ドル円は110円台には慎重 株失速で伸び悩む=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円は109円台後半での上下動となった。米株が一時、最高値を更新し、ドル円も110円をうかがう動きを見せたものの、110円台にはなお慎重なようだ。
中国の専門家から、あと数週間でウイルス感染拡大は落ち着くとの発言も伝わり、きょうの市場は懸念を一服させている。市場からは、中国経済への影響がどの程度になるのか、なお未知数な中、いまは目の前にある事実が市場をサポートしているとの声も聞かれる。底堅い米経済、堅調な米企業決算、そして、FRBのサポート姿勢の3点のようだ。
きょうはパウエルFRB議長の議会証言が下院で行われており、「見通しへのリスクは残り、中国のコロナウイルス感染の影響を注視している」と述べていた。ほほ市場の予想通りの内容ではあったが、この日伝わった他の米地区連銀総裁の発言でも、コロナウイルス感染の影響に言及しており、市場も意識したようだ。
ドル円は再び110円をうかがう展開が見られたが、110円付近にはオプションやヘッジ売りなどの売りオーダーも多数観測されており、簡単ではなさそうだ。
きょうはポンドの買い戻しが見られ、ポンドドルは一時1.2970ドル付近まで上昇。きょうは10-12月期の英GDP速報値が発表になり、予想通りに前期比変わらずとなった。一部からはマイナス成長の予想も出ていただけに、ひとまず安心感につながったようだ。しかし、マイナス成長にこそ回避されたものの、成長が鈍化したことは間違いなく、EUとの貿易交渉も控える中、不透明な情勢は続いている。
ユーロドルも下げ一服。このところの急速な下げで過熱感も出ている。ただ、上値は依然重い雰囲気。ラガルドECB総裁が欧州議会で「金融政策だけが唯一の選択肢ではない。政策の副作用は時間と伴に大きくなって行く」と、追加緩和に慎重姿勢も垣間見せており、ユーロの買い戻しを誘った面もありそうだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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