ドル円は伸び悩むも142円台での推移 円売りが続く=NY為替概況
きょうもドル円は買い優勢の展開となり、142円台を回復。NY時間に入って一時142.70円付近まで上げ幅を伸ばした。先週は日銀のイールドカーブコントロール(YCC)のサプライズ修正でドル円は一時138円台前半まで下落。しかし、NY時間にかけて買い戻しが膨らみ、日銀の発表後の下げを完全に取り戻していた。
週明けになってドル円は更に上げ幅を広げる格好となっているが、日銀が金融緩和の方向に本格的に舵を切ったとしても、米欧との金利差は相当程度あり、調達通貨としての円の魅力は当面続くとの見方もあるようだ。
また、日銀がYCC修正に踏み切ったのは中途半端な試みで、非常に不可解な動きだったとの指摘も聞かれる。YCCの方針は維持され、目途としての上下0.5%は維持された。ただ、上限は最大1.0%まで動く目標になったという。
「彼らは多くの信用を無駄にしたと思う。金曜日のNY市場での円安は、市場が本当に日銀を信じていないことを物語っており、それは今後の円の重荷になるだけだ」とし、ドル円は145円まで上昇する可能性があるという。
きょうのユーロドルは伸び悩む動き。終盤に1.09ドル台に値を落としている。この日はユーロ圏の第2四半期のGDPや7月の消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていたが、ECBの追加利上げを正当化する内容ではあった。しかし、短期金融市場での9月理事会での利上げ確率は38%程度に逆に低下している。
市場は先週のECB理事会を受けて、9月の利上げは見送られるとの見方を固めており、第3四半期以降の景気減速への警戒感も強まる中、この先の数字を確認したい意向のほうが強いようだ。
本日の21日線は1.1060ドル近辺に来ているが、その下での推移を続けている。為替市場では、これまでの金融政策の格差ではなく、景気の先行きの格差に焦点をシフトさせる動きもある中、ドル高への期待感も高まっており、ユーロドルの先行きに弱気な見方も少なくない。
きょうのポンドドルは方向感がなく、1.28ドル台中での振幅。今週は英中銀金融政策委員会(MPC)の発表が控えており、ポンドに関しては、その結果待ちの雰囲気が強い。いまのところ0.25%ポイントの利上げは確実視されており、関心は0.50%ポイントの大幅利上げの有無に集まっている。
短期金融市場では30%程度で大幅利上げの可能性を織り込んでいるが、エコノミストの予想も30%程度のようだ。0.25%ポイントの通常利上げの可能性が高そうだが、英中銀も日銀に負けず劣らずサプライズが多い中央銀行である点は留意される。
大幅引き上げを支持する論拠としては、賃金の伸びとインフレ鈍化との間に矛盾が残っていることだが、0.25%ポイントの引き上げは英中銀にデータを確認する時間を与え、引き締め過ぎのリスクを減らす。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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