ドル円は142円台前半に下落 200日線を再び割り込む=NY為替概況
ドル円は142円台前半に下落 200日線を再び割り込む=NY為替概況
きょうのドル円はNY時間に入って戻り売りが加速し、142円台前半まで下落した。一時142.05円付近まで下落。この発表の第3四半期の米GDP改定値が下方修正されたことでドル売りが強まった。前日は米株式市場の急落でリスク回避の円高も見られていたが、状況に変化はない。今週は日銀決定会合を受けて円安が一旦強り、145円をうかがう展開も見せていたが、結局、届かずに失速。本日142.70円付近に200日線が来ているが、その水準も再び割り込んでいる。明日以降、下値が警戒される動きではある。
FOMC委員からはけん制発言が相次いでいるものの、市場は来年のFRBの利下げを計1.50%ポイント織り込んでいる。米利下げ期待がドル円の上値を重くしているようだ。
そのような中で、市場の一部からは3月の利下げ開始期待が出ている。短期金融市場での確率は48%程度で織り込まれている。ただ、その見方は行き過ぎとの見解も出ている。現在5回以上の米利下げが織り込まれているという事実は、ソフトランディングというよりも、景気後退の見通しを物語っているという。
ユーロドルは買い戻しが強まり、1.10ドル台を回復する場面が見られた。しかし、ECBは市場の早期利下げ期待をけん制し続けているものの、市場はその期待を変えていない。そのような中でユーロドルも1.10ドル台に入ると売りオーダーも並んでいるようだ。
ただ、テクニカル勢からの上値期待は高まっている。直近の日足チャートの形状がカップ&ハンドル(取手のついたコーヒーカップのような形状)形成しており、これは典型的な強気のサインで、新規にロングを持つべきとの指摘が出ている。一方、ファンダメンタルズ的には、ドルに対するユーロ高は相応しくないことに注意する必要があるとも指摘。強い米経済と弱いユーロ圏の成長、そして、インフレ低下が対照的だからだという。
ポンドは対ドルでは上昇したものの、対ユーロでは下落し、上値が重い印象。やはり、前日の英消費者物価指数(CPI)が市場の早期利下げ期待を一層強めており、ポンドの上値を重くしているようだ。
短期金融市場では、早ければ3月にも利下げ開始との見方が強まっている。実際、来年の今頃には経済情勢が大きく変わっている可能性があり、10人に1人以上が、来年末までに政策金利が4.00%を下回る可能性に賭けている状況。現在の政策金利は5.25%で、0.25%ずつであれば、来年に5回は利下げを実施する計算になる。
前日の英CPIでは、英中銀が神経質に注視しているコアインフレやサービスインフレが予想以上に低下していたが、今回の低下はインフレの粘着性が薄れて来ていることを示唆しているとの見解も出ている。但し、総合インフレは前年比3.9%だったが、まだ高い水準にあることに違いはない。英中銀の目標である2%達成までの最後の1.9%を削るにはまだ長い道のりがある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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