為替相場まとめ2月15日から2月19日の週
15日からの週は、週の半ばにかけてドル高円安基調が強まったが、その後調整が入る展開となった。ドル円は10日につけた104円台半ば割れからのドル買い円売り基調が強まる形で17日東京朝に106円20銭台に。同日NY市場朝にも106円20銭台を付けたが、その後は一転して調整ムードが広がった。米追加経済対策期待から米国のインフレ見通しが強まっており、米長期債利回りの上昇を誘ってドル買いにつながっている。ベンチマークとなる米10年債は17日に一時1.33%前後まで上昇する場面が見られた。その後米債利回りの上昇が一服すると、欧州通貨を中心にドル高に対する調整が入る展開となり、ドル円も105円台に値を落とした。ユーロドルは週の前半に独ZEW景況感指数の好結果などを受けて1.21台後半まで上昇も、その後のドル高基調に1.2020台まで大きく下落。週の後半にかけてはドル円同様にドル高に対する調整が入り、1.21台をしっかりと回復する動きとなっている。
(15日)
東京市場は、リスク選好の動きが広がった。日経平均は約30年半ぶりの3万円台をつけた。ドル円が105円を中心とした揉み合いに終始するなかで、クロス円が上昇、ドル円以外の通貨でもドル安が優勢だった。ユーロ円は127円近辺から127円台半ば超えへ、ポンド円は145円台前半から146円台乗せまで上値を伸ばした。ユーロドルは1.2110台から1.2140前後へと上昇。ポンドドルに至っては一時1.39台をつけて、2018年4月以来の高値水準での推移となった。NY原油先物が上昇するなかで、カナダ円は83円台に接近、ドルカナダは1.27付近から1.26台後半へと下押しされた。原油高は米景気回復期待とともに、中東情勢の緊迫化も背景。
ロンドン市場は、リスク選好の動きで円安・ドル安となっている。週明けの東京市場では日経平均が30年6カ月ぶりの3万円台で引けたほか、豪州株も買われた。NY原油先物は一気に60ドル台乗せとなった。続く欧州株も堅調に推移。米株先物は時間外取引で上げ幅を拡大している。リスク選好ムードが広がるなかで、ドル円は105.40台へと高値を更新。クロス円が全般に買われており、ユーロ円は127円台後半、ポンド円は146円台後半、豪ドル円は82円手前へと買われている。ドル相場は先週来のドル安水準を維持するなかで、ユーロドルは1.21台前半、ポンドドルは1.39台乗せ、豪ドル/ドルは0.77台後半で推移している。週末の報道で、ドラギ前ECB総裁が伊首相に就任した。政局安定が市場に好感されている。さらに、英国では14日にワクチン接種の第一段階の目標を達成したと発表されており、英株式市場では旅行やレジャー関連株が買われている。リスク選好ムードにこのような報道が一役買っていた。
NY市場はプレジデントデーのため休場。
(16日)
東京市場は、リスク選好の動きが広がった。ドル円は105.60台まで上値を伸ばした。休場明けの米債券時間外取引で10年債利回りが1.24%台後半に上昇してスタートしたことや、日経平均が600円超高となったことが背景。高値からの調整も105.40台までにとどまった。ユーロドルは1.2120付近から1.2150台まで上昇。ユーロ円は127円台後半から128円台に乗せている。豪ドル円は82円割れ水準から82.40台へと上昇。テキサス州を襲う大寒波でエネルギー需要が拡大するとの思惑や、緊迫化する中東情勢への懸念などがNY原油高を誘い、資源国通貨全般の買いにつながった。
ロンドン市場は、神経質に振幅もドル安の流れを維持している。三連休明けのNY株式市場が注目されるなかで、時間外取引の米株先物は3指数ともプラス圏で取引されている。リスク選好の動きが期待されるところ。一方、欧州株は調整の動きが交錯しており、前日までの高値圏で揉み合いとなっている。為替市場も神経質な値動き。ドル円は東京午前の上昇したあとは売りに押されており、105円台半ばから前半へと下落。ユーロドルは1.21台前半で上下動したあと、ロンドン勢は買いを強めている。2月独ZEW景況感指数が予想外の改善となったことや、第4四半期のユーロ圏GDP改定値が小幅に上方修正されたことなどが好材料。1.21台後半へと高値を伸ばしている。ユーロ円は128円付近で方向感なく揉み合っている。ポンドは対ユーロでの売りが上値を抑えており、ポンドドルは1.39台前半で振幅、ポンド円は147円割れの動き。
NY市場では、ドル買いに転じた。ドル円は上値追いとなり、昨年10月以来の106円台まで上昇。リスク選好ムードが広がるなかで、米10年債利回りが昨年3月のピークを上回り1.30%まで一時上昇。NY連銀景気指数で仕入価格の上昇が確認されるなど市場の米インフレ期待を高めた。背景には、米感染拡大が急速に鈍化するなかで、大規模な米追加経済対策とワクチン展開が世界的な景気回復を導くとの期待が高まっていることがある。ユーロドルはロンドン時間に1.2170近辺まで上昇したあと、NY時間には戻り売りが強まって1.20台に一時下落した。ポンドドルは1.39を挟んだ上下動。ユーロと比較すると下押しの動きは限定的だった。ブレグジットの影響で物流に問題を抱えている英国だが、徐々に解消の兆候が見られるとの報道があった。英経済にとってはポジティブな内容となっていた。
(17日)
東京市場では、ドル円の上昇が一服している。朝方には106.22レベルと前日の高値を更新した。その後は売りに押されて106円手前で揉み合ったあと、下抜けて105.84レベルまで安値を広げた。米債利回りの上昇に対する調整が入ったことが重石となった。ユーロ円も朝方に128.46レベルと昨年10月以来の高値水準をつけたあと、128円台割れへと沈んだ。日経平均が175円安で引けるなど調整色が強かった。ユーロドルは1.21付近が重くなり、前日NY市場からのドル買い圧力が継続している。
ロンドン市場は、調整の動き。欧州株や米株先物が売りに押される中で、米債利回りの上昇も一服。リスク選好のドル売り・円売りがやや巻き戻されている。ユーロドルは1.21台が重くなり、1.2060付近へと下押し。ユーロ円も128円台割れから127.80近辺まで下落した。ポンドや豪ドルなどはロンドン序盤にはやや買いもでていたが、次第に売りに押されている。ポンドドルは1.39台乗せのあと、1.3860近辺に下落。ポンド円は147円台前半から147円割れ水準へと軟化。豪ドル/ドルは0.7740台から0.7770近辺で上に往って来い。豪ドル円も82円台前半で小幅に振幅している。株の下げ幅は比較的小さく、NY原油先物も60ドル台半ばに上昇と、調整の動きも軽微にとどまっている。ポンドは英消費者物価指数が予想をやや上回った。一方、ユーロ圏の建設業生産高はマイナスに転じた。ユーロポンドは一時0.87台割れとなった。
NY市場は、調整の動きが継続。ドル円は戻り売りに押されて105円台後半へと下落。ただ、105円台半ばにきている200日線を試す雰囲気まではみられず。朝方発表の1月米小売売上高が予想以上に強かったこともサポートしていた。米株がIT・ハイテク株中心に利益確定売りに押され、米国債利回りが低下したことがドル円の調整を促したが、特段の悪材料はでていなかった。午後には1月開催分のFOMC議事録が発表され、 「財政刺激策とワクチンが大幅な経済引き上げをもたらす」と指摘した一方で、「実質的な進展には時間がかかり、資産購入を変更する前にはコミュニケーションをとることが重要」とも言及した。従来からの慎重姿勢が踏襲されている。ユーロドルは一本調子の下げで、1.20台前半まで一時下落。ユーロ円は127円台半ばまで一時下落した。ポンドドルは1.38台前半まで一時下落。
(18日)
東京市場は、小幅の振幅。ドル円は朝方に105.70近辺まで下押しされたあとは、105.90近辺に値を戻す動き。日経平均は寄り付きから200円高となったが、次第に売りに押されて56円安で引けた。米10年債利回りは1.25%台まで低下したあとは1.27%台へと戻している。リスク動向をにらんでドル円は振幅している。ユーロドルは1.2040-50レベルでの揉み合いに終始。前日NY市場で売られたあとは、小戻しして揉み合っている。9時半に発表された1月の豪雇用統計は雇用者数の伸びはほぼ予想通りも、正規雇用の伸びが著しくやや好印象。豪ドル買いの反応がみられたが、すぐに戻している。
ロンドン市場は、ポンドが堅調に推移している。ポンドドルの上昇ともにドル円やユーロドルにもドル安圧力がかかる格好となっている。クロス円はポンド円の上昇でやや円安方向への動き。しかし、欧州株や米株先物・時間外取引は特段の悪材料に欠けるなかで、利益確保の売りに押されている。NY原油先物は62ドル台をつけたあとは反落。米10年債利回りは上昇しており、一時1.29%をつけた。各市場がまちまちで、調整色が強いようだ。ポンドは対ユーロで買われ続けており、約10カ月ぶりのポンド高水準となっている。いち早くワクチン接種が開始、普及したことがポンドにとっては好材料となっているもよう。ドル円は105.70近辺に軟化。ユーロドルは1.2070台まで上昇。ユーロ円は127.60台へとじり高の動き。ポンドドルは1.39台乗せ、ポンド円は147円台乗せ、ユーロポンドは0.8660台に下落。
(19日)
東京市場は、主要通貨がもみ合いに終始した。ドル円の朝からのレンジは18銭、ユーロドルは16ポイント。株安が進むなど調整ムードがドル売りにつながっており、ユーロドルは前日海外市場の高値を超えて1.2098を付ける動きも、この時間帯は1.2100を超えきれずもみ合いに。ドル円は105円70銭前後でのもみ合いから、午後に105円50銭台まで値を落としたが、105円台半ば手前の買いを崩せず。
ロンドン市場では、ドル安の動きが加速した。ユーロドルの1.21超えををきっかけにドルは全面安に。独、ユーロ圏の製造業PMIが強めに出たことで、ユーロドルでのユーロ買いドル売りに弾みがついた面も。その後に発表された英PMIは、製造業だけでなく非製造業も強く出ており、欧州通貨高ドル安の勢いにつながった。ドル円は105円50銭前後の買いを意識して、朝方はドル売り円買いが抑えられたが、その後対欧州通貨でのドル売りに押される形で、105円台半ばを割り込み、105円31銭前後まで。
NY市場は全体的にはドル売りが優勢で、ドル円も序盤には200日線を割り込み、ストップを巻き込んで105円台前半まで下落する場面がみられた。ただ、一連の米経済指標の発表を通過した辺りからロンドンフィキシングにかけて買いが強まり、105.65付近まで買い戻される場面も見られた。ドル円は200日線付近で大方の取引を終えているが、来週以降200日線の水準を維持できるか注目される。

執筆者 : MINKABU PRESS
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