ドル円は一時148円台まで下げ幅拡大 弱い米経済指標でリスク回避が広がる=NY為替概況
ドル円は一時148円台まで下げ幅拡大 弱い米経済指標でリスク回避が広がる=NY為替概況
きょうのNY為替市場、ドル円は一時148円台まで下げ幅を拡大した。本日の市場は、この日発表の米経済指標が揃って弱い内容となったをきっかけにリスク回避の雰囲気が広がった。これを受けてドル高・円高が見られたが、特に日銀の早期追加利上げへの期待感が高まる中で、リスク回避の円高がドル高以上に強まった。目先は昨年12月初めにつけた148.65円が下値メドとして意識されるが、その水準を割り込むようであれば、チャートは三尊天井を形成。
この日は2月の米PMI速報値、中古住宅販売件数、そして2月のミシガン大消費者信頼感指数確報値が公表された。特に米PMIはこれまで拡大圏を維持してきたサービス業が予想外の50を下回った。1月の米中古住宅販売件数が予想を下回り、ミシガン大消費者信頼感指数の確報値も下方修正された。これは米経済の最大の要素である個人消費に何らかの影響が出ていることを示唆する内容ではある。
前日は世界最大の小売大手ウォルマートの冴えない見通しで、個人消費を中心とした米経済の先行き不安が強まったが、本日の米経済指標はそれを裏付ける内容ではあった。
ユーロドルは1.04ドル台半ばに下落。本日1.0415ドル付近に来ている21日線を再度うかがう展開が見られた。本日はユーロ圏の2月のPMIが発表になっていたが、ユーロ圏の企業活動は2月も縮小こそしていないものの拡大もせず、停滞から抜け出せない懸念を改めて強めている。ユーロ圏PMI速報値は50.2と前月から変わらずで、判断基準の50を若干上回っていた。エコノミストは「あまり目立たないサービス部門の成長が、製造業の緩やかな縮小を補った」と分析。
ユーロ圏PMIは昨年6月から50前後で推移している。ECBによる一連の利下げで景気低迷は回避しているが、インフレが年内に2%へと低下する可能性が高い中でも、個人消費や企業の設備投資の回復はまだ見られていない。フランスのPMIは44.5と予想外に落ち込み、2023年以来の低水準となった。長引く政局の混迷が重しとなった。予想では48への上昇が見込まれていた。日曜日に選挙を控えるドイツのPMIは51と、前月上昇し、予想も上回った。製造業がやや改善した。
ポンドドルは1.26ドル台前半に値を落とした。100日線が1.2650ドルに来ているが、上値を抑えられている形となっている。本日は1月の英小売売上高が発表になっていたが、予想を上回る強い内容となった。ただ、これを受けて英経済の先行きに強気な見方をする向きは少ない。英小売売上高を押し上げたのは食料品で、パンデミック初期の2020年3月以来の大きさとなった。それ以外が振るわなかった。自宅で食事する人が増えたことが背景にあるという。
4月からの最低賃金の引き上げや、今年予定されている段階的な利下げは、小売業界を下支えすると期待されているが、消費者信頼感は依然として低迷している。なお、英中銀の年内2回の利下げ期待も変わらず。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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執筆者 : MINKABU PRESS
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