【これからの見通し】ユーロドルに反発の芽はあるのか、米欧中銀の思惑を探る
【これからの見通し】ユーロドルに反発の芽はあるのか、米欧中銀の思惑を探る
昨日の海外市場ではドル高の動きが一服した。英議会の再開で離脱期限の延長に強制力をもたせる法案の動議が可決しており、ジョンソン政権側の敗北となった。ジョンソン首相は総選挙で対応する構え。議会をめぐる一連の動きのなかでポンド相場が反発しており、ポンドドルの上昇がドル売り圧力となった面があった。加えて、昨日発表された8月の米ISM製造業景気指数が49.1と景気判断の分岐点50を下回ったことがドル売りにつながった。生産、受注、雇用などの主要項目が50割れとなっていた。米景気減速の兆候との声もあり、米債利回りが低下した。CMEフェドウォッチでは9月FOMCにおける0.5%利下げ観測が7.3%とわずかながらではあるが復活している。
一方で、ここ1週間に報道されたECB高官らの発言では、次回ECB理事会でのQE再開は時期尚早との見方が多くなっている。検討課題ではあるものの、デフレの兆候がみられなければ今後の対応策としてとっておくべき、などの論調があった。9月ECB理事会を来週12日に控えており、直前になってフルコースでの追加緩和をけん制する内容となっている。
ユーロドルはドル高とユーロ安の圧力で1.09台前半まで下押しされてきたが、昨日の日足では下ヒゲを示現しており、短期的には反発の余地がありそうだ。今後も米欧の経済指標や中銀当局者の発言内容をチェックしながら、ユーロとドルのポジションの偏りを見てゆく必要がありそうだ。
きょうは米欧の経済指標や金融当局者発言が目白押しとなる。ユーロドル相場にとっての材料が多い一日となる。経済指標では、ドイツおよびユーロ圏非製造業PMI・確報値(8月)、ユーロ圏小売売上高(7月)、英非製造業PMI(8月)、米MBA住宅ローン申請指数(30日までの週)、米貿易収支(7月)、カナダ国際商品貿易(7月)、カナダ中銀政策金利 などの発表が予定されている。
金融当局者の講演関連は、ラガルド次期ECB総裁、レーンECBチーフエコノミスト、メルシュECB理事、デギンドスECB副総裁などECB高官の予定が相次ぐ。また、米金融当局者関連も多く、ウィリアムズNY連銀総裁、カプラン・ダラス連銀総裁、ボウマンFRB理事、ブラード・セントルイス連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁などの発言機会が予定されている。さらに、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される。
米欧の材料が中心となりそうだが、そのほかにもカナダドルにとっては中銀声明の内容や、ポンドにとっては英議会をめぐる動向なども相場変動要因となりそうだ。英議会では、カーニー英中銀総裁、ホールデン英中銀委員などの証言も予定されている。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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