ドル円、153円台を挟んで上下動 今週はいつになく重要イベント目白押し=NY為替概況
ドル円、153円台を挟んで上下動 今週はいつになく重要イベント目白押し=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は153円台を挟んで上下動。153円台に入ると戻り売り圧力も強まるようだが、下押す動きもなく、上値追いのモメンタムは維持。
片山財務相とトランプ大統領と来日中のベッセント米財務長官と初めて対面での会談を行った。片山財務相は会談に「日銀の金融政策は話題にならなかった。日米の為替の共同声明についても機微に渡る話は出なかった」と述べていた。一部からは米国側は円安の動きを良しとは思っておらず、何かの圧力があるのではとの観測も出ていた。
米政府機関の閉鎖はまだ続いており、今週も米経済指標の発表はない。ただ、今週はいつになく重要イベントが目白押しで、29日のFOMCを始め、30日には日銀決定会合も予定。ECBなど各国中銀も政策委員会を開催する。
先週の米消費者物価指数(CPI)を経て、FOMCは追加利下げが確実視されている一方、日銀については据え置きが濃厚と見られている。パウエル議長や植田総裁が、12月に向けてどのようなメッセージを出すか注目されそうだ。
また、政治イベントも注目となる。トランプ大統領が本日来日しており、明日高市首相と会談を行うほか、30日には韓国で開催のAPECに際して、米中首脳会談も行われる予定。摩擦解消に向けた何らかのメッセージが打ち出されるか注目される。中国のレアアース輸出制限の1年延期、11月1日発動予定の対中100%関税の撤回、中国による米国産大豆の輸入再開などが含まれる可能性があるとの観測も出ている。また、米国版TikTokに関する紛争解決策の合意も検討されているという。
そして、上記のイベント以上に市場の注目を集めている可能性があるのが米IT大手、マグニフィセント7の決算だ。巨額のAI関連投資を正当化する内容になるのか注目されるが、結果次第で株式市場に大きな変動が起これば、為替市場も影響を免れないであろう。ただ、株式市場はいまのところ楽観的に見ている向きが多いようだ。
ユーロドルは小幅ながらも買い戻しの動きを継続し、21日線が控える1.16ドル台半ば付近に上昇する場面も見られ。今週は重要イベントが盛りだくさんで様子見の雰囲気が強い。ECB理事会も30日木曜日に予定されているが、ECBはすでに利下げサイクルを終了させており、変化はないものと見られている。
ユーロ圏にとって気掛かりなのはインフレ以上に景気の先行きだが、本日は10月の独Ifo景況感指数が発表になり、前月の87.7から88.4へ上昇していた。これを受けてエコノミストからは、ドイツ経済は最悪期を脱しつつある可能性があるとの指摘が出ている。今回のIfoは先週発表のPMIの上昇と一致しており、今後数四半期にかけてドイツ経済が改善を示すとの見方と整合的だという。
最近のドイツ経済の実態を正確に把握するのは、様々なデータが入り混じっているため難しいが、ここ数カ月はすべての調査指標が改善しており、さらに財政刺激策の効果により、2026年にも追加的な上昇が見込まれるという。
ポンドドルは7日ぶりに反発し、1.33ドル台半ばまで一時上昇。ポンドの要因ではなく、本日はドルが軟調に推移しており、ポンドドルをサポートしている。ただ、買い戻しを強める動きまでには至っていない。一方、ポンド円は上値追いが続き、204円台に上昇。高市トレードの直近高値205.30円を再び視野に入れた動きが続いている。
ただ、ポンドに関しては強気な見方は少ない。先週発表の最新の英インフレ指標によると、総合指数は3.8%で横ばいとなり、コア指数は3.5%へと鈍化した。いずれも加速が予想されていた市場予想に反しての結果で、英中銀の利下げ期待が台頭している。
また、11月に発表の秋季予算まではポンドの上昇余地は限られるという。英政府の予算案は11月26日に発表予定で、財政健全化を目的とした緊縮的な措置が盛り込まれる見通し。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
執筆者 : MINKABU PRESS
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