【これからの見通し】市場のムードがリスク選好に傾くが、継続性はどうか
【これからの見通し】市場のムードがリスク選好に傾くが、継続性はどうか
市場のムードがリスク選好に傾いている。前日の米欧株が大幅高となったことに続いて、きょうの日経平均も436円の大幅高で3日続伸で引けた。上海総合指数は一時3000ポイント台を回復した。ただ、足元では上昇力が鈍っており、上げ幅を縮小している。ドル円は中国側から米中貿易協議が10月にワシントンで再開されると報じられたことで一時106.75レベルまで上昇したが、足元では106.50付近へと押し戻されている。この後の海外市場でのリスク選好ムードの継続性をみきわめたいところだ。
前日にリスク選好ムードに沸いた背景には、まず香港行政長官が正式に「逃亡犯条例」改正案の撤回したことがあった。加えて、英議会が離脱延期法案の審議についての動議を可決し、「合意なき離脱」が遠のいたこともあった。ジョンソン英首相の総選挙を求める動議は否決されている。ひとまず、直近の懸案となっていた話題が改善方向に向かったことで、市場はひと安心となっている。
ただ、当面の相場材料が一巡したということで、ここ一両日のリスク選好で形成されたポジションに利益確定の動きも想定される。ポンド円は9月3日に付けた安値126.68レベルからきょうは130.70レベルまで買われており、丸2日間で4円超の上昇となった。ある程度の利益確定売り圧力は否めないかもしれない。ドル円やクロス円も売り戻しの深さを注意してみたいところだ。
このあとの海外市場では、一連の米経済指標が発表される。ADP雇用者数(8月)、新規失業保険申請件数(31日までの週)、製造業新規受注(7月)、耐久財受注・確報値(7月)、ISM非製造業景気指数(8月)、週間石油在庫統計など。明日の米雇用統計発表を控えて、ADP雇用者数の伸びが注目される。また、先日の米ISM製造業景気指数が弱い内容だったことに続いて、きょうの非製造業景気指数の結果も気になるところだ。前回7月は53.7と2016年8月以来の低水準だった。今回の事前予想は54.0となっているが、市場は十分な改善幅とみるのかどうかは不透明だ。
金融当局者の講演予定は、デギンドスECB副総裁、テンレイロ英中銀委員、シェンブリ加中銀副総裁、ジョルダン・スイス中銀総裁など。来週12日のECB理事会を控えて、デギンドス副総裁の発言が注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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