ドル円、弱い米指標を受けて一時148円台に下落=NY為替概況
ドル円、弱い米指標を受けて一時148円台に下落=NY為替概況
きょうのNY為替市場、この日発表の米消費者信頼感指数が予想外の弱さとなったことから、ドル売り・円買いの動きが強まり、ドル円は148円台に下落した。2月の米消費者信頼感指数が98.3と100を下回り、昨年6月以来の低水準となった。先週のミシガン大消費者信頼感指数に続き、家計のセンチメントが低下していることを示唆する内容となっている。
インフレが高止まりしていることや、トランプ大統領の関税政策、そして徐々に冷え込みつつある労働市場が消費者のセンチメントを圧迫している。これを受けて短期金融市場ではFRBによる年内2回の利下げを完全に復活させている状況。
リスク回避の円高から、ドル円は一時148.60円付近に下落。昨年12月初めの安値水準に一時顔合わせしたが、その水準を完全にブレイクするようであれば、チャートは三尊天井を形成し、下向きのサインが点灯する。
ユーロドルは1.05ドル台を回復。ECBの追加利下げ観測や、ユーロ圏の景気の先行きに対する不安もある中、いまのところ1.05ドル台には乗せているものの、駆け上がるモメンタムまでは出ていない。
ECBが本日10-12月のユーロ圏の妥結賃金を公表していたが、前年比4.12%の上昇となった。伸びは7-9月の5.43%からは鈍化した。これを受けてECBの追加利下げの環境が整ったとの指摘もある一方、この上昇によりインフレの高止まりが続く可能性があるとの指摘も出ている。エコノミストの推計によると、今回のユーロ圏の賃金上昇により、今年のインフレは2%目標を上回る状態が続く見通しだと述べている。
企業が高賃金を消費者に転嫁しているため、消費者物価も特に重要なサービス部門で上昇を続ける可能性が高いという。市場では3月のECBの利下げはほぼ確実視しているものの、それ以降は未知数との指摘も少なくない。
ポンドドルは緩やかな上昇の展開を見せ、1.26ドル台後半に上昇。本日の上げで100日線を再び上回っており、1月中旬からの上昇トレンドは維持されている状況。
エコノミストからは、現在の英労働市場は緩やかな冷え込みに留まっているものの、4月の国民保険料(NICs)の企業負担分の引き上げは重大なリスクだと指摘している。データの質の問題で、英労働市場の状況を正確に読み取ることは難しいが、広範な指標によると、労働市場は以前よりは緩み、恐らく完全雇用を若干下回る程度の水準で推移しているという。それにもかかわらず、民間の通常賃金の伸びは6.3%と、2%インフレに見合う伸びを3%ポイント超上回っていると指摘。賃金はディスインフレのトレンドこそ維持しているものの、その進展は緩慢だという。
同エコノミストは、今年は英失業率が上昇し、給与の伸びも緩やかになると見込んでいる。その場合の重大なリスクとして、4月に予定されえている国民保険料(NICs)の企業負担分の引き上げを挙げている。4月6日から雇用主の負担拠出率が現行の13.8%から15.0%に引き上げられる。もし、企業がそれに対して労働需要を大幅に削減することで対応した場合、失業率は2026年初めまでにベースラインより0.3%ポイントの上昇が予想されるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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