ドル円は一時142円台に上昇も維持できず=NY為替概況
ドル円は一時142円台に上昇も維持できず=NY為替概況
きょうのNY為替市場、今年最初の取引となる中で、円安の動きが優勢となり、ドル円は一時142円台に上昇する場面が見られた。1日に能登半島で発生した地震が発生。被害の大きさが明らかになるにつれて、日銀のマイナス金利解除がしばらく困難になったとの指摘も出ている。1月のマイナス金利解除はもちろん、4月も難しいのではとの見方も出ているようだ。
一方、年初の市場は、株式市場でIT・ハイテク株に売りが強まるなど、リスク回避の雰囲気も垣間見せている。ドル円も次第に上値が重くなり141円台に値を落とす展開。本日の200日線が143円台前半に来ているが、その水準を試そうという気配まではいまのところない。
FRBの早期利下げ期待が強まっており、短期金融市場では3月までの利下げ開始をかなりの確率で織り込んでいる。FRBは早期利下げ期待をけん制してはいるものの、3月FOMCまでに発表になるインフレや雇用のデータが利下げを正当化すると市場は期待しているようだ。今週は金曜日に米雇用統計が発表されるほか、米求人件数、ADP雇用統計など米雇用関連の重要指標の発表が相次ぐ。
きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となる中で、ユーロドルは1.09ドル台に値を落とした。1.10ドル台維持できなかったことで見切り売りも加速し、1.0940ドル付近まで下落する場面も見られた。本日の21日線が1.0930ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。昨年末からの下落でテクニカル的に下値警戒感も出ているようだ。
今週は12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表される。総合指数は、昨年のエネルギー価格が12月から急低下したことによるベース効果があり、今回のエネルギー価格は前年比で上昇が見込まれている。それに伴い総合指数も前年比で前回の2.4%から3.0%への急上昇が予想されているようだ。一方、エネルギー・食品を除いたコア指数は前年比3.3%と小幅に鈍化が見込まれているようだ。ECBは利下げに否定的な見解を強調しているが、ベース効果による前年比でのエネルギー価格上昇もその背景の1つとも言われている。
*ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(概算値速報)(12月)5日19:00
予想 0.1% 前回 -0.6%(前月比)
予想 3.0% 前回 2.4%(前年比)
予想 3.3% 前回 3.6%(コア・前年比)
ポンドドルも戻り売りが加速し、1.26ドル台前半まで下落。きょうの下げで1.2665ドル付近に来ている21日線を下回っており、明日以降の動きが警戒される。
英製造業は低迷を続けている。きょうは12月の製造業PMI確報値が発表になっていたが、46.2と速報値からやや下方修正された。12月の落ち込みは海外需要の減退と、製造業者の景況感に対する楽観的な見方が後退したことによる。
英経済の低迷と借入コストの高止まりが製造業のセンチメントを低迷させ、新年に好転する兆しはまだない。木曜日にはサービス業のPMI確報値が発表される予定だが、サービス業は製造業よりも好調。ただ、年後半にかけて低下しを示している。英中銀はなおタカ派姿勢を崩していないが、短期金融市場では5回以上の利下げが織り込まれている状況。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。