ドル円は151円台回復 米小売売上高が予想ほど落ち込まず=NY為替概況
ドル円は151円台回復 米小売売上高が予想ほど落ち込まず=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドルの買い戻しが強まり、ドル円は151円台を回復した。この日は米小売売上高と生産者物価指数(PPI)が発表になったが、双方まちまちの内容となり、ドル円も激しく上下動した。
米PPIは前日の米消費者物価指数(CPI)に続き、ガソリン価格低下を反映して予想以上に低下していた。インフレ鈍化を示唆する内容で、為替市場も一旦ドル売りの反応を強め、ドル円は150円ちょうど付近まで下落。
しかし、直ぐに買い戻され、米国債利回りの上昇と伴に今度は151円台まで急速に買い戻された。米小売売上高が予想ほど落ち込まなかったことが買いを誘っている模様。10月の米小売売上高は前月比0.1%減少。一方、自動車とガソリンを除いたコアは0.1%の増加となった。10月のガソリンの店頭価格の下落を考慮すると、小売売上高のガソリンスタンドの売上は0.3%減となっており、全体の足を引っ張るほどの大きな影響はなかった。今回の米小売売上高は底堅い米個人消費を示した。
短期金融市場では、利上げ終了への期待感は変えていないが、前日の米CPIで高まった来年の利下げ期待は後退しており、米国債利回り上昇とドル高の反応に繋がっている模様。
ユーロドルも上下動したものの、基本的には前日の急伸からの戻り基調が見られた。一時1.0830ドル近辺まで下落していたが、下押す動きまでは見られず、リバウンド相場の流れはしっかりと堅持されている。
ただ、この日発表の9月のユーロ圏の鉱工業生産は前月比1.1%の減少と、予想以上の落ち込みとなり、世界的に財に対する需要低迷が続いていることが示唆された。耐久消費財と非耐久消費財の生産がともに前月比2.1%減少し、エネルギーも1.3%減少している。
ECBは否定しているものの、市場のECBの利下げ期待は高まっており、短期金融市場では来年秋までに累計で0.75%ポイントの利下げを期待している。
ポンドドルも戻り売りが優勢となり、1.24ドルちょうど付近まで下落する場面も見られた。NY時間に入ってからのドル買い戻しのほか、この日発表の10月の英消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったこともポンドを圧迫。
英CPIは総合指数で前年比4.6%と前回の6.7%から大きく伸びが鈍化した。英中銀も10月分は5%を下回ると予想していたが、それ以上であったようだ。これを受けて英中銀の利上げサイクル終了がほぼ正当化されたことはもちろん、市場は来年の早期利下げ期待を高めている。
しかし、利下げ期待については慎重な見方も聞かれる。「この日の英CPIは英中銀の政策担当者を安心させるかもしれないが、もっと下がる必要があり、2024年8月までは利下げが実施される可能性は低い」と主張している。サービスインフレが前年比6.6%と依然として厄介な水準にあり、英中銀が利下げを検討し始めるには更なる進展が必要だという。まだ利下げを検討する段階には至っていないとしている。
*英消費者物価指数(10月)16:00
結果 0.0%
予想 0.1% 前回 0.5%(前月比)
結果 4.6%
予想 4.7% 前回 6.7%(前年比)
結果 5.7%
予想 5.8% 前回 6.1%(コア・前年比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。