ドル円は146円台に下落 ドル安への期待は根強い=NY為替概況
ドル円は146円台に下落 ドル安への期待は根強い=NY為替概況
きょうのNY為替市場はドル安が優勢となり、ドル円は146円台に下落。一時146.30円近辺まで下落する場面も見られた。また、米国債利回り低下と円高もドル円を圧迫。米国債利回りの低下については、FRBの独立性への懸念が利回りを押し下げているとの見方が出ている。ただ、ベッセント財務長官は現時点でパウエル議長の辞任は必要ないとの見解をインタビューで示していた。
本日の21日線が146円台前半に来ており、目先の下値メドとして意識される。その下には100日線が145.70円付近に控えているほか、フィボナッチ半値戻しが145.95円付近に来ている。38.2%戻しの146.70円はすでに下回っている状況。
ドル安への期待は根強く、オプション市場ではドル下落に対するヘッジを選好する動きが出ている。市場は今月末のFOMCでハト派なシグナルが出るかを注視しているほか、米政策の不透明感や中央銀行の独立性も懸念。新たな関税措置が発表されたり、経済指標で米経済の継続的な弱さが示された場合、ドルのセンチメントはさらに悪化する可能性があるとの指摘も出ていた。
ユーロドルは買い戻しが強まり、再び1.17ドル台を回復。一時1.1760ドル付近に上昇する場面も見られた。本日の上げで21日線を回復し、上向きの流れへの復帰の動きも見られている状況。
ユーロにとっては今週木曜日のECB理事会が注目イベントとなるが、今回は据え置きが確実視されている。注目は9月の理事会のヒントが何か出るか、そして、ユーロ高への懸念を示すかどうかと見られている。
一部からは、ECBは成長が大幅に弱まらない限り追加利下げはあと1回に留まるとの見方も出ている。9月に利下げを実施した後、一時休止すると見ているという。その場合、中銀預金金利は1.75%まで低下して昨年からの利下げサイクルが一旦休止となるが、成長の弱さとインフレの鈍化により、1.50%まで低下する可能性は排除できないとも述べていう。これは米国との貿易摩擦のさらなる激化やインフレの継続的低下により、経済見通しが大幅に悪化することで引き起こされる可能性があるとも指摘。ユーロの急激な短期的上昇がこうしたシナリオを引き起こす可能性があるとも付け加えている。
ポンドドルは買い戻しが続き、1.35ドル台を回復。先週は一時1.33ドル台まで下落し、テクニカル的にも下値警戒感が高まっていたが、6月にサポートされた1.34ドルの水準で反転している格好。
アナリストはメモで、今週発表の7月の英欧のPMI調査でユーロ圏経済が英国を上回る結果となれば、ポンドはユーロに対して下落する可能性があると指摘している。ユーロ圏のPMIは7月のユーロ圏経済が改善した状況を示し、関税への懸念を和らげる可能性があるという。製造業の活動の回復を示す兆候は特にドイツにおいて、最近発表された国防支出の増額によって後押しされるはずだとも述べている。
しかし、英PMIについて同じことは言えず、予想に対して下振れリスクがあると見ているという。英財政政策に対する懸念は企業のセンチメントの重石となる可能性が高いとも付け加えた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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