【これからの見通し】トランプ関税めぐる動きが中心も、市場は比較的落ち着いた動向示す
【これからの見通し】トランプ関税めぐる動きが中心も、市場は比較的落ち着いた動向示す
トランプ米大統領は日本を含めたアジア数カ国に関税率に関する書簡を送付した。日本については25%の関税率が示されている。ただ、8月1日まで発効は猶予されることから、今後の交渉の余地は残されている状況。いわゆるTACO取引の手法が取られており、市場はある程度慣れっこになっているようだ。BRICSなどからはトランプ関税に対する非難が高まっており、米国がどこまで強硬姿勢を貫けるのかどうか疑問な面もある。
トランプ関税については中期的に米国の国力を弱めることが心配される面もある。国内産業保護政策や先日の減税法案成立などで米財政規律が緩んできており、米債売りなどいわゆる米国売り圧力が指摘される。相対的にどの通貨がドル安の対価として買われやすいのかを探る動きがみられる。ユーロがドルに次ぐ信頼性を有する通貨としてクローズアップされやすいようだ。EUと米国との貿易交渉が早めに決着するようだと、なおさらユーロが買われやすい面もある、
一方で、当初は良いムードで始まった日米貿易協議だが、ここにきてもなかなか合意ができていない。石破首相はあくまでも日本の自動車産業を守ることを強調している。もちろん、正論ではあるのだが、気分屋のトランプ米大統領がこれをどう感じているのか。もう少し変化球も織り交ぜててほしいところだ。日本が米国との貿易交渉に取り残されてしまう警戒感もあって、円売りの圧力がみられる点があるのかもしれない。
この後の海外市場で発表される経済指標は、フランス貿易収支(5月)、フランス経常収支(5月)、ブラジル小売売上高(5月)、カナダIvey購買部協会指数(6月)など。いずれも市場へのインパクトは限定的な指標群となっている。
発言イベント関連では、ナーゲル独連銀総裁と中曽元日銀副総裁の対談、英仏首脳会談(10日まで)などが予定されている。また、米3年債入札(580億ドル)が実施される。
きょうもトランプ関税をめぐる報道が市場の中心テーマとなりそうだ。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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