ドルの戻り売り加速 ドル円も伸び悩む ただ、市場の雰囲気に変化なし=NY為替概況
ドルの戻り売り加速 ドル円も伸び悩む ただ、市場の雰囲気に変化なし=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドルの戻り売りが加速し、ドル円は147.50円付近に伸び悩んだ。本日は一時148円台を回復する場面も見られていた。ただ、市場の雰囲気に変化はない。短期金融市場では次回9月FOMCでの利下げの確率は84%程度で織り込んでいる。年内については9月を含めてあと2回か3回を織り込む動き。2回は完全に織り込み、3回は18%程度の確率。
FOMC委員の間で意見の相違も見られる中、9月FOMCに関しては、それまでに発表になる米雇用統計や米消費者物価指数(CPI)の結果次第。その先の年内に関しては9月FOMCで公表されるFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)を確認といったところのようだ。
トランプ大統領がクックFRB理事の即時解任を表明し、クック理事側も提訴の意向を示している。双方とも裁判所の判断に従う姿勢を示しており、裁判の行方次第といったところのようだ。トランプ政権によるFRBへの介入が続いているが、その状況は中央銀行の独立性への懸念とドルへの信頼感の低下を生む。ただ、いまのところ市場は様子見の姿勢。
ユーロドルは下に往って来いの展開。一時1.1575ドル近辺まで下げ幅を拡大し、21日線を下回ったが、後半にドルが戻り売りに押され、下げを取り戻す展開。一方、ユーロ円は171円台半ばで上下動。ユーロドルとドル円挟まれ方向感のない値動きとなっている。
仏政局が再び流動化しており、ドイツ10年債と仏10年債の利回り格差が4月以来の水準に拡大。ユーロを圧迫していた。エコノミストからは、9月がECBの利下げの最後のチャンスとなる可能性があるとの指摘が出ている。ECBは7月の理事会で政策金利を2.00%に据え置いたが、市場は9月も利下げ見送りをほぼ確実視している状況。
同エコノミストによると、来週発表の8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)が予想を下回れば、この見方は変わる可能性があるという。エネルギーと商品価格の上昇ペースが加速するにつれて、今後インフレはさらに急上昇する可能性が高いとし、9月以降のインフレの反発に伴い、今年の追加利下げの機会は閉ざされるだろうと述べている。
ポンドドルはNY時間に入って買い戻しが優勢となり、ロンドン時間までの下げを完全に取り戻した。一時1.34ドル台前半まで下落する場面が見られたものの、1.35ドル付近まで戻す展開。21日線と100日線の上をしっかりと維持しており、底堅い流れは継続している。
一方、ポンド円は199円ちょうど付近で上下動。円自体は方向感のない動きとなっていた中、ドル円とポンドドルの動きに挟まれた格好。こちらも21日線で下値をサポートされており、200円台回復の流れは堅持している。
アナリストは、英中銀が利下げに慎重姿勢を取るとの見方から、ポンドの短期見通しはポジティブだと指摘した。英中銀の利下げ期待の後退が引き続き、ポンドの短期的なモメンタムを支えるとしている。ポンドドルが1.35ドルを上抜けるのは時間の問題で、もしではないと考えているとも付け加えた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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