ドル円は上げ一服も下げる気配もなく114円台を維持=NY為替前半
きょうのNY為替市場でドル円は上げが一服しているものの、下げる気配もなく、114円台を維持している。大きな心理的節目である115円を目指す動きは続いているようだ。ただ、9月22日からドル円は買いが強まり始めたが、その水準からすでに500ポイント上昇しており、高値警戒感も出ている模様。
世界的なインフレ上昇で、FRBや英中銀といった主要国の金融政策はすでに刺激策解除の方向に舵を切り始めている。一方、日本の物価はいまだデフレぎりぎりの水準にあり、今週発表される9月の全国消費者物価指数(CPI)は総合で前年比0.2%上昇予想に留まっている。生鮮・エネルギーを除いたコアコア指数に至ってはマイナス0.4%が見込まれている状況。この状況下で日銀が刺激策解除に動くとは到底想定できない状況。米英との金融政策の格差が円を売りやすくしているようだ。
この日発表の9月の米鉱工業生産は予想外のマイナスとなっていた。生産を阻むサプライチェーン問題と労働力不足が悪化しており、加えてエネルギー価格上昇が今後数カ月に渡って米製造業に新たな制約を加える可能性があるとの指摘が出ている。基本的には米製造業の回復は続いているが、そのペースは鈍化している。特に主力の自動車産業が不安定で、年末にかけて苦戦を強いられるとの声も聞かれる。
ユーロドルは1.16ドル台で推移している。ロンドン時間には1.1575ドル近辺まで下落していたものの、1.15ドル台では押し目買い意欲も出るようで、1.16ドル台に戻している。ただ一方で、積極的にリバウンドを試す動きもまだ見られず、上値には慎重。21日線が1.1625ドル付近に来ているが、この水準を突破して来るか注目される。
FRBや英中銀と比較してECBは刺激策解除に慎重とみられており、利上げ開始も遅くなると見られている。その見方がユーロの上値に慎重な最大の要因の1つとも言える。来週28日にECB理事会が開催されるが、今回は据え置きとの見方が有力視されている。ただ、エネルギー価格上昇と供給問題が続く中で、経済見通しは更新してくる可能性はあると見られているようだ。12月の理事会で大きな決定が行われると見込まれているが、今回の理事会で何らかのヒントを示すか注目している。更に市場は、ECBがインフレ上昇は一時的との見解を維持するかどうかにも関心を寄せている。ただ、その点については、これまでのスタンスを維持してくるものと見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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