とれんど捕物帳 金余りとドル円の上昇

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 個人的にはあまり感じないが、世の中、金が余っているらしい。米株式市場では個人投資家がレディットというSNSサイトに集まり、レディット軍なるものを形成。過度に売り残が積み上がっている銘柄を中心に、集中的な攻撃買いを入れ、いわゆる踏み上げ相場を演じている。あまりの急激な上昇に空売りファンドもショートカバーを余儀なくされ、大損を出して悲鳴をぶちまけている。それを聞いた投資家は‘いいね’のボタンを押す。その手に情けは無用だ。

 空売りの損は青天井。一夜にして日本円で数百億円を飛ばしたファンドもあったようだ。良し悪しは別にして、米株は日本株と違い、ストップ高、ストップ安がなく、値上がり率3桁というもよく目にする光景だ。ロング勢も今回は、回転が効きまくりで、さぞかし楽しかったであろう。個人的にはあまり取り上げないようにしているのだが、ゲームストップほどの勢いはないものの、まだ、あちこちの銘柄で同様の現象が起こっている。

 その金余りだが、パンデミックで世界の貯蓄が2.9兆ドル(約310兆円)増加しているとの試算が出ている。主要国の消費者は封鎖措置で外出が制限されたことから、金が使えず、貯蓄を積み増したようだ。財政刺激策による直接給付や失業給付増額といった支援政策もその動きを助長。ちなみに2.9兆ドルの約半分の1.5兆ドル(約160兆円)が、消費大国の米国だ。

 これが市場に蔓延しているインフレ期待の源泉の1つとも言える。あくまでインフレは消費者物価(CPI)である。潤沢な余剰資金を確保している家計が、ワクチン接種拡大と伴に、行動に制限が掛からなくなれば、徐々に解放感から消費意欲を高揚させ、価格も上昇するとの青写真を市場は描いている。このシナリオに米国債利回りが急ピッチな上昇を見せ、長期金利の上昇が続き、予想外にドルが力強い動きを続けている。

 個人的には意外感を持ってみているが、FRBが「回復期待に伴う自然な動き」と静観していることも利回り高・ドル高に弾みをかけている。長期金利の急ピッチな上昇に株式市場でも不安感が出始めており、ITやハイテク、医薬品を中心に、これまで相場をけん引してきたセクターに調整の動きが出ている。今週、パウエルFRB議長の講演が行われ、米国債についての言及もあったが、“自身は気にしている”といった程度で市場にはインパクトがなかったようだ。

 市場からはFRBは口先でも動くべきとの声も出ている。株式が調整色を強めるなど、もう少し事態が進めばFRBも、十八番となっている“株主対策”をちらつかせるのかもしれないが、もう少し様子を見たい意向なのかもしれない。

 さて来週だが、今週のドル円は週後半に買いの動きを強め、市場も本邦勢中心に、驚きにも似た賑わいを見せている。3月末ということもあり、実需買いも活発に入っているのであろう。一方、過熱感はトランプ前大統領が大統領選で勝利した直後の2016年11月以来の水準に高まっている状況。そろそろ冷水が欲しいところではある。

 イベントは2月の米消費者物価指数(CPI)やECB理事会が予定されている。米CPIはまだインフレの芽を示唆するような内容は出ないであろう。注目はECB理事会だ。こちらは国債利回りの急ピッチな上昇に神経質になっているようで、議題に上る可能性もありそうだ。具体的に行動を起こすことはないと思われるが、何らかのけん制を入れてくるか注目される。内容次第では、それをきっかけに全体が巻き返される可能性も無きにしも非ずなので、要注目ではある。

 来週のドル円の想定レンジだが、109.50円~107.00円を想定。スタンスは「中立」から「やや強気」に変更したい。ただし、高値警戒感は留意される。

()は前週
◆ドル円(USD/JPY) 
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑↑(↑↑↑)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 中立継続
短期 →(→)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(↑↑)

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次回の配信は3月20日(土)の午前を予定しています。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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執筆者 : MINKABU PRESS

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