ドル買い戻しでドル円も一時140円台に戻す 楽観的な見方は時期尚早との声も=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが優勢となる中、ドル円も一時140円台に買い戻される場面が見られた。ただ、終盤にかけて139円台に戻している。
先週の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、ドルは大きく売られている。ドル円も一気に方向転換した印象で、ロング勢の見切り売りも相次いでいた。しかし、週明けになってその動きも一段落し、買い戻しが出ていたようだ。ウォーラーFRB理事が金利をさらに上げる必要があると警告したこともドルの買戻しに繋がっているようだ。この発言は少なくとも今後1週間はドル売りのペースを緩めることに貢献するとの声も出ている。
先週の米CPIを受けて市場は12月FOMCでの利上げは0.50%ポイントとの見方を強めている。短期金融市場では0.50%ポイント利上げの確率を80%以上で見ている。しかし、今回の利上げサイクルのターミナルレート(最終着地点)は5.25%に据え置かれたままで、利上げのスピードは緩めるが、最終的な金利水準には変更はないといった状況。
また市場からは、単月の数字でトレンドが決まるわけではなく、市場の楽観的な見方は時期尚早との声も聞かれる。むしろ、インフレは今後ゆっくりと鎮静化して行くだけなので、金利のバイアスは依然として上方向にあるという。
ユーロドルは1.02ドル台に伸び悩む場面が見られていたものの、NY時間に入って1.03ドル台に買い戻されている。先週の米消費者物価指数(CPI)後の買い戻しは続いており、高値圏を維持している。
先週木曜日の米CPIを受けてユーロ債利回りも低下していたが、金曜日には急反転し、その下げを取り戻している。ユーロ圏内のインフレ見通しは依然厳しく、ECBの追加利上げと迅速な量的引き締め(QT)に踏み切る可能性は高い。ただ、景気後退のリスクも高まる中で、どの程度までユーロを買い戻せるのかは疑問の声も少なくない。
ポンドドルは戻り売りに押され、一時1.17ドル台前半に値を落とした。ただ、終盤になって買戻しも見られ、1.18ドル付近まで戻す展開。目先は100日線が来ている1.16ドル台半ばが強いサポートとして意識される。
今週は重要な英イベントが相次いでいる。英雇用統計のほか、水曜日には10月の英消費者物価指数(CPI)も発表が予定。英CPIは総合指数で前年比10.7%が予想され、インフレがまだ上昇していることが示されると見込まれている。
そのほか、木曜日には英秋季財政報告書が公表され、緊縮財政の発表が予想されている。スナク新政権の厳しい財政措置は成長見通しを弱め、ポンドは圧迫される可能性があるとの声も出ている。しかし、市場が英経済見通しに関する弱いコンセンサスをかなり織り込む中、意外にポンドは底堅く推移するとの見方もあるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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