インフレ鈍化でドル売り優勢 ドル円は一時137円台に下落=NY為替概況
インフレ鈍化でドル売り優勢 ドル円は一時137円台に下落=NY為替概況
きょうのドル円は一時137円台に下落。前日までの急速な下げは一服したものの、積極的な買い戻しも見られず、下値模索が続いた。138円台前半に1月からの上昇波のフィボナッチ38.2%戻しの水準が来ているが、その水準を下回った格好。完全にブレイクした場合、50%戻しの水準まで到達する可能性も高まる。50%戻しは136円台に来ている。
この日発表の米生産者物価指数(PPI)は前日の消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ鈍化を示唆する内容となった。きょうは円の買い戻しというよりも、ドル売りがドル円を圧迫。一部からは、ドルが循環的な下落を始めた可能性があるとの指摘が出ている。前日の予想を下回る米CPIを受けてドルは急落。今月末に予想される米利上げが今回の利上げサイクルの最後になる可能性も高まる中、ドルは循環的な下落を始めている可能性があるという。
前日の米CPIが驚くほど軟調だったのは、FRBのこれまでの急速な利上げの影響が、ようやく本格化する最初の兆候かもしれないとも語った。
ユーロドルは上値追いが続き、昨年3月以来の1.12ドル台に上昇。テクニカル的にも週足ベースで買いシグナルが点灯している模様で、昨年高値の1.1495ドルまでの上昇も見込めるとの見方も出ているようだ。しかし、今後2カ月の間にこの強固なレジスタンス水準に達するだけの勢いがあるかどうかは未知数だとも述べている。日足ベースではやや過熱感も出ているとしている。
ロンドン時間に6月分のECB議事録が公表された。理事らはコアインフレが2カ月連続で低下したことはポジティブなシグナルだが、転換点を確認するのに十分説得力のある証拠はまだないとの見方が大勢を占めたとしている。また、0.50%ポイントの大幅利上げを検討したことも明らかにした。高インフレが根付くリスクを考慮し、大幅利上げを望む意見も当初表明されたという。
いまのところ、短期金融市場では、今月の利上げは確実視しているものの、9月については期待を若干後退させている。現在は60%程度の織り込み。
ポンドドルは心理的節目の1.30ドルを回復し、一気に1.31ドル台まで上昇。昨年4月以来の高水準を更新している。この日は5月の英月次GDPが発表になっていたが、前月比0.1%のマイナス成長となったものの、マイナス幅は予想よりも小さかった。底堅い個人消費や労働争議が小康状態となったことで、チャールズ国王の戴冠式に伴う臨時祝日の影響が相殺されたとしている。これを受けて市場からは、第2四半期の英経済はプラス成長を維持する可能性が高いとの見方も出ている。
しかし、5月までの3カ月間のGDPは0%で、英経済が不安定な状態にあることが改めて示されており、大半の英企業もまだ景況感の改善を報告していない。そのような中、5月の英経済の回復力では下半期のリセッション(景気後退)は免れないとの指摘も出ている。エネルギー価格の下落が家計の生活費危機を幾分和らげているが、金利上昇の影響が住宅ローン金利を通じて顕著に表れ始めているとしている。
製造業の低迷は既に周知されているが、ここに来てサービス業も苦戦を強いられており、第2四半期はプラス成長を維持しても、下期の景気後退は免れないという。
英月次GDP(5月)15:00
結果 -0.1%
予想 -0.2% 前回 0.2%(前月比)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。