ドル円は149円台前半まで一時下落 米雇用統計が据え置き期待を正当化=NY為替概況
ドル円は149円台前半まで一時下落 米雇用統計が据え置き期待を正当化=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表された10月の米雇用統計が予想を下回る内容となったことでドル売りが強まり、ドル円は一気に149円台前半まで一時下落した。21日線も下回った。
非農業部門雇用者数(NFP)は15.0万件と予想を下回り、失業率も1ポイント悪化。平均時給も伸びの落ち着きを示した。今週のFOMCでパウエルFRB議長は追加利上げの可能性は残したものの、これまでの利上げと足元の利回り上昇の影響を確認したいムードも滲ませていた。それ以降市場にはハト派な雰囲気が広がっており、短期金融市場では12月の追加利上げはないと見ている。90%の確率で据え置きを予想。本日の米雇用統計はその雰囲気を裏付ける結果となったようだ。
本日の米雇用統計を受けて市場では米利下げへの可能性も高まっている。短期金融市場では利下げの予想時期を前日までの7月から6月に前倒しされ、来年は利下げを複数回実施し、24年末にはFF金利がほぼ4.50%付近に下がると見ているようだ。1カ月前には4.8%前後と予測していた。ただ、パウエルFRB議長は長期に渡る高金利を強調しており、利下げ観測を完全に否定している。それについてはまだまだ未知数ではある。
ユーロドルは1.07ドル台を一気に回復し、21日線を上放れる展開を見せた。7月から10月初旬にかけての下降波のフィボナッチ38.2%戻しが1.0765ドル付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。
ユーロドルは10月以降、底堅さを見せ始めたものの、ECBの利上げ終了観測や景気後退への懸念から上値が重く、リバウンド相場になかなか入れない日々が続いていた。しかし、本日の上げはリバウンド相場への青信号となるか注目の展開も見られている。
ポンドドルも急上昇。1.23ドル台後半の水準を一気に回復し、こちらも21日線を上放れしている。目先は200日線が1.2435ドル付近に来ており、その水準を試しに行くか注目される。
英中銀は追加利上げの可能性こそ残してはいるが、実際には、今月中旬に発表される10月の英消費者物価指数(CPI)の急低下も予想され、景気後退の見通しにも直面している。そのことから、追加利上げの可能性はないと考えられているようだ。
そのような中で一部からは、英中銀は許容するインフレ目標水準を2%から事実上引き上げたのではとの憶測も流れている。英国は他の主要国とは異なり、インフレ目標達成は見込んでいないことが調査や市場のプライシングからみて取れるという。英中銀が他の中銀よりもインフレに寛容だと考えられていることもその一因だとしている。英インフレは昨年の11.1%から、直近では6.7%まで鈍化している。ただ、次の10月分が5%台に大きく鈍化したとしてもユーロ圏の2.9%や米国の3.7%を依然大きく上回る状況にはある。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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