リスク回避の円高でドル円は133円半ばに下落 ファースト・リパブリックが不安煽る=NY為替概況
リスク回避の円高でドル円は133円半ばに下落 ファースト・リパブリックが不安煽る=NY為替概況
きょうのNY為替市場でドル円は133円台半ばに下落した。午後になって売りが加速し、一時133.40円付近まで下げ幅を拡大。米株式市場で売りが強まり、ダウ平均が300ドル超下げ幅を拡大する中、リスク回避の円高が強まった。
米株式市場の下げについては、米地銀のファースト・リパブリックが急落し、全体を圧迫。同銀は決算を受けて大幅安となっていたが、より広範な救済計画の一環として、500億-1000億ドルの長期証券および住宅ローン債権の売却を検討しているとも伝わった。売却すれば、資産と負債のミスマッチを縮小させることができるという。市場では米銀システムへの不安を呼び起こすニュースと捉え、市場も敏感に反応したようだ。
ただ、下押す動きまではなく、次のアクション待ちの雰囲気は続いている印象。FRBについては何も変化はなく、来週のFOMCでの0.25%ポイントの利上げをほぼ確実視している一方、一部で出ている6月利上げについてはまだ確率は低いと見ているようだ。今週はFOMC委員の発言もなく、手掛かり材料は経済指標だが、今週は第1四半期のGDP速報や、週末にはPCEデフレータの発表が予定。
日銀の植田総裁はきょうも国会で答弁を行い、出口戦略に慎重姿勢を滲ませた。今週の日銀決定会合については内容を見極める必要はあるが、市場の政策修正への期待は一旦後退している模様。
ユーロドルは戻り売りに押され、1.09ドル台に値を落とした。ただ、下押す動きまでは見られず、21日線より上の水準はしっかりと維持され、上昇トレンドは継続している。
市場からは、来週のFRBとECBの政策決定を前に、ユーロドルは底堅い取引が予想されるとの見方が出ている。5月3日にFOMC、4日にECB理事会を控え、ユーロドルは底堅く推移すると予想されるという。FRBは利上げサイクル終了が近づいている可能性が高まる中、米債務上限問題と米銀への懸念もあり、ドルにとっては逆風となる。
一方、市場では、ECBはよりタカ派的と認識されており、いまのところユーロが市場の優先通貨となっている。つまり、中央銀行の会合を前に市場が見方を変え、ユーロドルの流れを大きく変化させるためには、かなりの事が起きる必要があるという。
ポンドドルは戻り売りに押され、一時1.23ドル台に下落。きょうの下げで1.24ドル台前半に来ている21日線を下回っているが、いまのところ上値が重くなっている気配こそあるものの、下値を試そうという雰囲気まではない。
市場からは、投機筋がポンド安にポジションを傾けることはもはやないとの指摘が出ている。先週末発表の最新の米商品先物協会(CFTC)の建玉報告によると、投機筋はもはやポンドのショートを形成していないという。昨年後半以降のポンド安で利益を得ていた投機筋は、この6カ月間は大変だったようだと述べている。
しかし、ポンドがユーロに対して買いが強まるとも考えていないという。短期金融市場ではすでに今後5カ月で英中銀の0.65%ポイントの利上げを織り込んでおり、ここからポンドが対ユーロで大きく買われるようなことはないと見ているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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