入品に、これまでの課税に加えて10%の追加関税を課すとSNSに投稿した。さらにカナダとメキシコについて、移民や違法薬物の流入を理由に25%の関税を課す文書にも署名すると表明した。この投稿を受けて、メキシコペソとカナダドルが急落。ドル円は売り買い交錯。リスク警戒の円買いとドル買いが入り、一時ドル買い主導で154.49近辺まで上昇も、その後はリスク警戒の円買いが優勢となり、午後に153.55近辺と昨日の安値に並ぶ動きを見せた。ユーロドルは1.0500前後での推移から関税発言で1.0420ドル台まで下げたが、その後は1.0490近辺まで反発。ドル主導の展開でユーロ円は161円ばさみでの推移。

 ロンドン市場では、ドル売りが優勢。東京朝方にはトランプ氏が「中国に追加で10%、メキシコとカナダに25%の関税を課すと約束」とSNSで発信し、リスク警戒のドル買いに反応した。しかし、すぐに値を戻す方向に転じた経緯がある。ロンドン市場ではドル円は一時154円台乗せも、再び売りが広がっている。東京安値153.55近辺を下回ると153.10付近へと安値を広げている。ユーロドルは東京朝方の1.0425近辺を安値に、足元では1.0545近辺に高値を更新。ポンドドルも1.2507近辺を安値に1.2610台へと高値を伸ばしてきている。米10年債利回りは4.30%付近まで上昇したあとは、4.27%台へと低下している。当局者によると、イスラエルが現地午後5時半からレバノン停戦巡り閣議、と報じられている。リスク警戒のドル買いが巻き戻される面があるようだ。欧州株はトランプ関税報道で売り先行も、足元では下げ幅を縮小している。クロス円は神経質な動きとなっており、ユーロ円は160円台後半から162円付近、ポンド円は192円台後半から194円付近のレンジで上下動している。

 NY市場では、ドルの戻り売りが続いた。ドル円は一時152円台に下落する場面が見られた。感謝祭ウィークに入って、これまでのドル買いに調整の動きが続いている。ドル円はきょうの下げで21日線をブレイクしており、152円付近に来ている200日線を試しに行くか注目される。ただ、金融政策の情勢に変化はなく、FRBは利下げの方向性は維持しているもののペースについては慎重になっている。日銀は12月か1月の追加利上げが有力視されているものの、どちらになるかは不透明といった状況。政治情勢に関しては、トランプ次期大統領の関税強化による貿易摩擦への懸念は強い。一方、日本では賃上げ期待が高まっており、石破首相が賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る状況を目指し、環境整備などに取り組む考えを示した。経団連も数字については言及を避けているものの、物価以上の賃上げ実現に向けた方向感は持っているようだ。午後にFOMCの議事録が公表され、FOMC委員は段階的な利下げを幅広く支持していたことが明らかとなった。概ね想定通りの内容で、現在の市場のFRBに対する認識と一致していることもあり、市場の反応は限定的。ユーロドルは1.05台半ばまで一時上昇。ポンドドルも一時1.26台まで買い戻された。

(27日)
 東京市場では、円買いが強まった。ドル円は朝の153.23近辺から152.12近辺まで1円超のドル安・円高となった。8時台に高値を付けた後はほぼ一本調子に下げた。12月の日銀金融政策決定会合での利上げ期待が強まっており、短期金利市場での織り込みが直近で66%と据え置きを大きく上回ってきたことが円買いを誘った。昨日の政府と経済界との会合で石破首相が2025年の大幅賃上げを求め、政府もそれに向けた環境整備を行うとしたことなども円買いにつながっている。ユーロ円は160.71近辺を高値に159.49近辺まで下落。ユーロドルは1.09台後半での推移。東京市場では目立った動意はみられず。NZドルが買われた。一時に75bp利下げ観測があるなかで、NZ中銀は大方の予想通り50bp利下げを発表した。NZドル/ドルは0.58台前半から後半へと買われた。対円では円買いもあって上に往って来い。

 ロンドン市場では、円買いが継続している。ドル円は東京朝方の153円台前半から、ロンドン時間には151円台前半へと約2円幅で下落した。クロス円も同様に軟調に推移しており、円高の面が強い。ユーロ円は160円台後半から159円付近へ、ポンド円は192円台後半から190円台後半へと下落。加えて、ロンドン市場では米債利回りも低下しており、全般的にドル売りの動きもみられている。ユーロドルは1.04台後半から1.05台前半へ、ポンドドルは1.25台後半から1.26台前半へと上昇した。トランプ関税への警戒感がリスク回避的な円高圧力となっているほか、12月の日米金融政策会合を視野に、双方の方向性の差異が意識される面も指摘される。市場では現時点で日銀については利上げが6割程度、一方で米FOMCについては利下げが6割強の織り込みとなっている。ただ、このあとのNY市場では米GDP改定値など一連の米経済指標が発表される。そして、あすば米国市場が感謝祭のため休場となる。一方的な円買いが継続するのかを見極めたいところだ。

 NY市場で、ドル円は調整を活発化させ一時150円台半ばまで急落した。明日の感謝祭を前にドルロングの調整が強まった。きょうの下げで200日線を下回っており、感謝祭明けの動きが注目される。この日は第3四半期の米GDP改定値と、FRBがインフレ指標として重視している10月分のPCEデフレータが発表された。GDPは個人消費が下方修正されたものの、全体的には速報値と同じ2.8%成長となり、力強い米経済を示している。一方、PCEデフレータはFRBが注視しているコア指数が前年比2.8%と前回よりもやや上昇していた。このところの力強い米経済指標の発表で、FRBは追加利下げに慎重姿勢になっている。本日の米経済指標はその姿勢を裏付ける内容ではあった。ただ、市場は12月のFOMCについては利下げを五分五分と見ており、FRBも数字次第でオープンの姿勢を強調している。ユーロドルは買い戻しが強まり、一時1.05台後半まで上昇。ロンドン時間にシュナーベルECB理事がECBの追加利下げ余地は限定的、と慎重姿勢を促したこともユーロの買い戻しを誘っていた。ポンドドルも買い戻しが強まり、1.27台までの戻りを試す動きが見られた。アナリストは、他のG10国と比較して英国は金利が高いことがポンドを下支えしていると述べている。

(28日)
 東京市場では、円売りが優勢。。ドル円は、午前に一時151.75付近まで上昇した。トランプ次期米大統領が、メキシコのシェインバウム大統領と麻薬や移民の米国流入について議論し、貿易摩擦懸念が後退したことがリスク選好の円売りにつながった。午後は伸び悩み、151円台半ばを挟んで小動きとなった。きょうは米国市場が感謝祭の祝日で休場となっており、徐々に模様眺めムードが広がっている。ユーロ円はドル円と同様に午前に一時160.13付近まで上昇した。東京終盤には、ウクライナの首都キーウで爆発音があったとの一部報道を受け、午前の上げを帳消しにする場面があった。ただ、下げは続かず、すぐに159.90台まで戻している。ユーロドルは東京終盤に一段安となり1.0543付近まで下落した。

 ロンドン市場では、円売りとドルの買い戻しが入っている。このあとのNY市場が感謝祭のため休場となることから、週明けから続いた円買いやドル売りの流れに調整が入る格好となっている。ドル相場にとっては米債利回りの手掛かりに欠ける中で調整色が濃厚。ユーロドルは1.05台後半から前半へと反落。ポンドドルは1.26台後半から半ばへと軟化。ただ、足元ではドル買いの勢いは一服している。ドル円とともにクロス円が買われており、円売りの流れとなっている。米国と中国の半導体摩擦がやや緩和されそうな期待、トランプ氏がメキシコ大統領と会談して好ムードだったこと、フランス予算で妥協の余地が示されたこと、など最悪の事態からは好転する兆しがでたことも欧州株高とともに市場のムードが改善した面が指摘される。ユーロ円は159円台半ばから160円台に乗せている。ポンド円は191円台前半から192円台半ばへと上昇。この日はトランプ関税の攻撃目標で売られたメキシコペソやカナダドルにも買い戻しが入っている。金曜日もブラックフライデーで米国市場は半休状態となる。週末にかけて調整主導の相場展開となりそうだ。

 NY市場は、米感謝祭の祝日のため休場。

(29日)
 東京市場は、円買いの動きが広がった。朝方に発表された11月の東京都区部消費者物価指数(CPI)の市場予想を上回る結果を受けて、日銀による追加利上げ観測から円が買われた。ドル円は朝方の151.50付近から150円台を割り込んだ。昼頃には、いったん150.30台まで戻す場面があったものの、午後に再び10月21日以来およそ1ヶ月ぶりの安値水準となる149.76付近まで下落した。ユーロ円は午前の円高局面で9月30日以来およそ2か月ぶりの安値水準となる158.24付近まで下落した。その後は下げ渋ったが戻りは鈍く158円台後半を中心に推移した。ユーロドルはドル売り優勢となり、午後に一時1.0577付近まで上昇している。

  ロンドン市場では、ドル売りが一服している。一方で、円高の動きは根強い。ドル円は東京市場で151円台半ばから150円台割れへと下落。東京朝方の東京都区部消費者物価指数が上振れしたことが、12月日銀会合での利上げ観測を高めている。ロンドン序盤には149.54近辺まで安値を広げた。その後は買戻しが入ったが、戻りは限定的。再び149円台に軟化する場面もあり、根強い円高圧力が観察されている。米債利回りの低下とともに、ユーロドルは1.06台手前、ポンドドルは1.27台半ばまで一時上昇も、足元では上げを消して1.05台半ばや1.26台後半に押し戻されている。ユーロ円やポンド円はドル円とともに下落したあと、ロンドン序盤には158円台や190円台などで売買が交錯。足元ではユーロ円は158円台前半、ポンド円は190円台前半で安値を再更新している。ユーロ圏消費者物価速報は前回から上昇したが、予想通りの結果だった。ECBが調査したユーロ圏消費者インフレ期待調査では1年先が予想外に上昇した。しかし、いずれにも市場での12月ECB利下げ観測に目立った変化はみられていない。

 NY市場は、昨日の米感謝祭から連休を取っている参加者が多く、比較的閑散とした中でドル売りが強まった。NY市場昼頃にかけて一時150円50銭前後まで上昇。ただ、そこからの買いには慎重で、その後149円47銭までと、東京午後からロンドン朝にかけての安値を割り込む動きを見せた。ユーロドルが1.0440台から1.0480台まで上昇、ポンドドルが1.2670台から1.2740台を付けるなどドルは全面安の展開。米債利回りがやや低下していたが、大きな動きではなく、週末を前にしたポジション調整などが主体と見られた。

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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