ドル売り優勢となる中、ドル円は138円台に下落 明日の米雇用統計待ち=NY為替概況
ドル売り優勢となる中、ドル円は138円台に下落 明日の米雇用統計待ち=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円は138円台に下落。朝方発表のADP雇用統計が強い内容となったことで買い戻しが強まる場面が見られたものの、動きが一巡すると、再び戻り売りが優勢となる展開。この日のISM製造業景気指数が弱い内容だったこともドルを圧迫した。
明日の米雇用統計の結果待ちの雰囲気が強い中、前日のFOMC委員の発言で、今月の追加利上げ期待が一気に後退しているほか、米下院で債務上限法案が通過したことで、デフォルト(債務不履行)回避への安心感も広がり、ドルは売られやすい状況となっているようだ。短期金融市場では、今月のFOMCでの据え置きの確率を75%超で見ている。
ただ、明日の米雇用統計が強い内容であれば、見方が変わる可能性もある。この日のADP雇用統計は予想を大きく上回る27万8000人増となっていた。ADP雇用統計と米雇用統計とは方向が必ずしも一致しないが、強い内容であれば、局面は一気に変わる可能性は留意される。
ユーロドルは買い戻しが出ており、1.07ドル台半ばに上昇。この日は5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が発表になっていたが、総合指数が大幅に低下していたほか、ECBが懸念を強めているコア指数も低下していた。
しかし、ECBの追加利上げの見方に変化はなく、ユーロの反応も限定的だった。サービスインフレが前月の5.2%から5.0%に低下したことから、コアインフレは4カ月ぶりの低水準となったが、これはドイツで新しい定額制の公共交通チケット(49ユーロチケット)が導入されたことが一因として挙げられている。
市場からは、「インフレは今後、低下が続くことが予想されるが、労働市場が依然タイトな中、コアインフレはゆっくりとしか下がらず、目標の2%に達するまでには長い時間がかかる。そのため、ECBは6月と7月の両方で0.25%ポイントの追加利上げを行う」との指摘が出ている。
*ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(概算値速報)(5月)18:00
結果 0.0%
予想 0.4% 前回 0.6%(前月比)
結果 6.1%
予想 6.4% 前回 7.0%(前年比)
結果 5.3%
予想 5.5% 前回 5.6%(コア・前年比)
ポンドドルは1.25ドル台を回復。きょうの上げで21日線を回復しており、明日以降、上昇トレンドに戻せるか注目の動きが見られている。
英国が米国やユーロ圏よりも大きなインフレ問題を抱えていることを示唆する証拠が続けば、ポンドは一時的にパフォーマンスを低下させる可能性があるとの指摘が出ている。
英中銀はインフレ抑制のために6月と場合によっては8月に金利を引き上げるかもしれないが、投資家の懸念が高インフレから低成長に移るため、長期金利は下半期に低下するはずだという。信用需要の低下、雇用の弱体化の初期兆候、エネルギー価格の急落など、すべてが焦点の転換を促し、利回りを押し下げる一助になるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。