【これからの見通し】急速に進んだ円高相場も足元では一服、週末に向けた動きを探る
【これからの見通し】急速に進んだ円高相場も足元では一服、週末に向けた動きを探る
今週は急速に円高相場が進行している。ドル円は一時151円台まで下落する場面があった。7月3日につけた161.95近辺の高値から、昨日には151.94近辺まで下落。1カ月に満たない短期間で10円幅の円高進行となった。
いろいろな材料が積み重なった動きとみられるが、米CPIが弱含んだタイミングで2日連続で政府日銀が介入の動きをみせて市場に強烈なパンチを浴びせたことがきっかけとなった。その後は、トランプ発言、バイデンの出馬撤退などが円買い材料にみられた。また、日本側からは、河野デジタル相や自民党の茂木幹事長などから円安に強い懸念が示され、日銀に利上げへの圧力をかけたことも大きな材料だった。
さらに、世界的に株式市場が崩れていることもリスク回避の円買いにつながった。これまで相場をけん引してきた米半導体株などが急反落する事態となり、日経平均も一日で一時1300円超の下落となった。中国の成長鈍化も不透明感を広げ、銅相場や原油などの商品市況が下落した。
市場ではこれまでの円キャリー取引の巻き戻しが強まったとの見方も出ている。ただ、投機筋の動向をみると、新規の円買いポジション形成の動きもみられている。円安ポジションの調整と円高ポジションの新規作成となると、次第に短期的な円買いポジションが蓄積する面も指摘されている。
昨日は第2四半期の米GDP速報値が発表され、前期比年率+2.8%と市場予想+2.0%を上回った。前回の+1.4%からは倍のペースで成長したことになる。消費の好調さが米経済を支えていた。これを受けて、ドル円は一時154円台まで急速に買い戻された。
きょうは6月の米個人所得・支出、PCEデフレータが発表される。インフレ指標として注目されるPCEデフレータの予想は前年比+2.4%と前回の+2.6%から伸びが鈍化する見込み。コアデフレータは前年比+2.5%と前回の+2.6%から若干の伸び鈍化が見込まれている。結果を確認しつつ、市場の反応を確認したいところだ。
週末調整が加わり、来週の31日には日銀決定会合と米FOMCを控えており、なかなか一方向への動きにはなりにくいものとみられる。ただ、反応の大きさをみることで、ドル円相場の偏りを知るヒントにはなりそうだ。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
執筆者 : MINKABU PRESS
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