ドル安優勢に 予想下回るISM指数に敏感に反応=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル安が優勢となった。朝方発表になったADP雇用統計は予想を上回る雇用の伸びを示したことで、一旦ドル高の反応が見られていたものの、その後のISM非製造業景気指数が予想を下回ったことでドル安が優勢となった。
ISM指数に敏感に反応していた印象もある。サービス業の動向はFRBも注視しているが、仕入価格指数が4年ぶりの低水準に大きく低下するなど、インフレ鈍化を期待させる内容となった。直近は強い指標ばかりが目立っていた中で安心感に繋がっている模様。
ただ、ドル円の152円台をうかがう展開に変化はなく、151円台後半での推移が続いていた。基本的には金曜日の米雇用統計の結果待ちといった雰囲気だが、今回の3月の米雇用統計は再び上振れる可能性が高いとの見方もエコノミストから出ている。その場合、ドル円は152円台を試しに行くことも予想されるが、その時の財務省の対応は注目される。
なお、本日はパウエルFRB議長のスタンフォードでのスピーチが行われたが、全体的にトーンは先日のFOMCと変化はなかった印象で、利下げの可能性には言及していたものの、時期や程度については今後のデータを待ちたい姿勢を強調していた。為替市場は小幅な反応に留まっていた。
ユーロドルは1.08ドル台を回復。1.08ドルちょうどの水準は強い上値抵抗として意識されていたが、ストップを巻き込んで一気に回復している。200日線が1.0835ドル付近に来ているが、その水準に顔合わせしている状況。
本日は3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が発表され、総合、コア指数とも予想を下回っていた。市場の6月利下げ期待を正当化する内容ではあったが、サービスインフレは依然として高く、他の構成要素よりもインフレが頑強であることが判明している。サービスインフレは4.0%を維持している状況。
6月利下げ期待に変化はないが、来週の理事会での据え置きの十分な理由にはなる。サービス業における労働集約度と賃金上昇率がサービスインフレを高めているが、ECBは賃金データが増える6月まで待ちそうだ。
ポンドドルは1.26ドル台半ばまで買い戻された。きょうの上昇で200日線を回復しており、1.2665ドル付近に来ている100日線が目先のターゲットとして意識される。
英中銀が6月に利下げを開始する可能性が高いとの見方から、ストラテジストが今年のポンドの見通しを引き下げた。同ストラテジストは今年に入ってからポンドに最も強気だったが、現在は年末までに1.2950ドルまでの上昇に留まる見ているようだ。
先月の金融政策委員会(MPC)で伝えられた内容に変化があったことから、英中銀は利下げを下半期まで待たない可能性があるという。英米のインフレ鈍化により、英中銀とFRBの利下げはほぼ連動する可能性が高いとも付け加えた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。