米経済指標を受けドル安強まる ドル円は一時146円台=NY為替概況
米経済指標を受けドル安強まる ドル円は一時146円台=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日の米経済指標を受けてドル安が強まった。ドル円は一時146円台を付ける場面も見られた。注目されていた8月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数で前月比0.4%上昇と予想を上回った。前日の生産者物価指数(PPI)とは違い、FRBの利下げ期待を後退させる内容ではあるものの、逆に市場は利下げ期待を強めている。
同時に発表になった米新規失業保険申請件数が予想以上に大幅に増加し、先週からの雇用への不安を正当化する内容となった。市場はむしろ、そちらに敏感に反応している模様。短期金融市場では年内3回の利下げ確率を完全に織り込む動きが見られている。
円相場は10月4日の自民党の総裁選の行方も注視している。本日も東京時間に円安がドル円を押し上げていた。総裁選で高市氏が出馬の意向を固めたと報じられたことがきっかけ。円と日本国債の方向性は総裁選の結果次第との声まで出ている。日銀による利上げが遅れるのではとの観測も広がっているようだ。
新総裁によっては拡張的な財政政策が予想され、それは日本国債にとってはマイナスとなり、円安シナリオと見られているが、日本株にとっては成長を促す環境となるとの期待も出ている。
一部からは、ドル・ユーロ・円の間で、ここ数日以内に「何かが起こるような気配がある」との声が出ている。ヘッジファンドやストラテジストの間では、円こそが上方向にブレイクアウトする最有力候補と見られているという。ただ来週のFOMCで、委員の年内の金融政策姿勢を確認するまでは動きにくい状況が続く可能性も指摘していた。
ユーロドルは買いが優勢となり、1.17ドル台半ばまで上昇する場面も見られた。この日の米経済指標を受けやドル安がユーロドルを押し上げている。一方、ユーロ円は173円台に一時上昇したものの、ドル円が失速していることから、172円台に伸び悩む展開。
本日はECB理事会が開催され、大方の予想通りに政策は据え置かれた。据え置きは2会合連続。米国による大幅な関税引き上げにもかかわらず、インフレ圧力は抑制され、経済も堅調と判断した。今後についてのガイダンスは示さず、入手するデータ次第の姿勢を強調している。
ラガルド総裁は一部で期待されていた明確なインフレへの勝利宣言はしなかったものの、「ユーロ圏の経済成長に対するリスクはより均衡し、ディスインフレの進行は終了した」と述べた。これを受けて短期金融市場では、利下げサイクルは終了した公算が大きいとの見方を織り込みつつあり、来年末まで金利は据え置かれるとの見方を支持している。発表前までは、来年半ばまでに1回の追加利下げが織り込まれていた。
ポンドドルも買い優勢となり、1.35ドル台後半に上昇。今年の5月以降強い上値抵抗となっている1.36ドルの水準にはなお慎重なものの、底堅さは堅持している。一方、ポンド円は一旦200円台を回復したものの、ドル円が失速したことから、その水準を維持できていない。200円の水準は昨年後半以降、強い上値抵抗となっているが、なおその抵抗は健在なようだ。
アナリストからは、11月26日にリーブス財務相が公表する秋季予算案を控え、英財政への懸念から、ポンドは当面上値が重いままの可能性もあるとの見方が示されている。
ポンドは最近、英長期債が先週の売り圧力から持ち直し、利回りの上げ一服を受けて、対ユーロで上昇。長期債の売り圧力に対するポンドの感応度はユーロやドルと比べて高い中、予算案の発表にはリスクが残るという。ただし、英国債が安定している局面で、英中銀が利下げに慎重姿勢を示していることから、短期債利回りは高止まりしており、現時点でポンドを売り込むのは理に適わないとも述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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