ドル円は147円台前半に一時下落 米財務省が今四半期の借入額予想を下方修正=NY為替概況
ドル円は147円台前半に一時下落 米財務省が今四半期の借入額予想を下方修正=NY為替概況
きょうのNY為替市場は午後になってドル売りが強まり、ドル円は147円台前半まで一時下落した。米財務省が財政赤字拡大にもかかわらず、今四半期の借入額の予想を下方修正したことで、米国債利回りの下げとともにドル売りが強まった。10月下旬に発表した1-3月期の借入額予想を前回の8160億ドルから7600億ドルに引き下げた。借り入れの必要性が減少したのは、予想される純財政フローの増加と、今四半期の開始時に予想より多くの現金が手元にあったためとしている。市場の多くは、借入額は予想を若干上振れると見込んでいた。
ただ、全体的には方向感のない展開が続いている。今週はFOMCが予定され、週末には米雇用統計とイベントが目白押しで、その内容を見極めたい雰囲気も強い。FOMCは明日から2日間の日程で開催されが、今回は据え置きが確実視されている。そのような中で、FRBのスタンスを探るうえで、パウエル議長の会見が注目されそうだ。前回のFOMCでは委員の金利見通し(ドット・プロット)が今年3回の利下げを見込み、ハト派サプライズとなった。市場では、3月の利下げ開始は後退しているとはいえ、早期利下げ期待はなお根強い。
ただ、今月発表になった米雇用統計や消費者物価指数(CPI)が予想を上回る内容となり、先週のGDP速報値も予想を上回る内容となった。PCEデフレータはインフレ低下を期待させる内容ではあったが、パウエル議長の会見は市場の早期利下げ期待にブレーキをかける内容になるのとも見られているようだ。なお、今回は委員の金利見通しは発表されない。FOMCや米雇用統計をきっかけに方向感が出るか注目される。
ユーロドルは序盤に1.08ドルを一時割り込む場面が見られたが、終盤に1.08ドル台に買い戻された。ただ、200日線を下放れる展開が一時見られ、明日以降の動きが警戒される。目先は100日線が1.0780ドル付近に来ており意識されそうだ。
ユーロ自体は軟調で対ポンドでは軟調。先週のECB理事会を受けて、3月の利下げ期待は後退しているものの、4月の0.25%ポイントの利下げはなお完全に織り込む動きが見られている。短期金融市場では6月までに0.50%ポイントの利下げを完全に織り込んでいる状況。
ECBの利下げ開始は4月と6月で見解が分かれている。本日も複数のECB理事の発言が伝わっていたが、カジミール・スロバキア中銀総裁は「利下げ開始は4月より6月の公算が大きい」と述べる一方、センテノ・ポルトガル中銀総裁は「インフレの軌道を知るために5月の賃金データを待つ必要はない」と4月の可能性も排除していない。
ポンドドルも終盤になって1.27ドル台に戻す動き。本日は一時1.2665ドル付近まで下落する場面が見られていた。ただ、本日1.27ドル付近に来ている21日線から乖離する動きまではなく、その付近での様子見に変化はない。
今週は重要イベントが目白押しの週だが、その1つに英中銀金融政策委員会(MPC)も挙げられる。ポンドは対ドルでは横ばいで推移しているものの、英中銀とECBのスタンスの違いに市場が注目する中で、対ユーロでは堅調な動きを続けている。
ストラテジストは、英中銀が5月利下げを支持する強いシグナルでも出さない限り、ユーロポンドはさらに下落の余地があると指摘。英中銀はいずれ、引き締めバイアスを弱めると予想しているものの、現在はコアインフレとサービスインフレが不快なほど高いことから、英中銀が利下げ開始時期について明確なヒントを与えることはなく、現在の比較的タカ派な姿勢を温存すると予想しているという。
また、英中銀は、3月6日に英財務相が発表する春季予算の不確実性にも直面しており、年内の総選挙を控えて減税策など追加の財政支出を打ち出せば、英中銀は5月の利下げ開始を躊躇する可能性があるとも付け加えた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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