月末要因でドル買い戻し加速 ドル円は148円台に上昇=NY為替概況
月末要因でドル買い戻し加速 ドル円は148円台に上昇=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが加速し、ドル円は一時148円台半ばまで戻す場面が見られた。月末に絡んだ買いが中心と思われるが、この日のデーリー・サンフランシスコ連銀総裁の発言が利下げ期待に否定的な見解を示したことから、ドル買い戻しを加速させるきっかけとなったようだ。総裁は「いまは利下げを全く考えていない」と述べていた。本日も東京時間に146円台を付けて100日線を下抜けていたが、その水準は強いサポートとなっている模様。本日の100日線は147.10円付近に来ている。
ただ、市場の意識は下向きに変化しつつあり、戻り待ちの売りから上値は重い。市場は来年の利下げ期待を一層強めており、短期金融市場では来年3月の利下げ開始の見方まで高めている。CMEのフェドウォッチでは半々の確率に迫ろうという勢いだが、若干織り込み過ぎの面は否めない。
明日はパウエルFRB議長のスピーチが予定されている。金融政策や経済についてどの程度発言するかは未知数だが、12月12、13日のFOMCに向けて委員が発言を控えるブラックアウト期間入りを前に、何らかのヒントを示すか注目されているようだ。利下げの可能性を示唆するほどハト派な雰囲気は出さないとは思われるが、市場は明らかに敏感になっている。
ユーロドルは1.08ドル台まで下落。ドルの要因もさることながら、本日はユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表され、それもユーロドルを押し下げていた。HICPは前年比2.4%と予想以上に低下し、2%の目標達成目前となっている。これを受けて市場は、ECBの示唆よりも早期に利下げに踏み切るとの見方を強め、来年4月の利下げ開始を完全に織り込んでいる。市場では来年中に0.25%ポイントずつ4回の利下げを見込み、5回目の可能性も70%としている。しかし、ECB理事はインフレを2%に確実に戻すために引き締めを続ける必要があると断固として主張している状況。
ユーロ圏HICPはほぼ全カテゴリーに渡って低下したが、前月比で見ると食品だけは上昇していた。それを受けて一部からは、インフレは冷え込んだものの粘着性は残り、ECBはスタンスを変えないと見る向きもいるようだ。
ポンドドルも戻り売りが強まり、一時1.26ドルちょうど付近まで下落。ポンドドルはこのところ上昇が続き、過熱感も高まっていたことから、きょうの下げはちょうど良い冷や水となったようだ。市場では、FRBやECBに来年の利下げ期待が高まっているが、短期金融市場では英中銀も来年夏までの利下げを織り込む動きが出ている。ただ、FRBやECBと比べれば、早期利下げ期待は弱い。
きょうはグリーン英中銀委員、前日はベイリー英中銀総裁の発言が伝わっていたが、両者とも市場の利下げ期待には否定的な見解を示していた。ベイリー総裁は「利下げを検討するのは時期尚早」と述べ、グリーン委員は「政策はわれわれが考えいるよりも制限的ではないかもしれない」と述べていた。FRBやECBも利上げサイクルの終了には同意してい雰囲気もあるものの、利下げは時期尚早との考えのようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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