ドル円、146円台まで下げ幅拡大 円高が続く=NY為替序盤
きょうも為替市場は円高が優勢となっており、ドル円は146円台まで下げ幅を拡大。140-145円のゾーンへのレベルシフトを試しそうな雰囲気が本格的に出ている状況。
先週末の米雇用統計は労働市場の軟化を示す新たな証左を示した。フルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者の数は急増。複数の職に就いている労働者も890万人近くに膨らみ、過去最高を記録した。
トランプ大統領の政策でより広範な経済への懸念が強まり、労働市場が弱まる背景になっている。半面、ここ数カ月インフレは高止まりしており、消費者は支出を控え始めている。この傾向が続けば、企業は採用計画を再考せざるを得なくなる可能性がある。
目先の政策の方向性が不透明。関税引き上げと歳出削減を継続なら、今後数カ月は雇用創出の足かせとなり、失業率をさらに押し上げる可能性も指摘されている。今回の2月の米雇用統計はトランプ政権による政府職員の大量解雇が実施される前の集計。一部からは、3月の数字は遥かに悪い内容になるだろうとの声も聞かれる。
FRBは利下げを再開する前に、今週の消費者物価指数(CPI)などのインフレ指標が落ち着くかどうかを見極めたい意向。トランプ政権の政策に対する高い不確実性と相まって、FRBは来週のFOMCで政策金利を据え置きが広く予想されている。
一方、円の方は本日、厚労省が1月の毎月勤労統計を公表していたが、消費者物価指数(CPI)が高かったことで、実質賃金はマイナスに転じた。名目の現金給与総額は前年比2.8%と前回よりも鈍化し、予想も下回ったものの、市場は日銀の利上げに対する見方を変えていない。コンセンサスは7月か9月だが、情勢次第では5月か6月の可能性も排除できないといった情勢。日銀の追加利上げだけは明確で、海外勢中心に円高の思惑が強まっているとの指摘も出ている。
一方、金曜日に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、投機筋の円ロングポジションは歴史的な高水準となっていた。米国に資金を振り向けにくくなっており、財政拡張路線に転換した欧州や円に資金が流れているという。その分、過熱感も出ており、きかっけがあれば円ロングの巻き戻しが強まる可能性があるとの指摘も出ている。なお、その場合でも150円は強い上値抵抗として機能しそうだという。
なお、日本時間23時のNYカットでのオプションの期日到来は現行付近には観測されていない。
10日(月)
148.00(13.5億ドル)
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

執筆者 : MINKABU PRESS
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