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とれんど捕物帳 ドル円が急上昇 どの説がリーズナブルなのか?

為替 

 今週は何と言っても突然のドル円の上昇が市場の注目を集めたであろう。110円台回復どころか、一気に一時112円台まで登り詰めている。これまでの持ち合いから上へのレベルシフトが見られ、サインと受け取ったのであろうか、これまで弱気を語り尽くして来た一部の市場関係者も、たった一夜にして115円とか言い出す始末だ。致し方ないところではあるが。

 ドル円の突然の上昇の見方も様々だ。1、日本の機関投資家の買い説。これについては、これまでも定期的に見受けられ、一本調子でドル円を1日で100ポイント超押し上げること珍しくはない。そして、2、新興国通貨ロング巻き戻し説。新興国通貨をロングで保有し、そのヘッジとして逃避通貨の円もロングで保有する。新興国通貨は利下げなどが相次いでおり、パフォーマンスが上がらず、ファンド勢が一気にそのロングポジションを巻き戻し、それに伴い円ロングも解消されたというもの。

 そのほか、個人的に最も気になる見方ではあるが、3、円はもはや逃避通貨ではない説。円に対して、逃避通貨ではなく、ファンダメンタルズで再考しようという動きが海外勢を中心に出ている。今週発表の10-12月の日本のGDPは前期比年率換算で6.3%の大幅なマイナス成長となった。政府は打ち消そうとしているが、10月の消費税増税の影響が出ているものと考えられる。増税前の駆け込み需要がさほど盛り上がらなかったことを考慮すると、完全に増税が景気を圧迫したと見てよいであろう。さらに中国の新型ウイルス感染の影響が日本にも拡大しており、インバウンドや中国向け輸出を始め、日本経済にも影響が出ると見られる。1-3月のGDPもマイナス成長に陥る可能性も想定される中、2四半期連続のマイナス成長というテクニカル的なリセッションは濃厚との見方も出ている。日銀の緩和余力がどの程度あるかは未知数だが、何らかの対応を迫られる可能性もありそうだ。中にはオリンピック開催を危ぶむ声も出ており、その場合の衝撃はさらに大きい。ただ、教科書的には最もしっくり来る見方ではあり、これまでが不自然だったとも言えるのかもしれない。少し複雑ではあるが!

 どの説がリーズナブル(理に適う)なのか分からないとうのが、正しい説明なのかもしれない。ただ、唯一明確なことは、ドル高がドル円を押し上げているという点だ。米国債利回りはさほど上昇していないが、米株式市場がやけに強い。ウイルス感染の中国経済への影響は必至と見られる中、世界経済への悪影響も確実視されている。それでも、足元の好調な米企業決算や経済指標を材料に、米株式市場に資金が流れ込んでいる。ダウ平均は若干の調整も見られているが、ナスダックは最高値更新が続いている。昨年以上に米国の一人勝ちのシナリオを強化しているのかもしれない。それに伴ってドル資産は魅力的な逃避場になっているようだ。実に楽観的だ。

 ただ、先日もお伝えしたが、ドル高がどんどん進んで行く状況を、大統領選を控えたトランプ政権、そして、FRBはどう見るだろうか。“経済のトランプ”を標榜する大統領が、ドル安に誘導しようとしてもおかしくはなく、そのことを市場は軽く見ているような感じもする。もし、この先ドル円が上値追いを続けるようであれば、その辺はリスクとして留意したい点ではある。

さて来週だが、週末にややドル円は伸び悩んだものの、しっかりと上昇トレンドを維持している。この動きを見た限りでは、上記に示した「日本の機関投資家の買い説」だけではない可能性も高い。来週も円安が続くようであれば、上記の「円はもはや逃避通貨ではない説」も有力視される。消費税増税に伴うマイナス成長、ウイルス感染の混乱、そして、オリンピック開催の可否といったリスクの中で、日本経済を市場がどう見ているのか、来週の動きはこれまで以上に注目される。

 ドル円の想定レンジとしては、110.50~113.00円と少し広めに取りたい。スタンスは「やや強気」に変更する。

()は前週
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中期 上げトレンド継続
短期 ↑↑(→)

◆ユーロ円(EUR/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ポンド円(GBP/JPY)
中期 中立継続
短期 ↑(→)

◆豪ドル円(AUD/JPY)
中期 下げトレンド継続
短期 ↑(↓↓)

◆ユーロドル(EUR/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓↓(↓↓↓)

◆ポンドドル(GBP/USD)
中期 下げトレンド継続
短期 ↓↓(↓↓)

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次回の配信は3月7日(土)の午前を予定しています。ご了承ください。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

MINKABU PRESS

執筆者 : MINKABU PRESS

資産形成情報メディア「みんかぶ」や、投資家向け情報メディア「株探」を中心に、マーケット情報や株・FXなどの金融商品の記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコンテンツなど幅広く提供しています。

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