ドル買い戻し優勢 ドル円は一時146円台半ばに上昇 パウエル講演前にポジション調整=NY為替概況
ドル買い戻し優勢 ドル円は一時146円台半ばまで上昇 パウエル講演前にポジション調整=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが優勢となり、ドル円は一時146円台半ばまで上昇した。特段のドル買い材料は見当たらなかったが、明日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演を前に、このところのドル売りのポジション調整が出ていたようだ。
本日は複数のFOMC委員のインタビューが伝わっていたが、9月の利下げ開始には前向きな姿勢を示していたものの、その後の利下げペースについては、「緩やかで整然とした利下げが望ましい」との発言や、データを確認する必要といった慎重姿勢を強調していた印象。
明日のパウエル議長の講演も、少なくとも市場が織り込んでいる、年内計0.75%もしくは1.00%ポイントの利下げを示唆する内容にはならないと見られている。
ユーロドルは戻り売りに押された。今週は1.11ドル台後半まで上昇する場面が見られていたが、本日は1.11ドルを一時割り込むなど、このところの上げが一服していた。
本日はECBが4ー6月期の妥結賃金のデータを公表していた。ECBが賃金動向を注視する中、市場も動向を注目していた。結果は前年比3.6%の上昇と1ー3月期の4.7%から大きく鈍化していた。ただ、予想通りではあった。9月のECB理事会まであと3週間だが、今回のデータは市場の利下げ期待を裏付ける内容との認識で一致しているようだ。
ただ、9月理事会までに賃金に関するさらなる詳細、8月分のユーロ圏消費者物価指数(CPI)、そしてECBスタッフから25年までの経済予測を受け取る。その内容次第ではあるが、市場は6月に引き続き追加利下げの実施で織り込んでいる。
ポンドドルも戻り売りに押され、1.30ドル台に値を落とした。力強い値動きをしていたポンドドルだが、明日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演を前にロングの調整が出ていたようだ。
本日は8月調査の英PMIが発表になっていた。製造業は低調だったが、サービス業は好調で、総合PMIは53.4に上昇し、景気拡大領域を示す50を上回り、予想も上回った。パリ五輪の影響も一部あったようだ。
英国ではインフレ圧力は緩和されているものの、サービスインフレは高止まりしており、英中銀も神経をとがらせている。本日の好調なサービス業の景況感は、英中銀が慎重姿勢で臨むことを示唆しており、少なくとも9月の利下げ期待は裏付けていない。短期金融市場では現在、9月の利下げ確率は25%程度で、本命は11月といったところのようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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