【来週の注目材料】米利下げ期待が一気に広がる中で、米雇用統計は?
新型コロナウイルスの感染拡大懸念が世界的に加速し、パウエルFRB議長が利下げの可能性に言及。ほんの一週間ほど前まではほとんど見られなかった3月のFOMCでの利下げ期待が一気に強まりつつあります。
ただ、新型コロナウイルスの影響を見極めるにはまだ早いのではとの思惑も。そうした中で一つの大きなカギとなる雇用統計(2月)の発表が6日に控えています。
前回1月分は非農業部門雇用者数が+22.5万人と12月分の+14.7万人(速報時点では+14.5万人)、事前予想の+16.5万人を大きく超える好結果となりました。ただ、年次改定が行われ2018年4月から2019年3月までの雇用者数が51.4万人分下方修正されるなど、厳しい材料もありました。
失業率は3.6%と予想及び前回値の3.5%から悪化しましたが、労働参加率が0.2%ポイント上昇し63.4%となったこともあり、こちらは材料視されませんでした(労働参加率が上昇すると、雇用市場が堅調でも失業率は若干悪化します)。
こうした状況を受けて今回の予想ですが、非農業部門雇用者数は+17.5万人が見込まれています。
雇用統計は12日を含む週の数字であり、その時点での新型コロナウイルスの感染拡大懸念は限定的でしたが、1月分の数字が強かった分の反動もあり、少し伸びが鈍化の見込みです。
また、1月は比較的天候に恵まれ、天候要素の大きい建設業が+4.4万人と力強い伸びを見せましたが、一種の特殊要因だけに今回の伸びを鈍化させる形になると見られます。
12月分の数字で強めに出た小売業が、前回は反動もあって0.83万人と比較的小幅ながら雇用減となりましたが、今回はその分の反動でプラスが強まる可能性がありますので、予想を超えてくることも十分にありそうです。
ただ、急速に利下げ期待が広がる中で、強めの数字には反応しにくい面も。一方で予想を下回る弱めの数字が出た場合、すでに広がっている早期の米利下げ期待とも合わさって一気のドル売り加速もありそうです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
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執筆者 : MINKABU PRESS
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