ドル円は137円台を回復 米債務上限問題の行方に楽観的ムード広がる=NY為替概況
ドル円は137円台を回復 米債務上限問題の行方に楽観的ムード広がる=NY為替概況
きょうの為替市場は前日のNY市場の流れを引き継いでドル買いが優勢となる中、ドル円は137円台を回復。市場は米債務上限問題の協議の行方を見守っているが、議会指導者とバイデン大統領が合意に達し、デフォルト(債務不履行)を回避できるとの楽観的ムードが広がっており、円安の動きもドル円をサポートしたようだ。
バイデン大統領、共和党のマッカーシー下院議長が会見を行っており、「デフォルトにはならないと確信。21日に会見を開く予定だ」と述べた。一方、マッカーシー下院議長は昨夜、スタッフレベルの債務上限交渉に少し参加したことを明らかにしたうえで、「今週中の合意は可能だ」と述べていた。
本日の200日線が137.05円付近に来ており、その水準を上回っている。下値ではロング勢の買いも活発に入っており上値追いを続けているようだ。目先は5月2日の高値137.75円付近が意識される。
直近発表になっている米経済指標が力強さを残す中、FRBの利上げ停止観測は温存されているものの、市場での期待が強い年内利下げ観測はやや後退している。今週伝わっているFOMC委員の発言も、利上げ停止については可能性に言及しているものの、年内利下げ期待までは大半が否定的。そのような中で改めてドルの見直し買いが出ているものと思われる。また、前日の指標を受けての中国経済への懸念もリスク回避のドル買いに繋がっている模様。
ただ、市場の円高への期待も根強く、いずれ米経済が景気後退に陥るにつれてリスク回避の円高が強まるとの見方もあり、昨年のように再び150円を期待する向きはまだ少数派のようだ。
ユーロドルは1.08ドル台前半まで一時下落。本日の100日線が1.0805ドル付近に来ているが、目先はその水準が下値サポートとして意識される。きょうもECB理事の発言が伝わっていたが、理事の間で、金利の方向性に関する意見の一致が崩れつつあることが示されていることもユーロを圧迫しているとの指摘が出ている。
ホルツマン・オーストリア中銀総裁は4.00%を超える金利をちらつかせ、ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は利上げ終了が近いと見ている。デコス・スペイン中銀総裁も歴史的な一連の利上げが終わりつつあると述べていた。このことは最近のユーロドル下落に一致しているという。
しかし、ECBは来年も利下げに抵抗感を示す可能性が高く、その半面、FRBは利下げを行う中で、年末に向けてユーロドルのロングを形成することは依然として妥当な判断だと指摘した。
ポンドドルはロンドン時間に1.24ドル台前半まで下落していたものの、NY時間に入って一時1.25ドル台まで買い戻されており、ロンドン時間の下げを解消している。
きょうはベイリー英中銀総裁が英商工会議所の年次総会で講演を行っていたが、「賃金とサービス価格の上昇による第2ラウンド効果の解消は、それが出現した時よりも時間がかかる。政策委員会は、国内物価、賃金の強さがより持続する上向きのリスクに引き続き対処している」と言及し、追加利上げの可能性を示唆していた。
市場の一部では前日の英雇用統計を受けて英中銀の利上げ停止観測も出ているが、短期金融市場では6月の0.25%ポイント利上げを75%程度まで織り込んでいる。6月の英中銀金融政策委員会(MPC)は22日だが、それまで雇用統計があと1回、消費者物価指数(CPI)は2回確認ができる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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