英議会が審議日程の短縮は否決でポンドが急速に売られる=NY為替後半
NY時間の終盤に入ってポンドが急速に下落。NY時間の終盤になって英議会が第2読会の審議でEU離脱協定法案は可決したものの、審議日程の短縮に関しては否決したことから、ポンドは戻り売りが強まっている。ポンドドルは一時1.30ドルちょうど付近まで上昇したものの、1.28ドル台に一気に売りが強まっている。
離脱協定法案自体は可決されたことで、成立に向け前進が見られたものの、ジョンソン首相がこだわっていた10月31日での離脱は難しい情勢となった。これを受け英政府は、「短期の離脱延期を排除しない」との意向を示している。一部報道では10日間の延期であれば、ジョンソン首相も受け入れると伝わっていた。ただ、EUが離脱延期を受け入れるかの問題もあり法案は一旦取り下げの格好となっている。
場合によってはジョンソン首相は法案を破棄し、クリスマス前の総選挙に向けて動く可能性も示唆しており、いずれにしろ情勢はなお混沌としている状況。
一方、ドル円も終盤になって売りがやや優勢となっており、108.45円付近まで値を落としている。英議会の動きを受けて米株も伸び悩んでおり、ダウ平均がマイナスに転じる中、リスク回避の雰囲気も出ているようだ。
先週は109.10円付近に来ている200日線を回復できずに伸び悩んでおり、次第に上値が重くなりつつある雰囲気も出ているが、基本的にはリバウンド相場の変化はまだない。ただ、更なる上値追いには新たな材料が欲しいといったところで 英EU離脱の動向はもちろんのこと、米中貿易協議も12月分の関税についてはなお、不透明な部分が多い。こちらは11月のAPECでの米中首脳会談に向けた動き次第といったところではある。
来週のFOMCに向けた動きも活発化してくる可能性もある。CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、利下げ確率を90%台まで高めており、ほぼ確実視されている状況。ただ、市場はそれをだいぶ織り込んでおり、次の12月FOMCを探りたい状況のようだ。
いずれにしろ、ドル円は次のアクション待ちといった雰囲気が強まっている。
ユーロはポンドに連動した動きとなっており、1.11ドル台半ばから1.11ドル台前半に値を落とす展開。ただ、ユーロ自体は手掛かり材料もなく、きょうは蚊帳の外といった雰囲気だ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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