ドル円は149円ちょうど付近 弱いADP雇用統計でドル買い一服=NY為替概況
ドル円は149円ちょうど付近 弱いADP雇用統計でドル買い一服=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル買いが一服したものの、ドル円は149円付近での底堅い推移となった。この日発表の9月のADP雇用統計が予想を大きく下回り、米国債利回りも低下したことからドル買いも一服した。
前日のNY時間のドル円は波乱の展開となり、米求人件数が予想外に強い内容となったことから、心理的節目の150円を一時突破したものの、短時間に急速に戻り売りに押された。市場では介入観測が広まっているが、鈴木財務相や神田財務官をはじめ、当局は介入について口を閉ざしている。介入の有無は定かではないが、市場に対する心理的効果は働いているようだ。
日銀当座預金残高の予想と民間短資会社の推計に基づく試算から、前日のNY為替市場での日本当局の介入の可能性は低いとも伝わっている。昨年9月の大規模な円買い介入では、日銀の当座預金の数字と政府の資金フローに関する民間セクターの予想との間に大きなかい離があったという。しかし今回は、5日分の当座預金残高の予想は、ほぼ民間の事前予想通りだった。むしろ、日銀レートチェックのほうが有力とも伝えている。これまでの例では実弾介入の前に、日銀がレートチェックを行ってけん制することが大半ではある。
市場では10月相場に入ってFRBのタカ派姿勢が長期化するとの観測から、米国債利回りの上昇、ドル高、株安の動きが強まっている。もうしばらくドル買いが続き、ドル円も150円を再び突破してくるとの観測が根強い一方で、米国債利回りの上昇がかなり過熱しており、それに伴うドル高もそろそろ限界が見えてきているのではとの指摘も出ている。
いずれにしろ、金曜日の米雇用統計の反応を待ちたい雰囲気のようだ。
ユーロドルは買い戻しが優勢。ユーロドルは下値模索が続き、一時1.04ドル台半ばまで下落していたものの、本日は1.05ドル台を回復する動き。ただ、上値が重い状況に変化はない。
本日は9月のユーロ圏PMIの確報値と8月の小売売上高が公表されていた。PMIは速報値を若干上回ったものの、50を下回る水準での推移が続いている。小売売上高は予想以上の減少となった。これを受けて市場からは、第3四半期にユーロ圏経済がマイナス成長に陥った可能性がさらに高まったとの指摘が出ている。
インフレは緩和しているが、需要は低迷しており、雇用は今後数カ月で失われる可能性が高いという。このため、ECBはこれ以上の利上げを見送ることになりそうだとの見解も出ている。
ポンドドルも買い戻しが優勢。一時1.20ドル台前半まで下落し、節目の1.20ドルをうかがう動きが見られていたものの、本日は1.21ドル台半ばまで回復している。ただ、上値が重い状況に変化はない。
この日は9月の英PMIの確報値が公表されていたが、景気が勢いを失い、縮小に近づいていることを示唆していた。総合PMIは2カ月連続で判断基準の50を下回っている。7月の月次GDPが前月比0.5%減少したことと合わせ、英経済の回復力が弱まっていることを示唆する内容。
今後は金利上昇がさらなる足かせとなり、それが穏やかな景気後退を招き、今後数四半期の実質英GDPはピーク時から0.5%縮小する可能性が高いとの指摘も出ている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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