【これからの見通し】ドル売りトレンドは停滞、米小売売上高での動意はどうか
【これからの見通し】ドル売りトレンドは停滞、米小売売上高での動意はどうか
3月前半はドル売りの動きが強まった。一連の米経済統計が弱含んだことを背景に、トランプ関税が米景気に与えるネガティヴな面を喚起させている。今年に入ってからは、昨年後半にみられたトランプ政権=ドル高の構図は完全に崩れている。
ウクライナ情勢、米国とEUの関税対立、ドイツの債務ブレーキ改革の動きなど不安定な要素は引き続き多い。いずれも交渉や協議の行方について不透明な状況。話し合いがまとまれば、短期的にはリスク選好の反応が期待されている。
ただ、内実はどうか。ウクライナについてはロシア側の主張に妥協することは砂上の楼閣であろう。ロシアの停戦破りの可能性も否定できない。米国とEUの関税対立はまだ落ち着きどころを見出していない。米国はドイツや日本にも自動車関税をかけると脅している。ドイツの債務ブレーキの緩和については明日の議会で緑の党との合意を得て通過しそうな情勢だ。材料が出た当初にみられたドイツ債利回り上昇・ユーロ高といった反応が、一時的に巻き返される可能性もある。神経質な値動きには注意しておきたい。
日本では石破首相の10万円問題がムードを変化させている。石破政権支持率は発足以来の最低水準に低下している。次の首相候補についての話題もでているようだ。ネガティブな意味での円売りとの見方もでている。
諸諸事情が交錯するなかで、本日は米小売売上高(2月)とニューヨーク連銀製造業景気指数(3月)が発表される。市場予想は小売売上高は前月比+0.6%(前回-0.9%)、コア前月比は+0.3%(前回-0.4%)と持ち直す見込み。ニューヨーク連銀指数は-2.0と前回の+5.7からマイナスに転じる見込み。強弱感が分かれる予想となっている。ドル売りの動きが停滞するなかで、新たな材料としてドル相場に動意をもたらすのか。両指標の結果の方向性が一致するのかどうかをチェックしたいところだ。
発言イベント関連では米ブラックアウト期間入りでもあり金融関連の目立った材料は予定されていない。日経新聞、産経新聞などからは日銀は今週の会合で政策金利を据え置く見通しが伝えられており、海外勢が改めて反応するのかどうかを確認したい。
minkabu PRESS編集部 松木秀明

執筆者 : MINKABU PRESS
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