ドル円、一時149円台後半に上昇 強い米経済指標でドル高強まる=NY為替概況
ドル円、一時149円台後半に上昇 強い米経済指標でドル高強まる=NY為替概況
きょうの為替市場はNY時間に入ってドル高が強まり、ドル円は一時149円台後半に上昇。前日突破した200日線を上放れる展開を見せ、心理的節目の150円を試しに行くか注目される。
この日発表の第2四半期の米GDP確報値が上方修正となり、個人消費も大幅な上方修正となった。同時刻に発表になった米新規失業保険申請件数も予想を下回るなど強い内容となったことで米国債利回りの上昇とともに、ドル円を押し上げた。
今週の市場はFRB幹部の発言を注視しているが、先週のFOMCで示された金利見通し(ドット・プロット)が示唆するほど、FRB幹部は利下げに前向きにはなっていない様子もうかがえる。労働市場の冷え込みは認識しているものの、根強い高インフレが利下げ姿勢にブレーキをかけているようで、それがドル高を招いているようだ。
本日の強い米経済指標はFRB幹部の見方を裏付ける内容とも言えるが、市場も年内の利下げ期待をさらに後退させている。短期金融市場では、来月のFOMCでの利下げ確率をこれまでの100%から84%程度まで低下させており、12月までであれば、1回の利下げは100%で織り込んでいるものの、上記のドット・プロットで示された2回の利下げとなると60%程度の確率まで低下させている状況。
ユーロドルも売りに押され、1.1665ドル付近まで下落。21日線を下放れる展開が見られているが、目先は1.15ドル台後半に来ている100日線が下値メドとして意識されそうだ。一方、ユーロ円は174円台で上下動。ドル円は上値追いが強まっているものの、ユーロの下げがユーロ円を圧迫。ただ、年初来高値を更新し続けており、力強さに変化はない。
ECBの利下げサイクルはすでに終了との見方が市場では広がっているが、エコノミストも同様の見解を示している。インフレは概ね抑制されており、ECBは直近2回の理事会で政策金利を据え置いた。同エコノミストによると、ECBが示した見通しは中期的に物価安定の使命が維持されると見ていることを示唆しているという。
このため、ECBは年内および来年を通じて中銀預金金利を2.00%に据え置く見込みだと述べている。ただし、0.25%ポイントの追加利下げの可能性を完全には否定できないとも付け加えた。
ポンドドルは1.33ドル台前半まで一時下落し、21日線を下放れる展開が見られた。一方、ドル円の上昇にもかかわらず、ポンド円は上値の重い展開が見られ、200円台を維持できていない。ポンドは対ユーロでも下落しており独歩安の展開。
今週の英国債入札は需要が低迷し、英国債利回りが上昇していた。それでもポンドは下落。脆弱な英財政状況への懸念が背景にありそうだ。英10年債利回りは3週間ぶり高水準である4.75%まで上昇。
エコノミストは「英財政状況の持続可能性への懸念とインフレの高止まりにより、投資家は英国債保有に対してより高いリターンを求めている。このため、ポンドは英中銀の据え置き見通しや利回り上昇の恩恵を受けていない」と指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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